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2020年07月08日 16:54

球磨川水害現地から 前代未聞の降水量~(株)味岡社長・味岡和國氏が水害と地域の本質を語る

 九州豪雨による死者が7日の時点で56名に達した。熊本県の球磨川およびその支流域で被害が深刻であり、人吉市18名、球磨村17名、芦北町10名、八代市4名、津奈木町1名と犠牲者は上記の地域に集中している。JR九州・肥薩線の鎌瀬駅―瀬戸石駅間にある球磨川第1橋梁、那良口駅―渡駅間にある同第2橋梁が増水によって流されたほか、多くの店舗が浸水の被害に遭っている状況だ。

 以下、4日(土)夕方に取材したものである。球磨川源流・市房山の麓にある市房ダム(熊本県企業局所有)を放流するかどうかを論じ始められたのが7月2日頃からだ。結果、放流をストップした。それゆえ今回の雨の本格的な振出は、7月1日頃である(雨が途切れることが無かった)。

味岡 和國 社長

 (株)味岡(本社・熊本県球磨郡あさぎり町免田西3278番地)の味岡和國社長はこう語る。
「1日から3日まで、雨の降るなか自宅にいることが多かったが、2日の雨はとくにひどかった。雲が途切れることなく、屋根を叩く激しい雨音が絶えず聞こえてきていた。『これは、とてつもない災害になるのではないか』と家族と話し合っていた」
 その嫌な予感は、的中した。被害の発生は、3日夜半から4日朝方にかけてであった。

今回の水害の総括

 (1)市房ダム放流の中止は正解であった。放流するのであれば、その2日前に行うべきであった。
 (2)「もし」という仮説を許されるならば、川辺川ダム建設を実現していれば、このような大規模な被害は発生していなかったであろう。
 (3)これだけの水害は前代未聞であり、人吉市内がこれほどにまで水没したことはなかった。想定をはるかに上回る水量が集中して襲ってきたため、堤防が決壊するのも当然である。
 (4)八代市中心部への洪水の浸水を食い止められたのは、「不幸中の幸い」であった。球磨川河口の手前、九州新幹線の根元に水防提がある。これが決壊しなかったことは、救いであった。
 (5)山崩れによる道路の寸断、橋の流出、鉄橋の寸断により、交通機能が完全にストップしている。かろうじて九州縦貫自動車道が機能しているが、自動車道から降りた先の道が通じなくなってしまっているからお手上げだ。多数の集落が、陸の孤島状態になっている。洪水からの復興のための本格的な「てこ入れ」には時間を要するが、陸の孤島に取り残されている住民への食糧支援が死活問題となっている。

コロナで地域経済が脆弱化、さらに水害でダブルパンチ

 前代未聞の水害の原因は以下のものだろう。
 (1)地球温暖化の影響
 (2)国土を保全するべき山林が、杉の人工林で覆いつくされたことによる保水力の低下。

 そして何よりも新型コロナウイルスの感染拡大で、地域経済が脆弱化している。地元高校卒の若者たちが、コロナを理由に採用取り消しを受けて地元に帰ってきた。彼らの働く場の提供も、緊急の課題である。地元に定着させて、未来の担い手になってもらうようにしなければならない。

 この10年、地域は高齢化と急速な人口減で経済衰退が目立っていた。山持ちは、かつては金持ちとして尊敬される階層であったが、今では金持ちではなく貧困層に転落しつつある。山が売買されず、伐採した樹木を安く売れば赤字のジレンマを背負うことになる。これまで田舎で富裕層とみられていた醤油屋、酒造屋、大農家などの没落が著しい。

 それだけではない。地元の企業の後継者難で会社売却話が蔓延している。事業を引き取ろうという物好きな救世主はなかなか現れない。田舎における富の消滅は、極端なまでに進んでいる。多くの世帯が貧困層に転落したことは、歴然としている。生活保護の家庭も増加するであろう。

雇用力を蓄え、地域を活性化させることが社会の使命

 当社グループは、生コンなどの建築資材販売から災害復旧工事の土木業、エネルギー関連事業まで多岐にわたる業種を展開している。しかし、最大の使命は、「地域が経済的に自立するための産業を強化する」ことである。それには何よりも、第1次産業の復権だ。

 (1)まずは山林業の復活に向けて、挑戦する。山林ビジネスを短期間スパンで志向するのは「邪道」である。まずは国土保全のために、広葉樹林から始める。長期(昔でいう3世代を展望)にわたる覚悟が必要だ。
 (2)次に農業の振興を図る所存である。地域から全国へ売ってでるメインの商品を育成していきたい。まず注力しているのはお茶の栽培・生産だ。
 米の生産を合理化し、生産性を高めることが肝心だ。米生産の委託量も増加させている。農業などの第1次産業に従事することに対して、若者たちが誇りを持てる環境整備が重要だと考える。「地域に恩返しすることが己の最後のご奉公」と確信して生き続ける。

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