2024年04月19日( 金 )

「『本部』が勝手に発表した」!? いきなり!ステーキ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
いきなりステーキ 店舗前

 業績の低迷が続く(株)ペッパーフードサービス(本社:東京都墨田区、一瀬邦夫社長)は、19年12月期末配当の無配修正や、収益性低下が見込まれる44店舗の撤退を決定するなど苦しいかじ取りが続いている。既存店不振を店舗数増で埋めてきた全店売上高も、出店数を減少させたことで19年8月に月次前年比で100%を割って以来低下が続いている。

 19年上期より順次進めてきた店内設備の入れ替えやメニューの変更などで、ファミリー層の取り込みを狙っているが、いまだ業績は改善せず、既存店回復を急務としつつも、短期セールやキャンペーンを次々に打ち出している状況だ。

 18年6月に発売した自社ブランドの黒烏龍茶に切り替えて以来消えていた、サイドメニューとして人気の高かった「サントリー 黒烏龍茶」を、10日から全店で販売を再開すると同社ホームページ内「お知らせ」にて発表した。しかし、福岡市内のある店舗では11日時点で再開されておらず、注文しようとすると、「当店では販売再開していないのでオリジナル烏龍茶になります」との答えだった。

HP告知
HP告知
※クリックで拡大

 ホームページで「全店で販売を再開」となっていたことを伝えるも、「FC(フランチャイズ)店なので再開するかどうかはわからない」「『全店』というのは本部が勝手に発表したことなのでこちらではわからない」「FC店なので本部と異なる判断をすることもある」との回答だった。ほかの店員に聞いても同様で、いきなりステーキブランドの黒烏龍茶が届けられた。

オリジナル黒烏龍茶
オリジナル黒烏龍茶
サントリーウーロン茶
サントリーウーロン茶

 

 残念なことに、全店で決定したことが店舗に伝わっていなかったり、従業員や個店で判断して本来と異なる回答をしてしまうことがチェーン店ではままある。しかしながら、この店舗ではその後も、注文していないメニューが届いたり、本来注文したサイドメニューは、肉を食べ終わろうかというタイミングで、通常の2倍程度の山盛りで届くなど、不安が残る店舗運営状況だった。

 同社店舗は「いきなり!ステーキ」業態で37.0%、「ペッパーランチ」業態においては88.7%がFC店(18年12月時点)という構成。その他委託運営や子会社運営もあり、全体では2/3以上が直営以外の店舗だ。主要なメニューや全体として発表したことに対し、それぞれの店舗が異なる判断をすれば、チェーンとしてのブランド構築は困難となる。

 既存店の売上回復には販促策などのカンフル剤も必要だが、前提として現場の改善が必須。現場作業やサービスレベルが改善しないまま集客をしても一時的な来店にしかならず、ともすれば更に客離れを進行させることにもつながりかねない。本部側のスーパーバイジング機能やマニュアル整備など、店舗管理体制を再構築し、現場の管理レベルを引き上げることが、ブランドイメージ回復への課題ではないだろうか。

【吉田 誠】

流通メルマガのご案内

 流通メルマガは沖縄を除く九州地区の食品スーパー、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売業の情報を、土日祝日を除く毎日タイムリーに配信しています。現在、1カ月間に限り、無料で配信させていただきます。無料試読希望者は、下記のメールフォームからお申し込み下さい。
※「流通メルマガ」試読申し込みフォームはコチラ >>

関連記事