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2020年01月08日 09:00

創業100年企業の遠忠食品 「三方よし」の精神が長寿企業の秘訣(2)

遠忠食品(株)代表取締役 宮島 一晃 氏

国産原料で第一次産業を応援

遠忠食品(株) 代表取締役 宮島 一晃 氏
遠忠食品(株) 代表取締役 宮島 一晃 氏

 佃煮は、野菜や海産物に、砂糖やしょうゆなどの調味料を使ってつくっている。原料がなければつくることができないため、「買ってやっているという気持ちにはなれず、原料を購入できてありがたいと感じている。共存共栄でWin-Winの姿勢を大切にしているからだ。長い目で見ると、売上や利益を重視しすぎるよりも、お互いに繁栄する意識のほうが大切だ。そうすれば利益も自ずと上げられる」と宮島氏はいう。

 木更津の海苔など東京湾を中心に、主に国産原料を使っているが、何十年と同じ漁師のグループから仕入れている。普通の取引では、豊作なら値段を安く交渉するが、「いつも同じ価格で買い取り、値引きの話はしない」と宮島氏はいう。豊作で値引きの取引をすると漁師側としてもいい商売にならず、お互いに良い関係を続けにくくなるという思いからだ。ただし、外的要因で値上げが必要な時は価格を調整している。たとえば、食品を販売するときには軽減税率で消費税は8%だが、食品に使う容器を仕入れる時には消費税率は10%に上がっていることもその1つだ。

 佃煮や惣菜の原料になる野菜や水産品も、できるだけ国産原料を使っている。農家や漁師と直接取引することで、普通なら商社に任せていては見えない部分も、積極的に現状を把握している。たとえば、中華素材の「ザーサイ」は国産原料を使った総菜を展開しているが、畑ごとに農家と直接契約して、作付けしたザーサイを全量買い取りしている。日本の第一次産業を応援したいという気持ちがあるからだ。

 農業の後継者が育ちにくい時代だといわれている。第一次産業は楽な仕事ではなく、自然災害のリスクもある。遠忠食品としては、輸入原料に頼らずに日本の農業や漁業の人たちと長く取引を続けていきたいという姿勢だ。

 惣菜に使っている国産の「メンマ」には、荒れた竹林の孟宗竹を販売することで、竹林の維持や管理ができるようにサポートしたいという宮島氏の考えがある。「愛媛の荒れた竹林を再生する協力ができればと考えている」と宮島氏はいう。

 宮島氏は、業界の常識にとらわれない異端児でもある。国産原料を使うことだけではなく、化学調味料を使わない食品づくりを行っている。スーパーでの低価格競争から距離を置き、付加価値のある商品として値付けをして専門店などで直接販売している。また創業以来、佃煮の製造では、しょうゆが香ばしくふっくらと仕上がる「直火釜」を使い続けている。直火釜は火加減の調整など経験と熟練が求められる。そのため、時代とともに大量生産が増えるにつれて、操作が容易な蒸気釜が主流になっている。だが、熱源が石炭や薪からボイラーに変わっても、遠忠食品の100年以上直火釜を残し、使い続けるという姿勢は変わらない。

(つづく)
【石井 ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮島 一晃
所在地:東京都中央区日本橋蛎殻町1-30-10
設 立:1948年3月
資本金:1,000万円
売 上:(19年/12月期)2億2,000万円

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