2024年04月16日( 火 )

「心の健康」気にしてますか?(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

(株)ホリスティックハーブ研究所

 仕事のストレスを抱える人が増えるなか、メンタルヘルスケアの重要性が高まっている。健康な人も、半健康な人も、疾患にかかっている人も、いきいきと働けるようにするには、どんなサポートが必要なのだろうか。精神科クリニックで植物療法を指導する傍ら、ハーブの普及活動に取り組む(株)ホリスティックハーブ研究所の橋口智親社長に語ってもらった。

うつ病とPTSDの経験、植物療法外来で生かす

(株)ホリスティックハーブ研究所の橋口智親社長
(株)ホリスティックハーブ研究所の橋口智親社長

 10年程前になりますが、当時在籍していた会社で、社会的な問題となる不祥事が発覚しました。その会社は海外とも取り引きしていましたので、広報と製品開発の統括責任者だった私は国内のみならず、海外での対応にも追われ、睡眠は移動中のみという過酷な生活が数カ月続きました。

 ある日、海外からの帰国後、帰宅途中に倒れて救急搬送されました。診断結果はストレス性高血圧による狭窄症でした。幸いにして病状は回復に向かったのですが、退院後、部下の裏切り、上層部の派閥などよくある話で、広報部長ほかすべての役職を解かれ、会社で私の居場所がなくなりました。このことで、私は人間不信になり、対人恐怖症となって精神的にも追い詰められ、結果うつ病と診断されました。

 最初は精神科でクスリを処方してもらっていましたが、通院が苦痛となり、自宅から一歩も出られず、電話にも出られない状態が1年ほど続きました。その後は徐々にクスリを減らす減薬療法と並行して植物療法を自ら実践し、2年後にはクスリを飲まなくても良い状態にまで回復しました。しかし組織人としての復帰は難しく、会社をつくり、植物療法を普及させるスクール事業や企業コンサルなどで再出発をしました。

 ところが、当時経営していたハーブティショップが軌道に乗り始める5年前に、外国人の強盗に襲われ瀕死の重体となり、また闘病生活を余儀なくされ、PTSD・後遺症にも悩まされました。

 そんななか、今お世話になっている埼玉県大宮市のメンタルクリニックの先生に出会いました。そこのショートケア施設でコンサルティングを行いながら、植物療法外来を週2回ほど担当しています。人生相談のように患者さんの悩みを聞きながら、ハーブティをブレンドしたりしていますが、これも減薬しながら植物療法に切り替えていった自分の経験が生かされています。

患者と一緒に食事をつくる

 外資系企業勤務が多く、仕事でドイツやスイスに行く機会が多かったので、現地の病院では「植物療法科」という専門外来があることは知っていました。ドイツには「アポテク」と呼ばれる、国が指定するハーブ薬局があり、国家資格である自然療法師や薬剤師がハーブの調合を行っています。

 ハーブを使った植物療法は、日本では医療行為として認められていませんが、何か普及する手立てはないかと考えた末、ヘルスケアステーションのような施設で自然療法をアドバイスする会社を起こしました。現在は、前述のクリニックの院長も薬物療法だけではなく、カウンセリングを中心とした非薬物療法も志向していたこともあり、お互いの考えが一致し、自立のための支援施設を兼ねたショートケア施設内でメンタルクリニックにおける植物療法や栄養療法の指導、コンサルテーションをさせていただいております。

 私自身もそうでしたが、うつ状態になるとすべてのことに無気力になってしまい、ご飯を食べることも億劫になってしまいます。ですから施設では、アクティビティの1つとして看護師さんや栄養士さんとともに、患者さんと一緒に食事をつくるようにしています。

(つづく)
【吉村 敏】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:東京都渋谷区神宮前4-19-8-322
TEL:03-6459-2093
FAX:03-6459-2093
URL:https://www.holistic-herb.co.jp

(後)

関連記事