2024年12月10日( 火 )

山本太郎氏が松山市で囲み会見とポスター張り

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 れいわ新選組の山本太郎代表は1月31日、松山市内で囲み会見を行い、前日ゲリラ街宣を行った狙いについて「実力がわかるから」などと説明するとともに、愛媛県内で擁立する候補者について「地元の方に立っていただきたい」との意向を示した。その後、自らポスター張りをした。

 午後1時、ボランティアによるポスター張りの集合場所に姿を見せた山本氏は、地元メディアの要請で囲み取材に応じた。

 前日午後、山本氏は同市内で事前告知なしの街頭記者会見を約2時間開いた。この動機について、「状況を把握するため。自分たちが思い上がらないように。実力がわかるから」と笑いながら告白した。国会議員時代は頻繁に行っており、昨年は9月9日、東京・荻窪駅前で決行している。

 事前告知との反応の違いについて筆者が尋ねると、「通常の街宣は集まって来る多くの人が事前学習して、れいわとは何かご存知の方。出てくる質問に『何でそんなこと聞くの』というのはない。たまたま通りかかって聞く人のシンプルな質問に、こちらはうれしくなる」と吐露した。

 前日の街宣では、最初の質問が「消費税をなくすと言っているのはうれしいが、負債をどう思うか」というものだった。「いつもの街宣では、後半戦で誰からも質問が出なかったときに一番分厚く話すところ。それがいきなり始まりに出た。素朴な質問をそのまま投げてくれるのはうれしいし、勉強になる。非常に緊張感がある」と山本氏。

 国会の勢力図と、国民の認識との乖離(かいり)をどう感じるか尋ねた。前日その質問を受けた際、山本氏が「日本の借金がこれ以上膨らんだら、破綻するだろうと思われる方」と聞くと、約50人中、10人しか挙手しなかったからだ。

 山本氏は「いろいろな情報に触れ、日本政府の借金が膨らんでも財政破綻する可能性はないだろうと思っている人たちも一定数増えてきてるのかなとは思うが、あまり目安にならないかも。むしろ、手を挙げた10人に破綻はあり得ないという認識を深めてもらうチャンス」と説得に余念がない。

 地元テレビの記者が「愛媛は保守王国といわれるが、どう色を打ち出していくか」と尋ねた。これに対し、「何をもって保守というか。保守と名乗りながら自分たちの議席を守る保身に回っているような人たちも非常に多く見受けられる。たとえば、TPP(環太平洋経済連携協定)に絶対反対と言いながら前に進めたり、地方経済がどんどん衰退していく中で消費税を上げる選択をしたり、一方で大企業に対して減税を続けるとか、あまりに矛盾しすぎている。この国に生きる人々を守るのが保守。そういう政治が行われ続ければ当然、この国は衰退していく」とくぎを刺した。

 そのうえで、「精一杯積極財政していきながら、あなたの生活を楽にしたいんですということを政治の場で実行していく。愛媛でもぜひ、私たちを注目していただきたい」と売り込んだ。

 れいわはこの日、次期衆院選を単独で戦うことになった場合、どの選挙区に候補者を立てるかをホームページ(https://reiwa-shinsengumi.com/reiwanews/4006/)に示した。昨年の参院選での得票数を衆院小選挙区に落とし込み、推計得票数から上位100選挙区を割り出したものである。四国は愛媛1区のみ。この理由について、「四国のなかでは、一番得票が高かった」と説明した。

 一方、地元新聞の記者が「愛媛1区に候補者を擁立する可能性は」とただすと、「全然分かんない。立てるとするなら、ベスト100は目安になるだろう。一番は資金、戦略の問題も関わる」と述べ、集まる寄付額や、対立候補の経済政策観によることを示唆した。

 立候補者の資質については、「地元の方に立っていただきたい気持ちが強い。地元の問題に対してよくご存知の方が、その地域の代表として国会に行っていただくことが重要」との考えを示した。

 集まったボランティア二十数人と4班にわかれ、2時間弱ポスター張りに回った。山本代表は松山市の中心部、大街道(おおかいどう)商店街に移動。アーケード沿いのお店を一軒一軒回る。途中、郵便配達員が山本氏の姿に気付き、握手を求める。うどん屋で1枚預かってもらえたが、許可が下りない。「なかなか厳しい」とこぼす。

 25分ほどして訪ねた喫茶店から、山本氏がようやく笑顔で出てきた。「お店の人から許可が出ました。美しく写してくださいという条件付きです」。自分の手でトイレ扉の内側に張った。赤地に「消費税は廃止。」の白抜き文字が並び、山本氏の顔がアップで印刷されている。座ったときに目が合うことを期待して。

 山本氏が「どうして張らしてくれた?」と尋ねる。女性店主は「テレビに映りたかっただけ」と返答。山本氏が白い歯を見せた。

 「太郎さんのことは知っていましたか」

 筆者が尋ねる。

 「知らん。よく掲示を頼まれるから、張らせている」

 「じゃあ、政策も?」

 「わかりません」

 スタッフがチラシを置いていった。

 この日は4班全体で約130軒回り、12枚の掲示に成功した。なかなか骨の折れる作業である。顔の知られた山本氏でさえ8枚。「市民による初めての政党づくり」は、人々の汗の上に成り立つ。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

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