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2020年06月26日 10:30

【関電】金品受領問題が泥沼化の関西電力 「関西検察」天下りOBたちの責任

 役員らの金品受領問題に関し、25日の株主総会で株主たちから批判が相次いだ関西電力。この問題を泥沼化させたのが、同社に天下っていた「関西検察」大物OBたちの不適切な対応だ。

「手ぬるい」と批判された関電

 八木誠前会長や岩根茂樹前社長ら関西電力の幹部が高浜原発の地元・福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領していた問題は、昨年9月、共同通信の報道で発覚。問題自体の重大性もさることながら、2018年の時点で問題を認識しながら隠蔽していた関電の不誠実な対応に批判が集まった。

 同12月には、市民団体が関電の幹部12人を特別背任や贈収賄などの罪で大阪地検に刑事告発。関電は株主からの提訴請求をうけ、今月16日、八木氏や岩根氏ら旧経営陣5人に19億円余りの損害賠償を求める提訴に踏み切ったが、事態は沈静しなかった。今月23日には、個人株主ら5人が「責任追及の範囲も請求額も手ぬるい」と主張し、現旧取締役や監査役ら22人に対し、92億円余りを同社に支払うよう求める株主代表訴訟を起こす事態となっている。

 対応が常に後手に回り、泥沼にはまった感のある関電。それを招いたのが、同社に天下っていた「関西検察」の大物OBたちだ。

被告になった「関西検察のドン」

 まず、問題発覚時に社外監査役だった元検事総長の土肥孝治弁護士(86)。関電の依頼を受けた外部弁護士の調査では、土肥弁護士ら監査役は取締役会への報告を怠り、「善管注意義務違反」があったと認定された。さらに18年に問題が発覚した当初、関電が設置した調査委員会では、元大阪地検検事正の小林敬弁護士(69)が委員長を務めたが、この問題を公表していなかった。

 企業法務やコンプライアンスに詳しい元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は、問題の構図をこう解説する。

 「『関西検察のドン』と称される土肥氏が監査役として、この重大な問題を認識しながら、事実上、『取締役会に報告しなくてよい』というお墨付きを与え、小林氏も隠蔽に加担したわけです。検察の大物OBたちがこのように極めて不適切な対応をしたため、問題が長く表に出ず、結果的に関電の重大な信用失墜につながったのですから、絶対に責任を問われるべきです」

 正論だろう。しかし、土肥弁護士と小林弁護士は関電に重大な損失を与え、とくに土肥弁護士に至っては「善管注意義務違反」が認定されたにも関わらず、関電から提訴されていない。一方、個人株主らが起こした株主代表訴訟では、22人の被告に土肥弁護士も含まれており、土肥弁護士らの責任はもとより、土肥弁護士らを提訴しなかった関電の判断の当否も問われることになる。

被告にもかかわらず「社外取締役」に

 見過ごせないことが他にもある。金品受領問題が発覚後、昨年6月に土肥弁護士が社外監査役を退任し、その後任として新たに社外監査役に就任したのが元大阪高検検事長の佐々木茂夫弁護士(75)だったということだ。郷原弁護士はこう見る。

「土肥氏が佐々木氏にポストを譲り、検察マターになりそうな臭い物にフタをする役割も託したわけです」

 実際、佐々木弁護士も監査役として今回の金品受領問題を認識していながら、関電を問題の公表へと導けていない。これでは、「関西検察のドン」である土肥弁護士から隠蔽の役割を引き継いだとみられても仕方ない。個人株主らが起こした株主代表訴訟では、佐々木弁護士も22人の被告に含まれており、その責任が問われることになる。

 さらに驚かされるのは、佐々木弁護士が株主代表訴訟の被告になっているにも関わらず、25日の株主総会で新たに関電の社外取締役に就任したことだ。郷原弁護士はあきれたようにこう言う。

 「(佐々木弁護士の社外取締役就任は)とんでもない話です。いかに関電の再発防止策やそのための体制がろくでもないものかはこれだけでもよく表れています」

元検事総長は「体調不良」を理由に取材拒否

 では、「関西検察のドン」こと土肥弁護士は、今回の問題に関する自分の責任をどう受け止めているのか。ファックスで取材を申し入れたところ、事務所の担当者からファックスで次のような回答があった。

日頃は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

さて、FAXによる取材の依頼について、現在は土肥先生の体調不良もありどちら様に対してもお断りしている状況でございます。

せっかくのご依頼ではありますが貴意にそえず、まことに申し訳ございませんが、何卒ご了承くださいませ。

 関電の金品受領問題に関与した「関西検察」の大物OBたちの不誠実な対応を見ていると、彼らの存在は企業にとって「百害あって一利なし」なのではないかと思えてくる。

【取材・文/片岡 健】

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