2024年12月10日( 火 )

れいわが衆院選1次公認候補を発表、「1人ひとりが背水の陣で戦う」

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 れいわ新選組が17日、東京・赤坂の党本部で次期衆院選の1次公認候補者(首都圏)7人を発表した。元職の女性2人を含む。山本太郎代表は選定基準を「熱意が本物かどうか」などと述べる一方、運動量が乏しい場合、公認取り消しもあり得るとして「1人ひとりが背水の陣で戦っていく」と緊張感を示した。

 冒頭、山本氏は同日発表された2019年10〜12月期の国内総生産(GDP)速報値が物価変動を除いた実質で前期比1.6%減、年換算で6.3%減だったことに触れ、「消費税による大きな影響が出た」と評じるとともに、新型コロナウイルス対策に関し政府に要望書を提出したことを報告。「大きく財政出動しなければ、かなりまずい」と第2次補正予算案の編成を主張した。

左上から渡辺・辻村・櫛渕・北村、左下から山本・三井・太田・田島(敬称略、2020.2.17筆者撮影)
左上から渡辺・辻村・櫛渕・北村、左下から山本・三井・太田・田島(敬称略、2020.2.17筆者撮影)

 次期衆院選の戦い方について、
(1)消費税5%を共通公約に野党共闘
(2)それが実らない場合に独自候補を100人擁立
の2つがあるとしたうえで、「野党側の判断は解散風が吹いてからでないと、出ないのでは。そう考えると、100人の準備に入らないと。その一環として、今、第1次公認を発表する」と説明した。

第1次公認候補者(首都圏)は次の通り

【東京ブロック】
北村造(きたむら・いたる) 37 会社員(外資系不動産投資顧問会社) 東京2区
 2014年衆院選に維新の党公認で立候補、落選 ゴールドマン・サックス証券社員 早大
辻村千尋(つじむら・ちひろ) 53 自然保護アナリスト 東京8区
 2019年参院選にれいわ公認で立候補、落選 元公益財団法人日本自然保護協会保護部長 東京学芸大院
渡辺照子(わたなべ・てるこ) 61元派遣労働者 東京10区
 2019年参院選にれいわ公認で立候補、落選 26歳からシングルマザー 武蔵大中退
櫛渕万里(くしぶち・まり) 53 元衆院議員 東京22区
 2009衆院選に民主党公認で立候補、当選(1期) 国際協力NGOピースボート共同代表・事務局長 立教大

【北関東ブロック】
田島剛(たじま・つよし) 42 会社経営(ファイティングプロダクション) 埼玉2区
 K−1選手 拓大

【南関東ブロック】
太田和美(おおた・かずみ) 41 元衆院議員 千葉8区
 衆院議院3期(民主・生活・維新) 千葉県議1期 日大
三井義文(みつい・よしふみ) 64 軽量貨物運送業 千葉9区
 2019年参院選にれいわ公認で立候補、落選 セブンイレブンオーナー 住友銀行 明大

 第1次公認は計13〜14人。この日発表した7人の他、18日に静岡で1人、19日愛知で1人、21日大阪で1人、26日に山口で1人、28日に宮崎で1人、北海道で1〜2人の公認を発表する予定。

 会見で渡辺氏は、「参院選後、人々の暮らし、とくに消費税増税後ははますます逼迫(ひっぱく)している。生活の底上げをしたい。当事者による当事者のための政治を国政に訴えたい。元派遣、シングルマザーとして、『ど庶民によるど庶民の政治』を目指し、貧乏人の怒りをパワーに変えて戦い抜きます」と抱負を述べた。

 辻村氏は「国が公共政策としてグリーンインフラを整える」と表明。「里山を復活させ、第1次産業である農林水産業をきちっと小さな仕組みのなかで回していく。エネルギーも小さな仕組みのなかで自給していく大きな転換点にしていかないと、日本の自然環境、ひいては地球環境を守ることはできない」と公共投資による自然保護を訴えた。

 櫛渕氏はグリーンピースの活動で見た世界の格差と貧困が自身を国政に導いたと振り返る一方、3年3カ月見た国会を「本気度、熱意、国民に真剣に向き合う気持ちが残念ながら感じられなかった。この苦悩を日本の変革にどうつなげていけるか。その答えをくれたのが、参院選での障害者を高齢化社会のフロントランナーとして位置付け、闘い始めたことに心打たれた」と、れいわで再挑戦する決意を語った。

 北村氏は金融・不動産業界に従事する立場から、安倍政権の経済政策を「持つ者はより豊かに、持たざる者は置いていかれる政策」と断じながらも、「サラリーマンだから、その片棒を担いできた」と吐露。「この町にはびこる不条理や貧しさと戦い、この町にいる1人でも多くの人、この国に生きる1人でも多くの人を幸せにするため、この戦いに全力で取り組む」と表明した。

 田島氏はジム経営の立場から消費税の問題に触れ、「売上が減っている状態で消費税率だけ上がるかたちは、ものすごく経営を圧迫する。社員を雇うとき、消費税を外注費として消せる派遣のほうが良いという部分でも、消費税は良くない」と消費税廃止を訴えるとともに、直接支払による教育無償化を提言した。

 太田氏は「1強といわれる自民党政治に対抗できる勢力がない。『多弱』といわれる既成野党が自己の正当性ばかり主張し、足の引っ張り合いをしていては、国民は浮かばれない」と批判。2012年の参院本会議で消費税関連法案に反対票を投じたことや、2011年の原発事故を振り返り、「政治に捨てられたと感じる人たちの声を拾い、本気で闘ってくれる政党がれいわ新選組と確信した」と応募動機を明かした。

 三井氏は、軽量貨物運送業に従事する立場から、「この社会を支えているのは誰か。日本の良さは、日々の生活を真面目にやっている人たちがつくっている。それを日本の政治が忘れていないか」と提起。20年以上続くデフレから脱却する経済政策を打てない政治の現状をやり玉に挙げ、「与党も野党も、真剣に戦ってきたのか。次の選挙では、問題の当事者が永田町で真実を語り続けることが日本のためになると思うので、立候補を決意した」と語った。

記者の質問に答える山本氏(2020.2.17筆者撮影)
記者の質問に答える山本氏(2020.2.17筆者撮影)

 山本氏は候補者選定の基準について、「一番は熱意。その熱意が本物かどうか。しかし、それだけでは勝てない。腕に覚えがあるとか、丁寧に地元とのやり取りを続けていらっしゃる方」と明かした。

 一方で、「小選挙区の候補者として必要な運動量が獲得できていない場合、この先、逆に公認取り消しもあり得る。それくらい、1人ひとりが背水の陣で戦っていく」と緊張感を示した。

 記者が、前日の「立憲フェス2020」で枝野幸男代表が「消費税5%を野党共通の政策にすると、与党側から財源論を攻められ、守勢の戦いになる」と発言したと向けた。これに対し、山本氏は「13兆円程度の財源を示せないようなら、かなり痛い。恐らく、プライマリーバランス(PB)黒字化に凝り固まってるのでは」と、世界の事例に言及。

 PB黒字化達成のための予算削減で、真っ先に社会保障や公衆衛生費が削られたことを挙げ、「今、コロナウイルスの状況を見て公衆衛生を削れという議論になるか。逆に大胆に支出しなければいけない局面。財源論が国会の主戦場になったら、願ったりかなったり。さっさと財政出動させるような積極的発言を野党が求めなければ、どうなる、この国」と反緊縮路線への同調を促した。

<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)  

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

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