• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年08月20日 16:55

どうする?どうなる?社会保障(1)

 「老後に2,000万円が必要」という金融庁の報告書により、年金制度、さらには社会保障制度に注目が集まった。老後に必要な資金を発表して、投資などの資産運用を促すことが目的だった報告書は、思わぬ波紋を呼び、うすうす懸念されていた年金問題が明るみに出た。これからの社会保障はどうなるのか。今の社会保障制度と未来のあり方を探った。

社会保障はどうなるのか

 老後に必要な資金を発表して、投資などの資産運用を促すことが目的だった金融庁の市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」報告書は、「老後に2,000万円が必要」という言葉だけが広がり、意図していた目的とは違うかたちで注目が集まった。うすうす先行きが懸念されていたが、今まで議論が先送りされていた年金制度の問題が知るところとなった。

 人生100年時代といわれ、山あり谷ありの人生で多くの人がリスクを抱えるなかで、どのような立場の人も安心して暮らせる社会をつくるのが社会保障だ。だが、病気などがきっかけで何かあっても意外と社会のセーフティネットがない日本では、社会の格差が広がっている。老後に安定した生活を送れるように世代間で支え合うはずの社会保障制度は、近い未来に高齢者になる世代の老後には、支える機能がほぼなくなっている可能性もあるだろう。

金融庁の報告書は何が言いたかったのか

 日本の平均寿命は伸びているが、現役世代の収入に比べて受け取る年金を表す所得代替率は下がっており、税や社会保険料は年々負担が大きくなっている。少子高齢化から「この傾向は一層強まる」と金融庁は見込んでいる。

 60代以上では年金生活になるため現役世代よりも収入が少なくなり、支出も現役世代と比べて2~3割減っている。高齢夫婦の無職世帯モデルでは収入が約21万円、支出が約26万円と毎月約5万円の赤字になるため、老後資金を貯蓄して対応することが必要だという。毎月約5万円分を取り崩すと、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円が必要になる。「老後に2,000万円」の数字は、ここから出たものだ。

 モデル世帯の支出には老人ホームの介護費用などが含まれていないため、実際にはさらに支出が増える可能性がある。また老後生活を支えてきた退職金給付額は、平均で1,700~2,000万円とピーク時から3~4割少なくなっている。若い世代を中心に転職や非正規雇用が多くなり、1つの企業で一生仕事するという働き方ができにくくなったため、今までのように退職金を老後資金の柱にするのは難しいと金融庁は予想している。早い時期から老後のライフ・マネープランを考えて、年金で賄われない分の老後の資産の取り崩しのシミュレーションをして、投資などで資産形成することが大切だという。

年金はなぜ問題になっているか

 2017年度の厚生年金・国民年金の歳入の約52兆円のうち、保険料収入は約32兆円で、残りは税金などで運用されている。現役世代が払う社会保険料をそのまま今の高齢者の年金として給付する賦課方式のため、少子高齢化が進んで労働人口が減ると、労働人口の割合に対して年金給付が増える。そのため制度を維持するには、現役世代の負担を増やしたり、年金受給を減らすことが必要だという。5年に1度、年金制度を見直す2014年の財政検証では、2014年に62.7%だった所得代替率は、2043年には50.6%まで下がると予想されている。

年金制度の最近の方針

 経済が持続的に成長して高齢者や女性の労働市場参加が進む「100年安心プラン」の前提では、2110年度までのおよそ100年間、年金積立金を維持しながら、標準的な年金給付水準は所得代替率50%を確保できると厚生労働省は見通している。

 年金制度を維持するためとして、給付を抑えて負担を広げることが図られてきた。2004年改正での負担額の段階的引き上げが完了しており、厚生年金は上限18.30%(労使折半)、国民年金は上限1万6,900円と、負担の水準は今のところ固定されている。また2009年以降は、基礎年金給付の2分の1を税で負担している。

 2016年の年金改革法から始まった、賃金や物価の変動に応じて年金給付を調整するマクロ経済スライドは、2021年4月からは賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動率に合わせて年金額が引き下げられるようになるため、年金給付の抑制効果が上がる。また2017年から、500人以下の企業でも労使の合意に基づき短時間労働者が加入できるようにしており、今後も短時間労働者の社会保険の適用範囲を広げることが検討されている。また、骨太の方針2019では高齢者の就労の長期化を促しており、年金加入者を増やす方向だ。

(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年09月15日 07:00

国産めんまの市場を生み出し、放置竹林を再資源化

 日本国内市場で流通するめんまの99%が、中国・台湾産の麻竹(まちく)を原料とするものである。国産の孟宗竹(もうそうちく)に対する需要は限られており、竹が生い茂る里山...

2019年09月14日 07:00

【9/14】第85回筑紫野市祭「二日市温泉と天拝山観月会」開催

 第85回筑紫野市祭「二日市温泉と天拝山観月会」が本日(14日)、天拝山山頂・天拝公園で開催される。

2019年09月14日 07:00

【9/23】「タマスタ筑後ファン感謝デー」開催~福岡ソフトバンクホークス

 福岡ソフトバンクホークスは、タマスタ筑後開催のウエスタンリーグ最終戦(9月23日)の試合終了後、グラウンドを開放して「タマスタ筑後ファン感謝デー」を開催する。

2019年09月13日 17:54

周船寺第1雨水幹線築造工事、11.5億でフジタJVが落札

 福岡市発注の「周船寺第1雨水幹線築造工事」を、(株)フジタ九州支店を代表企業とするフジタ・九州総合・松山建設JVが11億5,448万400円で落札した。

2019年09月13日 17:54

【疑惑まみれの改造内閣】小泉進次郎入閣の打ち上げ花火は世論誘導の姑息な手段

 第4次安倍再改造内閣が発足した翌12日、初入閣で脚光を浴びた小泉進次郎・環境大臣(38)が福島県庁を訪れて内堀雅雄知事と面談した。中間貯蔵施設や復興などについて意見...

2019年09月13日 17:40

9万人の救世主となるか~女性の復職サポート会社

 結婚、妊娠、出産とライフステージが変わるタイミングで離職する女性は以前より減ってはいるものの、第1子の出産を機に4割強が離職(国立社会保障・人口問題研究所「第15回...

2019年09月13日 16:21

【交通取締情報】9月17日、福岡市博多区と北九州市小倉北区で実施

 福岡県警は9月17日(火)、福岡市博多区と北九州市小倉北区で可搬式オービスによる交通取り締まりを実施する。

2019年09月13日 15:00

厚生労働省公表の「ブラック企業」9月10日発表 福岡労働局分

 厚生労働省は17年5月から、労働基準関係法令に違反し書類送検された企業の一覧表をホームページに掲載している。

2019年09月13日 14:53

中洲川端駅北で電灯が折れるトラブル

   中洲川端駅北の駐車場近くで13日午後2時ごろ、電灯が折れるトラブルが起こった。根元が腐食したことによるものとみられ、電線が切れないよう警察官が数人がかりで支えて...

2019年09月13日 14:43

100歳以上の高齢者、7万人を突破

 厚生労働省は13日、住民基本台帳に基づく100歳以上の高齢者の総数が7万1,238人(2019年9月1日現在、年齢は2019年9月15日現在)だと発表した。そのうち...

pagetop