2024年04月28日( 日 )

中国経済新聞に学ぶ~中国進出の大手日本企業「中国からの撤退は不可能」―中国メディア(後)

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 日本政府は今年4月、サプライチェーン改革のための費用を含む新型コロナウイルス感染症対策として緊急経済対策を打ち出し、日系企業が生産ラインを日本に戻したり東南アジア地域に移したりすることを支援するために2,435億円の予算を組み、中国への依存度を緩和しようとした。
 それから数カ月後、日本はさらに860億円の追加予算を組み、マスクや医薬品などのメーカーの生産ラインの日本還流をバックアップした。最初の動きから半年以上が経ち、結局、どのくらいの日本企業が中国から撤退したのか。日本は、この資本引き上げの波を乗り切れるだろうか。このような疑問に答えるために調査を行った。

中国には少なくとも3つの優位性がある

 日本政府が支援の予算を2回も組んでも、日本企業はやはり自社の発展について自身でよく考え、無計画に流れに乗ることはしなかった。中国日本商会がこのほど発表した『中国経済と日本企業2020年白書」によると、日本貿易振興機構(ジェトロ)が19年8~9月に在中国日本企業に対して調査を行ったところ、回答した企業の9割以上が「生産ラインを中国から移すつもりはない」と答えた。

 このほど終了した「第3回中国国際輸入博覧会」では、出展した複数の日本企業が、「中国への投資を増やすつもり。中国市場から撤退することは不可能」との見方を示した。

 (株)日立製作所の依田隆中国総代表は、「日立からみると、中国は産業集積度がもっとも高く、中国に代わる国を探そうと思ってもほとんど不可能だ。中国の人材、技術、社会インフラによって、日立は中国を高く評価し、ここには非常に大きなビジネスチャンスがあるとみている」と述べた。

 三菱マテリアル(株)の木村光中国総代表は中国市場を高く評価し、「中国経済のポストコロナにおける回復状況はほかの国に比べて、とくに日本に比べてずっとペースが速い」と述べた。三菱マテリアルは、主に旋盤などの工作機械で使用する超硬製品を製造する。木村氏によると、「感染症が中国にもたらした損失はほかの国よりかなり小さく、国全体の生産機能にはほとんど損害がなく、市場ではバイトやドリルなどの超硬切削工具に旺盛な需要がある」という。

 パナソニック中国・北東アジア社の本間哲朗社長は、「20年の欧州、米国、日本の経済成長率はどうやらプラスへの転換は難しいが、中国は着実にプラス成長を維持しており、その成長ペースは予想を上回り、(前年比)+1%を大きく上回る可能性が高い」と述べた。

 ジェトロが発表した報告によると、今年1~5月には、日本企業の対中直接投資が約59億ドルに上り、増加率は昨年と同レベルだった。これにはトヨタが中国企業5社と合弁会社を設立して進める、燃料電池システムの共同開発が含まれる。

 日本経済新聞の報道によると、日本政府の移転政策が自動車業界に与える影響は限定的だ。中国には毎年2,500万台規模の自動車ニーズと整備された産業チェーンがあり、日系企業は軽々しく撤退に踏み出せないどころか、電動化やスマート化などの投資を今後拡大する見込みだ。日系企業の1~5月の対中追加投資の6,200億円に比べ、日本政府が打ち出した3,200億円余りの撤退支援の補助金は取るに足りないもののようにみえる。

 中国の消費回復に支えられて、日本の上場企業がこのほど発表した20年度純利益予測値では、21年3月までの20年度の業績予想を引き上げた企業が3割に達した。

 (公財)日本経済研究センター(JCER)が10月に発表した文章は、今の中国市場には少なくとも3つの優位性があることについて、日本企業に注意を促している。まず初めに、中国の産業の集積はすでに相当の規模に達しており、他の国では代わりにならないこと。次に、中国市場の重要性は少しも揺らいでいないこと。国際通貨基金(IMF)の最新の予測では、中国経済は今後も急速な回復を続け、20年は経済成長率が前年比+1.9%、21年は同+8.2%を達成するという。そして最後の優位性としては、中国はもっとも速く、またもっともうまく感染症を抑制し、「第2波」による影響を受けなかったことだ。

(了)


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