2024年04月20日( 土 )

アンケートを利用して大学生を勧誘し、無理やり契約迫る~東京都のセミナー運営会社に行政処分

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 東京都は3月31日、学生向け就職活動教育や支援、人材育成塾「一生懸命塾」の運営などを手がける(株)もとい(東京都千代田区、米盛みゆき代表)に対し、特定商取引に関する法律に基づき、4月1日から3カ月の一部業務停止命令と、違反行為を是正するための措置を指示した。米盛代表に対しては同日から3カ月間、当該停止を命じた範囲の業務を新たに開始することの禁止を命じた。

 同社は都内の企業説明会会場や大学構内付近などで、大学生にチラシを配布したりアンケート用紙に記入を求めたりするなどした後、アンケート用紙に記入した学生に対しては入手した連絡先に電話をかけ、「就活生を応援するための無料セミナーに興味ありませんか?」などと勧誘。その際、「一生懸命塾に興味がある」と答えた学生に対し、再度別日に事務所へ呼び出し、一生懸命塾の説明と入塾の勧誘を行っていた。

 しかし、学生が金銭的な理由などで入塾を断ったり、「いったん帰ってから考えたい」などと言うと急に態度を豹変。「がっかりだ」「入学金と月謝で4万円は全然大したものじゃない。そんな金額が都合できないと答える時点で、計画性の無さを物語っている」「今まで大した人生を歩んでこなかったんだろう。そんな人間は社会に出ても成功しない」などと長時間にわたって学生を執拗に問い詰め、半ば無理やり契約書に署名捺印を迫るなどしていた。

 調べによると、2015年度から19年度にかけ、同社に関する相談が累計129件にも上っており、都の調査の結果、1人あたりの平均契約額は約5万6,000円、最高で約31万円の契約を交わした学生がいたことが判明。事態を重く見た都は、同社が行った一連の行為が、特商法に定める不適正な取引行為にあたると判断、今回の処分となった。

 都の職員によると、同社は2013年にも是正勧告を受けており、今回で2度目の処分。クーリングオフについては「ケースバイケース」であると話し、まずは最寄りの消費生活センターなどに問い合わせるよう呼びかけている。

 同社は取材に対し、「事実関係について詳しいことは担当に聞いてみないとわからない」とコメント。処分については、「すでに社内で共有されており、指摘された事項については改善に向けて取り組んでいる」と話した。

【長谷川 大輔】

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