2024年04月23日( 火 )

中国経済新聞に学ぶ~中国進出の大手日本企業「中国からの撤退は不可能」―中国メディア(前)

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 日本政府は今年4月、サプライチェーン改革のための費用を含む新型コロナウイルス感染症対策として緊急経済対策を打ち出し、日系企業が生産ラインを日本に戻したり東南アジア地域に移したりすることを支援するために2,435億円の予算を組み、中国への依存度を緩和しようとした。
 それから数カ月後、日本はさらに860億円の追加予算を組み、マスクや医薬品などのメーカーの生産ラインの日本還流をバックアップした。最初の動きから半年以上が経ち、結局、どのくらいの日本企業が中国から撤退したのか。日本は、この資本引き上げの波を乗り切れるだろうか。このような疑問に答えるために調査を行った。

マスクメーカーなどの企業が日本に回帰

 共同通信の13日付の報道によると、日本では10月になって新型コロナウイルス感染症の第3波が押し寄せたという。日本の街角の様子を眺めると、誰もがマスクをつけているが、薬局にはストックが十分にあり、新型コロナウイルス感染症が今年3月、4月に突如として大流行したときのように「1枚も手に入らない」状況ではない。当時は、新型コロナウイルス感染症が爆発的に広がり、一部の日本企業はマスク生産ラインを国内に移し、日本市場にマスクが十分に出回るようにした。

 メディアの報道によると、日本への企業移転の第1弾として、在中国日系企業90社が日本に回帰し、そのうち57社が政府の補助金を受けた。また、50社が東南アジア諸国への投資を申請し、うち30社が補助金を受けた。第2弾の登録申請は7月22日で終了しており、日本政府が8月5日に発表した申請状況によると、計1,670社が日本への回帰または第三国への移転を申請した。日本の経済産業省が発表した企業リストをみると、防護用マスク、遺伝子検査キット、消毒用アルコールなどを含む防疫用品のメーカーが40社以上あった。

「中国にいた時より、もうかっている」といえる企業はない

 高齢化という背景の下で、日本がこの資本引き上げの波を乗り切れるかどうかということも、注目すべき点の1つだ。日本メディアの分析では、資本の還流を受け入れるため、日本の国内は2つのことをしっかり準備しなければならないという。1つはデジタル化プロセスを持続的に推進すること、もう1つは内需市場を拡大することだ。

 アイリスオーヤマなどは実際に、宮城県角田市に工場を増設したものの、生産の過程でさまざまな困難にぶつかった。アイリスオーヤマの大山晃弘社長は、下記のように話した。

 「マスクを日本での生産に切り替えたが、思ったより難しいことに気づいた。日本で新工場を迅速に建設し、大量生産を迅速にスタートできたのは、実は中国の工場で2007年から今までの生産で蓄積した経験があったからだ。たとえば、角田工場では主に7枚入りマスクを生産している。柔らかいマスクを一定の硬さのある箱に入れるのはそんなに難しくないが、柔らかいマスクを柔らかい袋に入れるのは非常に難しい。中国での生産は基本的に完全自動化を実現したが、日本で生産する袋入りマスクの自動化は難度が高く、設備をバージョンアップしなければ、より多くの人手が必要だった。最終的に中国の設備メーカーの技術者と共同で開発を行って、自動化を実現し、作業員1人あたりの生産量をそれ以前の2倍に引き上げた」

 日本の専門家の話では、データをみると、15年には、中国に進出した日本の企業は3万3,000社を超えた。一方、17年になると、3万2,000社あまりになり、15年に比べて1,000社以上減少した。しかし、日中両国の経済貿易往来は、非常に大きな影響は受けていない。

 中国から撤退した日本企業の多くは労働集約型企業で、中国のモデル転換・高度化のなかで必然的に淘汰される企業だ。表面的には、こうした企業は政府から一定の補助金を受け取ったものの、日本に帰ってからは生産コストが増加し、販売先の市場が縮小して、業績を上げることが難しくなった。中国から撤退した日本企業で、「当社は中国にいた時よりも、もうかっている」と自信満々でいえる企業は1社もない。

(つづく)


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(後)

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