福岡県日韓親善協会が設立50年記念講演会を開催~村井正隆副会長が日韓交流を語る
福岡県日韓親善協会は14日、ホテルニューオータニ博多で定期総会と記念講演会を開催した。今年は日韓国交正常化から60年の節目の年であり、同協会の発足からも50年の節目にあたる。
村井氏が尽力した福岡県と韓国の民間交流

福岡県選出の国会議員、福岡県議会議員、北九州・福岡両政令市の市議会議員、県内の企業経営者、在日本大韓民国民団の関係者、釜山市の韓日親善協会の関係者など約400人が出席した。
午後4時から開催された協会の2025年度総会では、議案書に基づいて24年度の活動報告や収支決算の報告がなされ、25年度の役員人事についても満場一致で可決した。
総会後には、福岡県日韓親善協会副会長であり、協会の発足前から日韓の橋渡しをしてきた村井正隆氏(ムライケミカルパック代表取締役社長)が、「日韓よもやま話、part2」と題して講演を行った。
講演冒頭、村井氏は「日本が1945年8月にポツダム宣言を受諾して終戦を迎えた。この日をもって新生大韓民国が誕生しましたが、それまでの36年間、日韓併合という大変韓国の皆さまに屈辱を与えたことは、1人の日本人としてお詫びを申しあげないといけないという思いでいっぱいです」と、日本の植民地支配に対する謝罪と反省の意を述べた。
1950年に北朝鮮による朝鮮戦争が勃発したが、「大韓民国がスタートして5年で、いわゆる朝鮮動乱が起き、韓国は大変な状況のなかにありました」と述べた。また、「マッカーサー元帥の仁川上陸作戦により、現在の38度線による休戦ラインとなり南北が分かれましたが、その後も北朝鮮はトンネルを建設するなどして南進を行おうとしてきました」「その際の現地司令官が、第5代大統領に就任された全斗煥氏(チョン・ドゥファン)です」と、建国当初の南北の緊迫した状況を語った。
65年に日韓基本条約が締結され日韓両国の国交正常化が実現した。民間交流の母体が必要とされ、国交正常化から10年後の75年6月に福岡県日韓親善協会が創立された。村井氏は常任理事を経て、81年6月に副会長に就任し、現在も同職にある。

福岡での親善協会発足にあたってのエピソードについて「九州電力会長の瓦林潔会長に話が下りてきました。瓦林会長は明治36年4月10日の生まれでしたから、戦前のことは詳しく、韓国に対して申し訳なかったという気持ちもあったのかもしれません。そこで『それはいいことだ、今後は韓国と仲良くしていかなきゃいかん』と会長就任を快諾されました」と経緯を述べ、「FBS福岡放送の社長を務めた安浪栄基氏が2代目の会長に就任され、私も副会長となりました。瓦林会長のお声がかりですから七社会(福岡財界の主要企業)を中心に大きな組織ができましたが、韓国との人間関係がある人が必要ということで私も入会させていただいた次第です」「今後も日韓親善協会が続いていくことを願っています」と当時を振り返りつつ語った。
村井氏は韓国との交流のなかで、福岡県知事の訪韓に尽力したことについても語った。
「時の幹事長でありました李秉禧(イ・ビョンヒ)という方と食事しているときに、日本の都道府県知事を『誰か招待したい』とおっしゃいまして、『誰か適当な方はおられませんか』という話になりました。『それなら私が住んでいる福岡県の県知事が一番いいですよ』と言いましたら、『その方に自分名義で招待状を出しますから、ご案内できますか』とおっしゃるので、『私が亀井福岡県知事にお話をします』とお返事しました」と述べ、「亀井知事は、『村井さん、行こう』という返事でした。行きましたのは、そのときの秘書室長で後に出納長になられた大嶋亮介さんと、専任秘書の小池浩輔さんと私の4人。韓国から正式に招聘状をいただき、ご一緒しました」と亀井光知事の韓国訪問に同行し、県行政と韓国とのパイプ役を務めたことを述懐した。
現政権でも日韓の友好親善は継続する
また福岡県が主要施策として推進している「ワンヘルス」についても触れ、来賓として出席していた蔵内勇夫福岡県議会議長が世界獣医師会会長に就任することや、その普及に取り組んできたことを紹介。韓国でも同様の啓発活動が進められていることに言及した。
講演の締めくくりに村井氏は、尹前政権時代に改善した日韓関係について「国益を考えない大統領、あるいは総理大臣というのはどこにおりますか」と指摘。「両国の関係が非常に良くなったということについては、日本はもう大変感謝をしておるところでありますけれども、大統領が代わられたとしても、尹大統領のときから、両国の関係が後退するということはありえません」との見解を示した。
講演後、隣室に移動して懇親会が開催された。多くの参加者のなか、同協会の名誉顧問も務める駐福岡大韓民国総領事の朴建燦(パク・コンチャン)氏も登壇。本国外務省の許可を得て、10日離任の予定を延長して、日韓親善協会の催しに出席したことが紹介された。
協会の名誉顧問である服部誠太郎福岡県知事は「朴総領事とは3年にわたり家族ぐるみでおつきあいさせていただいたが、帰国されてからもこの絆を大切にしてまいりたい」と朴総領事に謝意を述べた。
懇親会では、講演を行った村井副会長を囲んで語りあう輪も多く見られ、和やかな雰囲気のうちに会は終了した。
【近藤将勝】