2024年04月18日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~吉野家が中国の一部店舗を閉店へ

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 新型コロナウイルス感染症の影響が今も続いている。スターバックスやマクドナルドの一部店舗の閉店に続き、世界的外食チェーンブランド「吉野家」の親会社の(株)吉野家ホールディングスも150店を閉店すると発表した。閉店する店舗は、日本国内は100店、中国を含む海外では50店に上る。

吉野家が世界で150店閉店へ

 吉野家ホールディングスはこのほど、感染症の影響により、一部の赤字店舗を閉店して損失を食い止めるため、2021年2月までに世界で150店を閉店すると発表した。また、今年3~5月の営業損失が約49億円に上り、2020年度は約90億円の営業損失が出る見込みであり、19年度は連結最終損益が約7億円の黒字だったことを明らかにした。

 現在、吉野家は世界に約3,300店を展開し、日本国内市場のほか、海外にも1,000店以上を構え、そのうち中国市場が6割を占める。閉店する計画の海外店舗には中国市場の店舗も含まれるが、具体的な閉店数や所在地などの情報はまだ発表されていない。

 ネットユーザーからは、「吉野家の看板メニューの牛丼を記念に、デリバリー注文しよう」といった声が相次ぐ。ただ今回閉店する店舗に、北京・天津・河北、東北3省、内モンゴル自治区、香港の店舗は含まれていない。

 中国市場では、吉野家ブランドは香港に本社を置くフランチャイズ運営企業の合興集団控股有限公司と日本の吉野家本部がそれぞれ運営している。合興集団は主に北京・天津・河北、東北3省、内モンゴル自治区、香港の店舗を運営し、その他の地域の店舗は日本の吉野家本部が上海、深セン、台湾の子会社に管理を託している。

 合興集団の関係責任者は、同集団が運営する店舗は今回の閉店の対象には含まれていないことを明らかにしている。

 北京市豊台区の吉野家六里橋店を訪れると、同店は通常通り営業しており、店での飲食もデリバリーも行われていた。天津や石家荘などの地域の複数の店舗を電話取材したところ、いずれの店内でも、飲食もデリバリーも通常通り行われており、閉店した店は1店舗もなかった。

 店は通常通り営業しているが、吉野家ホールディングスが閉店を発表した7月28日に、合興集団が発表した中期決算では、6月30日までの中期の損失は7,000万元(約10億5,000万円)に収まったものの、前年同期は5,700万元(約8億5,500万円)の純利益だったとし、警戒を示している。

多くのチェーンブランドが出展計画を減速

 合興集団の洪明基行政総裁は微博(ウェイボー)を通じて、吉野家閉店のニュースについて、「感染症が当社に一定の影響を与えた。合興集団は時代の流れに合ったビジネスモデルを積極的に模索していく」と述べた。

 洪氏によれば、感染症の影響で、来店者が激減し、顧客の消費ニーズが根本的に変化した。投資家として、経営者として、合興集団は時代に合った、トレンドに合致したビジネスモデルを見つける必要があるという。

 洪氏は微博で「目下の顧客資源は天上(オンライン)、地上(実店舗)、人の群れ(コミュニティ)の3つの面にわかれたため、商品の販売はこの3つの面の発展ニーズに合うようにしなければならない。外食業は小売化して、顧客からの店舗営業時間以降のニーズに対応しなければならない。生産と小売業も外食産業化する必要があり、こうした製品を、レストランを通じて顧客によりリアルに体験してもらい、顧客とより緊密な関係を構築する必要がある。この2つの面に今取り組んでいる」と述べた。

 感染症の影響が広がるなか、外食業が真っ先に打撃を被り、多くのチェーンブランドが出展計画を減速させた。店舗網を縮小する方法で損失を食い止めようとした外食ブランドもある。

 マクドナルドは7月29日に米国内の200店の閉店を発表し、日本事業の一部の株式売却も明らかにした。

 スターバックスは6月11日に発表した株主への書簡で、今後18カ月間で、米国とカナダの計400店を閉店し、今年計画されていた600店の出店を半分に減らし300店にすると発表した。

 全聚徳もサービス料をなくし、料理の量と価格を同時に減らすなどの方法で「腰を低く」して、消費者を取り込もうとしている。これまで直営店方式を貫いてきた周黒鴨はフランチャイズを取り入れ、コンビニへの進出や1店舗でのフランチャイズ経営方式も採用して、消費者を呼び込もうとしている。


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