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2020年03月23日 13:30

『脊振の自然に魅せられて』「第1回 ブナ林調査」

 日本のブナの北限は北海道の黒松内(くろまつない)で、渡島半島の付け根にある標高200mの場所にあります(函館から北に100km)。

 また南限は鹿児島県の大隅半島の高隈山(標高1,000m)で、同じ鹿児島県の屋久島にはブナがありません。

 「ブナは氷期に北海道から鹿児島県の大隅半島まで南下してきたが、屋久島にはたどり着かなかった」という見解が一般的のようです。

 ブナの保水力は樹木のなかで一番です。雨は葉に集まり、枝から幹に流れ落ち根元に集まります。集まった雨はスポンジ状の落葉のなかに蓄えられます。

 世界遺産になった東北の白神山地のブナは有名ですが、ブナは九州にもあります。

 九州のブナは脊振山系をはじめ英彦山、九重連山、祖母、傾山、脊梁山脈、霧島山系などにあり、標高1,000m近い山にブナ林があります。

 近年、英彦山や脊梁山脈はシカによる枝葉の食害や剥皮被害が全体の約7割を占めており、深刻な状況となっています。シカの食害で下草、スズ竹まで食い尽くされ、森は草原化しているのです。

 シカによる森林被害は、再造林や森林整備に支障をきたし、土壌流出などにより森林保全に影響を与えるおそれがあります。

 シカの被害対策として、若木の幹を金網で囲み、シカが樹皮を食べない工夫や、脊梁山地の五家荘では一定のエリアを網で囲ってシカの侵入を塞ぎ、森本来の姿に戻す実験などが行われています。

 私のフィールドである脊振山系は福岡県で唯一、シカの被害が皆無な山地です。

 脊振山(1,055m)〜金山(967m)〜井原山(983m)〜雷山(955m)間に大小合わせて数多くのブナが自生しています。

 脊振山系ではブナの標本数、幹周り、高さ、樹齢など本格的なブナの調査が行われておらず、シカの被害にあわないうちにと、ブナの調査を行うことを思い立ちました。

 昨年秋、福岡市早良区の野河内渓谷での自然観察会で指導をお願いした森林インストラクターNに相談したところ、自身が高齢だからということで、別の森林インストラクターを紹介されました。

森林技術者の説明を受けて調査方法を学ぶ
森林技術者の説明を受けて調査方法を学ぶ

 3月11日(水)、脊振山周辺で第1回ブナ林調査を行いました。

 「脊振の自然を愛する会」会員6人、「背振少年自然の家」職員2名、森林インストラクター2名、合計10名が脊振山頂駐車場に集合しました。

 森林インストラクターIの指導により自衛隊基地周辺で調査を行いました。生い茂るミヤコザサのなかを分け入り20m四方に紐を張り、そのなかのブナを含む植物の標本調査です。

 調査の結果、ブナをはじめ、イヌシデ、リョウブ、ミズナラ、コウチワカエデ、タンナサワフタギなど10種類の樹木があることが判明。そのなかに山菜で有名なコシアブラもありました。

 調査が一段落し、脊振山頂駐車場で昼食をとりました。風が少しあり、寒さもありましたが陽を浴びて、それぞれ思い思いに弁当を口にしました。

 昼食後、ブナが豊富な場所へ移動し、2回目の調査を行いました。

 前回と同じく20m四方に紐を張り、参加者たちはミヤコザサをかき分け調査を開始。

 ブナの直径は最大で41cm(幹周り128.7cm)、高さは最高で16m(目測)、総数は18本でした。枝を四方に張る巨大なブナに圧倒されました。

 3回目は気象台レーダー入り口付近に移動、指導を仰ぎながら自分たちだけで調査を行いました。アカガシの大木が混在するなか、ブナがたくさんありました。

 第1回の調査が終了し、樹齢100年と思われるブナに生命力を感じるとともに脊振山系の豊富な樹木の数を知った1日でした。

次回は金山周辺のブナ林調査です。

樹木の幹を計測するメンバー
樹木の幹を計測するメンバー

2020年3月23日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

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