2021年12月09日( 木 )
by データ・マックス

『脊振の自然に魅せられて』「第3回ブナ林調査」

 パソコンのメールで「3回目のブナ林調査を行います」と会員に知らせた。すると会員の Gから「『うちの会』にこのままメールを流そうか」と思う、という旨の電話があった。
 「うちの会」とは「福岡市水源林ボランティアの会」のことで、福岡市水道局と連携して、植樹や曲渕ダム周辺の山の手入れを行っている100人の会員が在籍する高齢者のボランティア団体ある。
 その会のなかにさらに「オヤジの会」をつくり、奥さんに食事の負担をさせまいと毎週水曜日、曲渕ダム周辺の「茶話の森」で昼飯をつくり、仲間との交流を楽しんでいるグループである。最近まで近くの竹炭窯で竹炭づくりを楽しんでいたが、事情があり、今は竹炭づくりをやめている。Gは何かとオヤジの会に声をかけてくれ、その都度、応援にきてくれるので、とても助かっている。

 メールによる募集の結果、「脊振の自然を愛する会」から女性3人を含む6人、会員であるSAGAアウトドアガイドクラブの I、「オヤジの会」から7人、「背振少年自然の家」の男性職員が2人の合計16人が参加することとなった。

雄大にそびえるブナの大木

 4月3日(金)午前9時に佐賀県の金山脊振林道にある金山登山口駐車場に集合。第2回の金山周辺の調査は会員5名で行ったが、ブナの数が圧倒的に多く、計測に時間がかかったため、再度、参加人数を増やし、グループ分けして調査することにしたのである。

 集合した参加メンバーに調査についての簡単な説明をし、4班にグループを分け、前回の調査経験者をリーダーにした。
 マダニ対策のため、タオルと作業用のゴム手袋を用意。軍手ではダニにやられる恐れがあるので、ゴム手袋を付けてもらうことにしたのだ。また、巻尺、ノート、鉛筆という3点の調査用具も4セット用意した。
 金山山頂(978m)を目指して出発する。所用時間は約60分だが、オヤジの会には山歩きに慣れていない人もいるので、2、3回休憩をとった。
 沢ぞいの静かな上りの登山道に滝の音とミソサザエの澄んだ鳴き声が聞こえてくる。
 「あと少しですから、あと5分ですから」とメンバーたちを励ましながら金山山頂を目指した。

 先に山頂近くの縦走路に着いたグループはすでに調査を始めていた。「1本、2本」とブナを数える声が聞こえてくる。
 金山山いただから脊振山方面の縦走路3キロには、左右に大きなブナがたくさん自生している。ここから脊振方面へと調査するのである。

 今回は参加人員も多く、班ごとの調査がダブらないよう「A、B班は縦走路の右を C、D班は縦走路の左手を」とワンゲルの後輩・Hが指示を出す。彼は前回調査の経験者で調査方法を理解していた。また調査済みのブナにはシールを貼り、調査がダブらないようにした。
 D班担当のワンゲルの後輩 Sから私に「効率よく調査するために調査の最終地点から逆方向に調査しましょう」という提案があり、脊振山方面の縦走路を先へ進んだ。

 調査の最終地点には佐賀県と環境省が設置した脊振の樹木の説明板がある。設置から時間も立ち、朽ちかけているが、説明書きは読み取れる。それによると「ブナがたくさんある場所」とある。
 用意した巻尺で測るが、ブナの幹に1人で手を伸ばしても手が回らない。それほど大きなブナがあるのだ。2人がかりで巻尺を伸ばす。2mは悠に超えている。それを記録係がノートに記帳する。
 調査では誰が指示するでもなく、巻き尺で計測するもの、記録をつけるものと各々が自主的に役割分担している。私は撮影と GPS計測器による調査場所の記録を行った。

ブナの幹まわりを計測

 生い茂るミヤコザサのなかに「でかい」ブナが見えたので、笹薮を分け入って近づいてみる。高くて、でかい、ブナの生命力に圧倒された。「山オヤジ」と言ってよいほど貫禄のあるブナだった。
 そんな調査を行いながら、金山方面の迂回ルートとの分岐点へ下りてきた。そこには、いつも昼食をとっている大きなブナの幹があり、少し開けた場所となっている。
 時計を見ると12時30分、そろそろ昼食の時間だが、ほかの班はどうしているのか気になった。すると一般の登山者グループが金山方面からやってきた。「ブナの調査をしている者を見ませんでしたか」と問うと、「さっき昼食をとっていましたよ」という答えが返ってきたので、私たちもこの場で昼食をとることにした。各自、思い思いの場所に腰を下ろし、参加者全員に用意した鶏飯弁当を食べた。
 後輩のSがワンゲルの先輩についての話をした。「今日は昼飯がありますが、 T先輩と我々が一緒だと昼メシの時間がないんですよ」という。副代表のT先輩は山のスペシャリストであり、後輩の我々は決して逆らえない。T先輩は歩きながら非常食を口にするマイペースな人なのだ。

 私はSのため白飯の弁当を用意していた。彼は鶏飯が苦手だ。12年前、早良区役所と道標設置事業行った時、毎週この鶏飯が区役所から提供され、「その度に鶏だけつまみ出していた」とSから聞いて知っていた。
 新型コロナウイルスの話題も出たところで昼食を終えた。すると、金山方面から賑やかな声が聞こえてきた。ほかの班のメンバーたちだ。
 参加者全員が集合したところで、大きなブナをバックに記念写真を撮った。それぞれ実に晴れやかな顔をしていた。
 ここから迂回ルートを下る班、金山山頂を経由して下る班に別れた。私は途中、小型道標の手入れがあり、迂回ルートを下る先輩Tは登山道の倒木処理が残っていた。ほとんどのメンバーが先輩Tを先頭に下りが楽な迂回ルートへ付いて行った。迂回ルートは森のなかを歩くので景色が見えない。金山山頂ルートは景色を見ながら下れる。私を含めた4人が金山方面へ向かった。

ブナ林調査に参加したメンバー

 集合場所である駐車場には迂回ルート組より10分遅れて着いた。全員が集合したところで、今日のお礼を言い解散した。

 帰宅して、おやじの会のGにお礼の電話をした。「みんな、へばっちょった。あんなにキツイとは思わなかった」と言っていたと大分弁で語った。平地での山仕事は慣れているが、本格的な山歩きには慣れていない高齢者たちだったのである。

 調査後の4月7日はドコモとの携帯電話受信調日だった。私は急用で参加できなかったが、私の代理で参加した登山ショップの Uから「赤や黄色のシールがあったけど、あれは何ですかと」と聞かれた。
 Uには三瀬峠—金山—小爪峠ルートのドコモとの調査に参加してもらった。Uは調査を終えたばかりのエリアを歩いてきたのだった。私は「あれはブナ林調査のもので、別に意味はないよ」と返事をした。調査を終了してシールを剥がす時間がなかったのだ。
ブナにつけた調査済みシールは、ブナの撮影に行った時に剥がすつもりだ。

2020年4月8日
脊振の自然を愛する会
代表 池田 友行

 

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