2024年05月01日( 水 )

本物の経営と人間愛を受け継ぎ『良い水創り・人財(ひと)創り』に励む(後)

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ゼオライト(株) 代表取締役社長 嶋村 謙志 氏

 ゼオライト(株)の創業者・河村恭輔名誉会長は、2020年11月3日に永眠された。現会長で妻の勝美氏と二人三脚で同社を成長・飛躍させてきた。恭輔氏の経営理念『良い水創り・人財(ひと)創り』を通して、夫妻の一挙手一投足を間近で見てきた現・代表取締役の嶋村謙志氏。恭輔氏が遺した数々の「財産」を今後どのように活かして、より発展させるのか?恭輔氏と勝美氏の功績を振り返りながら、今後の事業構築について嶋村社長にインタビューした。

(聞き手:データ・マックス 代表取締役 児玉 直)

高い先見性で牽引

 ――話は変わりますが、恭輔名誉会長の先見性の高さも際立っていたとうかがっております。

 嶋村 児玉社長がおっしゃる通りで、我が社におけるビジネスモデルは恭輔名誉会長の研究開発から発想されたアイデアです。逆浸透膜(RO膜)を採用した『わかみず』の販売サービスは、恭輔名誉会長が米国視察で目の当たりにし、帰国後「すぐにとりかかろう」と号令をかけ、日本初のビジネスモデルとなったのです。

 長年続けていた下請け施工から、顧客へ直接営業に転換することを決断したのも恭輔名誉会長です。メンテナンス事業に対する先見性、何よりもRO膜を飲料水に採用したことが、先見性の高さの極みです。人々の幸せのために、水と技術の研究開発へ人生を捧げられた恭輔名誉会長が遺された事業の礎と、研究開発で培われた『知的財産』─。私たちが覚悟をもって、恭輔名誉会長の遺志を受け継ぎ、今まで以上の技術と品質を作り上げて、お客さまに貢献していくことが求められます。

 ――恭輔名誉会長を献身的に支えられた勝美会長が、再び活発に活動させているとうかがいました。

 嶋村 恭輔名誉会長の事業構想を、スムーズに具現化できるように全身全霊で支えられたのは勝美会長です。お二人とも1日も休むことなく、仕事に邁進してきました。そして再び勝美会長は、大黒柱亡き後、人財育成と全体の立て直しを図るべく立ち上がっていただきました。心強いことです。100年企業に向けて、再スタートを切ることができます。

創業の心を継承し続ける

 ――貴社が掲げる「水を通じて世の中のお役に立ち貢献する」「社員の物心両面の幸せの追求」を今後も継承されるかと存じます。今後の具体的な事業展開についてお聞かせください。

河村恭輔・勝美夫妻と嶋村社長
河村恭輔・勝美夫妻と嶋村社長

 嶋村 世界を恐怖に陥れる新型コロナウイルス感染拡大により、我が社も影響を受けました。プラント導入予定のお客さまから、キャンセルや延期などが発生し、20年7月期の業績は前期を下回りました。また、積極的な営業活動も実施できない状況となりました。我々では解決できないコロナ禍ですが、開発に時間をあてたことで、以前から取り組んでいた新製品の実用化のメドが立ちました。

 詳細は営業展開を確定してから発表しますが、排水自体を抑えるシステムです。既存のお客さま(メンテナンス)のうち、約700カ所へ提案できます。以前より排水をリサイクルできるシステムは有していますが、今回は排水を抑えることで下水道コストを削減できます。

 さらに、病院など医療関係への営業強化をしていきます。わかみず事業においては、従来水タンクを配送した顧客へ、『WAKAMIZU PRO』家庭用RO浄水器レンタルへ転換・設置の営業を展開していきます。コロナ禍のなか、水タンクの配達を敬遠する傾向が顕在化してきました。水道につなげて、浄水にろ過する機器をレンタルする、サブスクリプションビジネスに切り替えていきます。そして全国約4,000カ所におよぶ簡易水道への、浄水設備設置とメンテナンスの提案を計画しております。

 加えてコロナが沈静化してからの計画ですが、米国・東南アジアなど海外市場への進出を視野に入れています。世界的に水処理は大きな課題に直面しております。ビジネスチャンスは、国内外多数存在いたします。おかげさまで、営業力は徐々に上昇してきております。厳しい情勢が続くなか、我々は『良い水創り・人財(ひと)創り』を通して、お客さまそして地域社会に貢献していく所存です。

 恭輔名誉会長が研究開発された水への崇高な知見、勝美会長が構築したお客さまとの厚い信頼関係─。お二人が心血注いで築き上げた事業を、より進化・発展させていきます。名誉会長はいつも私たちを、天国から見守ってくださっております。

(了)

【河原 清明】


嶋村 謙志 氏嶋村 謙志(しまむら・けんし)
1974年1月31日生まれ。福岡県宗像市出身。西日本工業大学工学部機械工学科卒業後、96年4月にゼオライト(株)入社。メンテナンス部に配属される。取締役部長、取締役常務、専務取締役を経て、2014年8月取締役副社長に就任。16年8月に代表取締役社長に就任。

(前)

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