2024年05月03日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~上海-杭州リニアはなぜ「道半ばで頓挫」したか?(後)

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速度は高速鉄道を追い抜く 高速鉄道と民間航空の間の空白を埋める

 孫氏は、「現在の技術的条件の下では、高速鉄道は空気抵抗、騒音、摩擦などの影響を受けるため、これ以上速度を上げることは難しい。リニア技術では車体を浮かせるため、摩擦が小さく、騒音が少ない上に、より速い速度を実現できる」と述べた。

 中国が運営建設する高速鉄道の最高時速は350kmで、民間旅客機の巡航速度は一般的に時速800~900kmだ。高速リニアはちょうど両者の空白を埋めることになり、航空機、高速鉄道、高速リニア、都市交通からなる、速度のカーブがより合理的、高効率、柔軟で便利な多角的交通の枠組を形成し、さまざまな移動交通のニーズに応えることになる。

 リニア技術は以前、大規模な放射能汚染を引き起こすと誤解されたことがあった。しかし多くの専門家がテストを重ねた結果、リニアの放射線量は高くないことが証明された。たとえば、第三者企業による長沙リニア路線の放射線量測定データをみると、リニアから約1mの距離での放射線量は毎時10マイクロシーベルトで、電子レンジの放射線量より小さかった。約3mの距離では毎時1マイクロシーベルトでドライヤーより小さく、約5mなら毎時0.3マイクロシーベルトで、いずれも国家標準の要求に合致する。

 しかし現行の技術では、高速リニアの技術設備のコストは高く、建造価格も高速鉄道を上回る。孫氏の計算では、高速リニアの建造費は高速鉄道の約1.5倍だ。リニア技術で先行する日本でも、コストは新幹線を上回る。孫氏は「しかし日本には政策があり、路線を建設するときにリニアと新幹線の2つの技術の建造価格にそれほど大きな差がなければ、リニア技術を奨励すると同時に、資金面でバックアップすることになっている」と述べた。
 またリニアにはカーブの半径が小さい、勾配を上る能力が高いなどの優位性があるため、路線建設にあたって収用する土地の範囲と住民の移転コストが高速鉄道よりも少なくなる。

 中車公司によると「高速リニアの応用シーンは豊富にあり、まず長距離輸送に、すなわち『回廊型』交通の長距離輸送に応用できる。大型ハブ都市間または都市群間に高速回廊を構築し、地域間の協同発展を促進する。また中短距離旅客輸送に、すなわち『通勤手段化』や『都市一体化』した交通に応用できる。大都市の通勤や都市群内の隣り合った都市間の接続に応用し、30分から1時間で移動できる経済圏を打ち出し、都市圏と都市群の『一体化』、『都市一体化』した発展を促進する」という。

(了)


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