2024年04月25日( 木 )

Go to Hellキャンペーン強行の狂気

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、新型コロナウイルス感染症の感染の急拡大という逆風のなかで安倍政権が進めるGoToキャンペーンの問題点を指摘した7月16日付の記事を紹介する。


GoToキャンペーンが土壇場にきてドタバタ劇を繰り広げている。
GoToトラベルの東京発着がキャンペーンの対象から外されることになった。

東京での宿泊、東京都民の旅行が対象から外されるだけでなく、羽田空港から出発するパック旅行、羽田空港到着のパック旅行が対象から外される。
航空券と宿泊を組み合わせたパック旅行の場合、20日前から2割のキャンセル料が発生する。
1週間前になるとキャンセル料は3割になる。

キャンセル料についてどうするのか。
すでに予約済みの旅行については割引を適用するとの報道もあるが、詳細はまだ明確になっていない。
少なくとも、著しい不公平が生じることは間違いない。

GoToキャンペーンは利用者から見ると、政府からの給付金を受けるものである。
東京都の住民だけが政府からの財政資金受給の権利を与えられない。
事業者においては、東京都の事業者だけが財政資金受給の権利を与えられない。

7月16日の決定であるから7月22日まで1週間を切っている。
キャンセル料の補償がなければ、GoToキャンペーン利用を前提にパック旅行を予約したが、キャンペーン対象から外される者は旅行をキャンセルしても2割から3割の負担を強いられる。

夏休み入り後の3連休に合わせてキャンペーンを開始することが宣言され、各種旅行予約サイトではキャンペーン実施をすでに明示していた。
高額予約をいれた世帯も存在するだろう。
極めて大きな混乱が生じることになる。

やはりGoToHellになっている。

(略)

7月16日に明らかになった東京都の新規感染者数は286人。
最高値を大幅に更新した。
全国の感染確認者数は617人で、755人の最高値を記録した4月11日以来の最高値を記録した。

大阪府66人、埼玉県49人、神奈川県47人、千葉県32人、愛知県21人、兵庫県16人、京都府13人、香川県10人などで、緊急事態宣言解除後の最多の感染者数を記録した。

7月16日の東京都の新規感染者のうち、40~60代が67人となった。
感染経路不明は半数近い137人だった。

新型コロナウイルス感染症では、無症状の感染者から感染することがあるとされる。
感染者数が急拡大し、この状況下で人の移動を政府が推進すれば、感染が全国に拡散する。

東京都だけを除外したが、東京、神奈川、埼玉、千葉は首都圏を形成しており、東京だけを除外すればよいとの考えは間違っている。

GoToキャンペーンにおいては、財政資金の配分に極端な偏りが生じる。
極めて限られた旅館業などの一事業者が数千万円から数億円の現金給付を受けることは、水平的公平を破壊する。

利用者の側においても、100万円単位の給付金を受ける個人が生じることになるが、この受給者は間違いなく富裕層に属する者になる。

コロナであえぐ一般庶民は    GoToトラベルどころの状況にはない。
生きるか死ぬかの線上をさまようことを強いられている。

※続きは7月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「Go to Hellキャンペーン強行の狂気」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連キーワード

関連記事