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2019年11月15日 11:22

激変!米国コワーキングスペース ニーズが急増し、競争が激化(1)

fabbit(株) 代表取締役社長 田中 保成 氏

 米国のコワーキングスペースは急速に需要が伸び続けており、2030年までにはオフィスのうちおよそ3割がコワーキングスペースになると予想されている。(Jones Lang LaSalle調べ)米国市場の最新動向と今後の展望を、サンフランシスコに新たな拠点を展開する予定のfabbit(株)・代表取締役社長・田中保成氏に語ってもらった。

ニーズが急増し、各地域にプレーヤー

fabbit(株)・代表取締役社長 田中 保成氏
fabbit(株)・代表取締役社長 田中 保成氏

 米国のコワーキングスペース市場は、業界首位のWeWork(ウィーワーク)やimpact Hub(インパクトハブ)、Alley(アレー)、既存プレーヤーのRegus(リージャス)やServcorp(サーブコープ)などの一部を除けば、特定の都市ごとに集中して運営している企業が圧倒的に多い。やはり不動産業のため、広範囲に展開するためにはそれだけのリソースが必要となり、地域事情を把握できる都市からビジネスを広げていくのが通常だ。

 米国でコワーキングスペース市場が急成長しているのは、いくつかの理由がある。まず、不動産オーナーに対しては、不動産をいかに高収益で活用できるかが提案のポイントになる。たとえばWeWorkは、不動産物件をそのまま賃貸するよりもコワーキングスペースにした方が収益率も上がり、さらにWeWorkがテナントとして入ることで物件の魅力も高まると、不動産オーナーに伝えているという。

 リーマン・ショック以降、職を失った人が起業することや、フリーランスになる流れが強まり、仕事をする場所が必要なことからコワーキングスペースの需要が高まっている。また、社会的な課題の解決や使命感から仕事をする人が増えたことも起業が増加している要因だ。

 フリーランスが増加している背景には、インターネットを使って単発の仕事を受注するギグエコノミーが広がっていることもある。日本の「働き方改革」に似た米国での取り組みの影響も大きい。ガレージや自宅で起業するよりも、コワーキングスペースで多くの人と会い刺激を受けながら仕事をした方が生産性が高まると、80~2000年ごろに生まれたミレニアル世代は価値を見出しているようだ。

 また、Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)などサービスを通じてシェアリングエコノミーが広がるなかで、自社だけでオフィスを構えるのではなく共用部をシェアする考え方が浸透していることも、コワーキングスペース市場を後押ししている。

競争が厳しく、差別化が欠かせない

 需要が伸びており、プレーヤーも増加しているため、競争も激化している。スタートアップ企業が多いシリコンバレーとそこから30~40km離れたサンフランシスコの間には、およそ300ものコワーキングスペースがあるといわれている。

 異業種も含め、多くの企業が業界に参入しているのは、参入時や撤退時の障壁が少ないからだ。新しくコワーキングスペースを始める時も、専門的な知見や特別な許可は必要ない。

 参入しやすい市場だが、業界は厳しい競争に晒されている。収益が出なければ、撤退も早く、新陳代謝が活発だ。他社と差別化しなければ生き残ることはできない。1つの試みとしては、顧客ターゲットを絞り込んで、ある分野の利用者に特化して使いやすい場所をつくることで、差別化を実現しているコワーキングスペースもある。

 たとえば、ITプログラマーやエンジニアに特化したコワーキングスペースをつくり、イベントやセミナーを開いてビジネスの相乗効果を生み出せるコミュニティをつくっている。口コミで認知度を高めることができれば、優秀なプログラマーがいるコミュニティに参加したいと独自のビジネスのアイデアをもった多くの人が集まる。

 さらに、上場や事業売却を目指す起業家を育てるアクセラレーターやインキュベーター、投資家と共同で、コワーキングスペースを運営している企業も多い。そうなると、起業家にとって価値があるプログラムをいかに提供できるかが、他社との差別化につながる。

(つづく)
【石井ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
fabbit(ファビット)(株)

代 表:田中 保成
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1
    朝日生命大手町ビル3階
設 立:2017年4月
資本金:1,000万円
売上高:(18/9)2億9,400万円

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