「おもしろいファースト」で取り組む 糸島のまちづくり
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2020年07月08日 07:00

「おもしろいファースト」で取り組む 糸島のまちづくり

いとしまちカンパニー(同)

思いをかたちにした「いとシネマ」

代表社員 福島 良治 氏

 いとしまちカンパニー(同)は、糸島市の活性化に取り組む西日本新聞グループ協力のもと、「オモシロイ」を楽しむ会社として2019年2月に設立。同年6月には、新規事業創出や観光振興などを目的に、糸島市やNTT西日本・九州事業本部と連携協定を締結し、話題になった。企業としてではなく、糸島に暮らすことがオモシロイと思えることをかたちにしたいという個人としての活動、そしてそこから生まれた人との出会いが、同社の基礎になっている。

 「糸島には本当に魅力的な人が多いなと感じます。そんな人たちが一堂に会して交流を深められる場所があればいいなとの思いから、私が発起人となって毎月『いと会』を開催するようになりました。そこで各々が夢を語り合うなかで、『映画館をやってみたい』という声が複数上がり、『じゃあ実際に自分たちでやってみよう』と挑戦して生まれたのが、『いとシネマ』です」(福島氏)。

 「いとシネマ」の実現に向けては、映画館で映画を観るという体験を、「糸島ならではの環境下で」共有することに重点が置かれた。豊かな自然が生み出す美しい景観やおいしい料理も楽しめるようにと屋外での上映となり、上映作品には子どもも大人も楽しめるようにと片渕須直監督作の映画「マイマイ新子と千年の魔法」が選定された。17年5月、いとシネマ開催日当日には、満天の星の下に多くの人が集まり、特別な時間を過ごした。

 「何の実績もないなかでの取り組みでしたので、正直不安のほうが大きかったです。しかし、地元・糸島の企業さまからご助力いただいたり、片渕監督が自身のSNSを通じてクラウドファンディングに協力して下さったりしたことで(目標額100万円に対して、160名から134万円以上を集めた)、蓋を開けてみれば出店していただいた飲食店の商品はアッという間に完売するなど、大盛況のうちに終わりました」(福島氏)。

 いと会での出会いと、そこで語り合った夢をかたちにした「いとシネマ」。周囲からの後押しもあって手にしたこの成功体験が、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2017 in 福岡」糸島会場の運営、そして、いとしまちカンパニーの設立、さらには冒頭の糸島市とNTT西日本・九州事業本部の連携協定の締結へとつながっていく。

みんなのための交流拠点

 出会いのなかで「オモシロイ」と思ったことに全力で取り組み、形にしていく。共同代表3人が大切にしている「おもしろいファースト」と呼ぶこの活動方針は、計画の立案からプロジェクトを始める企業にとっては、信じられないかもしれない。

 「誰かが決めた計画を聞いて、逆算で進めていっても、やる本人がプロセスを面白がって楽しくやれないと、得られる結果は計画したもの、言い換えると、計画段階でイメージできるくらいのものなのではないでしょうか。どんな事業でも、原動力は人です。そして、その人が面白いから、好きだからという思いで物事に取り組めれば、その先に思ってもみなかった成果、想像を超えた未来を掴めるのではないかと考えています。だから『おもしろいファースト』なのです」(福島氏)。

 活動の源泉となる人との出会いを促進すべく、同社は20年1月、NTT西日本・前原ビルの1階にオープンコミュニティスペース「みんなの」をオープン。オープンに際しては、糸島市やNTT西日本、西日本新聞グループも支援した。
 同社もリノベーション費用を捻出するためにクラウドファンディングを行い、約250万円を集めることに成功した。誰か特定の人のためではなく、みんなのための「未来型公民館」は、コワーキングスペースとして、イベント会場として、さまざまな用途で利用されている。

これからのオモシロイ活動展開

 同社はこれからも「おもしろいファースト」を念頭に、さまざまな活動を展開していく予定だ。たとえば、糸島市には年間682.7万人(糸島市公表『糸島市観光入込客推計調査結果(平成30年1月〜12月中の数値』参照)の観光客が訪れるが、その大半が日帰り客。
通過型観光地からの脱却が課題となるなか、「ルート提案アプリを開発することで、回遊性の高い糸島観光の提案と、滞在時間の長期化を促進できる仕組みをつくれれば」(福島氏)と、NTTの得意分野であるICT(情報通信技術)と糸島市の後押しを受け、自由な発想で課題解決に取り組んでいる。

 また、「いとシネマ」においても、ドライブインシアター形式での上映を検討している。これは、新型コロナウイルスの感染拡大リスク低減を意識した取り組みでもある。軽トラックを改造した「いとシネマカー」による出張映画館サービスも展開しており、地域の枠を超えた「いとシネマ」の今後にも注目だ。

 オープンコミュニティスペース「みんなの」においては、プロジェクターや音響設備を活用した糸島観光の疑似体験サービスを実施している。既存のサービス(レンタサイクルなど)と親和性のあるサービスであり、疑似体験後にそのままレンタサイクルで現地へサイクリングツアーといったパッケージ提案も可能だ。

大人の秘密基地のようなオープンコミュニティスペース「みんなの」

 「糸島に根差して活動していることが、私たちの強みです。その強みを生かして、糸島の魅力的な皆さんや企業さまと、糸島への移住を考えている皆さんや、糸島でのビジネスを考えている企業さまとの縁結びができる存在になれたらと考えています」(福島氏)。

 いとしまちカンパニーは、糸島への移住者が中心となって設立された。だからこそ、糸島で暮らし、働くメリットを新鮮な感覚で伝えられる。同社の活動を通じて糸島を知った人たちが、糸島に足を運び、オモシロイと感じてくれることで、糸島のさらなる活性化が果たされることを期待したい。

【代 源太朗】


<Company Information>
いとしまちカンパニー(同)

代表社員:福島良治・下田栄一・後原宏行
所在地 :福岡県糸島市前原中央3-3-23
設 立 :2019年2月
URL :https://www.itoshimachi.com

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