• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年08月21日 07:00

どうする?どうなる?社会保障(2)

年金はどのように運用されているか

 年金は、年金積立金管理運用(独)(GPIF)により市場で運用されている。運用資産額は約151兆円で、市場運用が開始された2001~2018年度第3四半期までの収益率は年率2.73%だ。2014年の財政検証で設定された実質的な運用利回り1.7%以上を確保できるように、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%と資産運用割合をGPIFが定めて運用している。前回の見直しよりも国内債券の運用割合が減り、国内外株式と外国債券の割合が増えていることが特徴だ。

後期高齢者医療制度が抱える課題

 75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は、公費が5割、現役世代の健康保険からの支援金が4割、75歳以上の高齢者などの保険料が1割からなっている。とくに後期高齢者支援金は増加しており、健康保険組合や協会けんぽなどの健康保険での負担が大きくなっている。そのため2017年からは、これまで加入者数で計算していた支援金を、賃金の平均水準に変更する総報酬制が導入された。だが、後期高齢者医療制度は一番医療が必要な世代が集まっているため、運用方法は引き続き課題だ。

※クリックで拡大

病院から、地域や介護施設のケアに広げる体制に

 2014年に医療・介護総合確保法ができてから、医療の枠組みが大きく変わっている。病床機能報告制度では、重篤な患者を治療する「高度急性期」、発症から間もない治療をする「急性期」、急性期・在宅復帰に向けて医療やリハビリをする「回復期」、長期療養の入院患者をケアする「慢性期」のうち、どの段階の医療を提供するのかを医療機関が都道府県に報告する。

 そして、将来の地域の医療ニーズを基にして、病院の機能を分けたり統合する「地域医療構想」を都道府県が作成する。さらに2025年までに、身近な地域で医療や介護などが一元的に提供される仕組みをつくり、医療と介護の連携を強化する。

 また、5月21日に報告された「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」によると、2018年に約121兆円だった社会保障給付費は、高齢化とともに2025年には約140兆円、2040年には約190兆円になると予想されている。医療費も1.5倍以上になると見込まれているため、2025年までに「高度急性期」と「急性期」の病床を合わせて3割減らし、軽症の患者を自宅や介護施設での治療に移す方針だ。

社会保障の将来予想

 社会保障の未来はどうなるのだろうか。とある30代夫婦の例で予想した。夫婦はともに34歳の共働きで、娘が1人いる3人家族だ。共働き世帯の手取り月額収入は、56万5,000円(賞与含む・2017年厚生年金の男女平均より)。今から40年後には出生率が1.35、男性の平均寿命が83歳、女性が90歳になるといわれている(日本の将来人口推計:2012年)。

 経済成長や労働参加率は今の社会から大きく変化していない2023年まで実質経済成長率が1.2%の内閣府試算の「参考ケース」のなかで、2024~2054年ごろまで(1)ほぼゼロ成長で実質経済成長率(対物価)が0.1%の場合と、(2)マイナス成長で-0.2%の場合の2通りを見てみた。

(1)経済成長率0.1%のほぼゼロ成長

 物価が年1.2%上がり、実質運用利回り(対物価上昇率)が2.8%だとすると、2040年度に標準世帯モデルの所得代替率が50%を下回る。夫婦が55歳になるころには、健康保険料は約10%から約12%に上がっている。共働き夫婦が65歳になる2050年には、物価が今の1.5倍の世の中で、夫婦の年金はおよそ32万円になっている。

(2)マイナス成長で経済成長率-0.2%

 物価が年0.9%上がり、実質運用利回り(対物価上昇率)が2.2%だとすると、2038年度に標準世帯モデルの所得代替率が50%を下回る。共働きの夫婦が65歳になる2050年には物価が今の1.3倍になっており、夫婦の年金はおよそ28万円だ。

 (1)、(2)は今の社会状況からの予想だ。社会保険からなっている社会保障制度は、少子高齢化だけでなく、経済の先行きからも大きく影響を受ける構造だ。これからの社会の成り立ちがどう変わっていくかはまだわからないところもあるが、将来は、今とはまったく違った社会の仕組みになっている可能性も考えられる。

(つづく)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年05月27日 16:30

Zoomが中国で利用規制~新規の無料ユーザー登録が不可にNEW!

 ここ数日、中国において、「Zoom」の無料ユーザーがログインできない事態が生じている。24日、記者が日本、中国、香港の友人たちとZoomで会話をしようとしたところ、...

2020年05月27日 16:10

緊急事態宣言全面解除 「新しい生活様式」46ヶ条の総まとめNEW!

 「新しい生活様式」とは何か! すでに実践済みとは思いますが、改めて政府が唱える46項目の「新しい生活様式」を掲載します

名ライオンズマン・和田耕司氏のライオンズクラブ「惜別の辞」NEW!

 和田耕司ライオンより、ライオンズクラブ脱会にあたっての「惜別の辞」が送られてきた...

2020年05月27日 13:36

【BIS論壇No.322】コロナ後の日本、世界経済予測NEW!

 今回のコロナパンデミックは2003年のサーズに比べ、グローバル化の加速もあいまって、伝染病が短期間に世界に蔓延。世界の経済活動にかつてない深刻な影響を与えている...

宇都宮健児都知事誕生の可能性

 新型コロナウイルスの人口あたり死者数のデータを見ると地域差が歴然としている...

2020年05月27日 11:26

春日市温水プール大規模改修、中野建設JVが3.5億円で落札

 春日市発注の、「春日市温水プール大規模改修工事(建築工事)」を、中野建設・キムラJVが3億5,850万円(税別)で落札した...

2020年05月27日 10:56

危機に直面し、自らをイエス・キリストにたとえる孫正義の自信と勝負魂(1)

 日本では緊急事態宣言が解除されたが、先行きに対する不安は残ったままだ。そのため、政治家はいうにおよばず、ビジネスの世界でも冒険心や挑戦の気概を失い、立ち止まってしま...

2020年05月27日 10:18

「徒歩の調査」から見た福島第一原発事故 被曝地からの報告(中)

 放射線の話になると、さまざまな単位が出てくるため、以下に簡単に説明しておきたい。原発事故の記事が出ると、多くの読者はこれで訳がわからなくなる...

2020年05月27日 07:00

【書評】『やる気を引き出す言氣の心理学――働き方か生き方改革か』柳平彬著(ぱるす出版)

 著者の柳平氏は、昨今議論されている働き方改革について、より大事なことは1人ひとりの「生き方改革」ではないかと主張する。その理由は人の潜在的な能力を引き出すには...

2020年05月27日 07:00

博多阪急3月期、売上高4.7%減 インバウンド、コロナ禍響く

 エイチ・ツー・オー・リテイリングの発表した2020年3月期決算によると、博多阪急の売上高は...

pagetop