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2020年04月29日 08:00

ロケットで米国まで30分実現か シリコンバレーで注目する投資先とは(後)

ペガサス・テック・ベンチャーズ共同代表パートナー&CEO
アニス・ウッザマン 氏

 今までになかった技術を生み出して、社会の仕組みを変えてきた米国シリコンバレーのITベンチャー企業。最先端技術が生まれる米国IT業界で、ベンチャーキャピタルが注目するテクノロジーとは何か。多くの日系大手企業が投資しているITベンチャーの動向を、シリコンバレーに本拠を置くPegasus Tech Ventures(ペガサス・テック・ベンチャーズ)の共同代表パートナー&CEO(最高経営責任者)・アニス・ウッザマン氏に聞いた。

注目の宇宙開発ベンチャー

 今、米国シリコンバレーで注目されているのは宇宙開発のベンチャーだ。たとえば、米国ベンチャーのSpace X(スペースエックス)は全世界産業用ロケット打ち上げの60%のシェアをもつと言われている。ロケットビジネスでシェアを伸ばすスペースXのメイン事業は3つある。1つ目は、再利用可能なロケットの打ち上げビジネスだ。機体の一部を最大10回まで再利用できるロケットを用いて、今までの約6分の1、1回あたり約62億円でのロケットの打ち上げを可能にした。

アニス・ウッザマン 氏

 2つ目は、2020年から開始する次世代インターネットStarlink(スターリンク)だ。たとえば、今現在は日本から米国にメールを送る通信は、海底の光ファイバーケーブル経由だ。日米間を結ぶ海底ケーブル1 本あたりの建設費は約300億円といわれ、世界中の海底にケーブルが敷かれている。しかし米国にメールが届くまで数秒の遅延があり、光ファイバーといえど光速を実現できていない。そのため、日本から米国へのオンライントレーディングなど1秒を争う通信はできない。しかし、全世界の上空550㎞に通信衛星を打ち上げて、レーザーで衛星間通信をすることで、スペースXは光速での通信を実現する。国を超えた通信の遅れがなくなると、海外へのオンライントレーディングなどもできるようになるだろう。再利用可能ロケットによる打ち上げコストの低価格化で多数の衛星の打ち上げが可能になったことがこの事業を後押しする。2023年には米国、カナダの一部地域での実用化を予定し、世界中に広がることが見込まれる。

 3つ目は、100%再利用可能のStarship(スターシップ)ロケットの開発だ。2026年ごろには乗客を運べるようになる予定だといわれている。「実現すれば日本と米国を30分程度で移動できるだろう」とウッザマン氏はいう。今後、ペガサス社を通して日系大手企業がスペースXへの投資を予定しているという。

自動運転の最新技術

 今年、米国で技術進歩が加速するとウッザマン氏が見込んでいるのは店舗の自動化システムだ。たとえば、米国ベンチャーのStandard cognition(スタンダード・コグニション)は、無人決済・レジなし小売店用システムを販売する。センサーや位置情報を知らせるビーコンを設置することでAmazon Go(アマゾン・ゴー)のように自動化できるという。

 さらに、自動運転も大きく進化している。レベル1(運転支援)からレベル5(完全自動運転化)まであるが、高速道路においてレベル3の運転手監視下での自動運転を実現しているテスラはその筆頭だ。
 しかし、完全な自動運転になるレベル5までの道のりは遠い。レベル3からレベル4への技術開発の壁の1つは、普通の道路で歩行者の次の動きを読むことが難しく、どの人が車道に飛び込んでくるかがわからないことだ。

 米国ベンチャーのPERCEPTIVE AUTOMATA(パーセプティブ・オートマタ)は、歩道の歩行者の動きを予想できるシステムを開発する。車載カメラの画像で歩行者を詳細にチェックし、行動心理学の観点から歩行者の次の動きを予想する。多くのベンチャーが参入する自動運転技術は大きく発展し、完全な自動運転化も近い未来のものになるだろう。

(了)

【石井 ゆかり】


<COMPANY INFORMATION>
所在地:2680 N. 1st St., Suite 250 San Jose, California 95134 United States
代 表:Anis Uzzaman
ファンド運用開始:2011年5月

<プロフィール>
アニス・ウッザマン(Anis Uzzaman)

東京工業大学を卒業後、米国の大学にて修士号、首都大学東京にて博士号を取得。IBMなどでのマネジメントを経て、シリコンバレーにてペガサス・テック・ベンチャーズを設立。インターネット、モバイル、ソーシャル、クラウドなどの分野で優れた最新技術を持つ世界中のベンチャー企業に対し投資を行っている。

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