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2021年03月03日 15:36

コロナ禍で風向きが変わる医療業界 「縁の下の力持ち」民間検査機関の使命 九州・福岡の壮健企業100社 

(株)シー・アール・シー

「能力と配属のミスマッチ」を廃止 適材適所を軸にした改善計画

 医療や食品に関わる民間検査センターとして創業50年を越える(株)シー・アール・シー。CRCグループは「医」「食」「環境」と健康をトータルで捉え、あらゆる検査を受託している。

 2017年10月に迎えた50周年を機にトップが交代し、現在社長を務めるのは創業者・江川洋相談役の長男・智広氏だ。江川社長が就任時に掲げたのは「『適材適所』を軸にした経営の最適化」だった。

 シー・アール・シーでは検体を回収し検査結果を届ける「集配」、その集配業務をマネジメントする「管理」と大きく2つのセクションにわかれている。入社当初は集配の現場からスタートし、勤続年数を重ねると役職が与えられて管理者へと移行していくのが慣例だった。しかし、社歴が長い社員の誰もがマネジメントに適した人材とは限らない。実際に、現場から管理へと移り、その能力を発揮できないケースもあったという。

 「管理よりも営業の能力が高く、現場に向いている人であれば現場に配属した方が本人にとっても会社にとってもメリットが大きい。しかし、日本特有の『年功序列』によってそこにミスマッチが起きていました」(江川社長)。

感染症本部
感染症本部

 江川社長曰く、2年前の就任時に思い描いていた構想のうち、現時点で実行に移しているのは2割程度だという。「今まで明確にセクションがわかれていなかった業務を細分化し、整理しながら1つの部署でモデルケースをつくりました。そこでうまくいけば、他の部署に横展開するという計画です。目指すのは社員が『やりたい仕事』と『やっている仕事』が一致していること」(江川社長)。

 古い慣例を捨て、社員1人ひとりが輝ける職場環境へと整備を進めているのだ。

20の顧客があれば20の約束事 細かな対応が信頼につながる

 現在、診療所や病院をまわって検体(検査する対象物)を回収し、その検査結果を届ける「集配」の役目を担う社員は約150名。マニュアル化やオンライン化によって時間や人的コストを削減できる可能性もあるが、その一方でシー・アール・シーの強みが損なわれるリスクもはらんでいる。地場で50年以上、多くの医療機関から支持され続けた勝因がこの「集配」にあるからだ。

 たとえば総合病院や大企業からの検査依頼であれば、効率重視でもニーズを満たせる。しかし、地元に根付いた診療所や個人医院、中小企業からの依頼には細かな対応が求められ、報告書1つをとっても微妙に仕様が異なるオーダーを受ける場合もあるという。

検体保管冷蔵庫
検体保管冷蔵庫

 「たとえば20の顧客の担当をしている営業マンには20の約束事があります。引き継ぎをする際にも『このお客さまはこういった仕様で』と細やかな指示まで受け継がれるのです。効率化したほうが良いんじゃないかと思った時期もあったのですが、大手では手の届かないところまでサポートするのが私たちの強みでもあります」(江川社長)。

 そこで取り組んでいるのが、業務の細分化である。集配担当が一貫して担っていた業務を整理し、分業制にして個人の負担を軽減する狙いだ。

 「私たちの仕事は、検査のことや各病医院までの道筋、院内に入った後の検体受け取り場所など覚えることがたくさんあります。だからこそ、一度その細かなルーティーンを覚えると、長く支持していただけるのです」(江川社長)。

 創業者・江川洋相談役の言葉によれば、シー・アール・シーの役目は「縁の下の力持ち」である。効率化を重視し、画一的なサービスにしてしまえば人的コストも削減できるが、「馴染みの集配担当者」が介するサービスだからこそ支持している医療機関も少なくないのだ。

 オンライン化が進むなかで「フェイストゥーフェイス」の営業スタイルにどれほど重きを置くかは目下の課題だが、医療機関の底力が試される今だからこそ「縁の下の力持ち」の活躍が求められている。

コロナ禍で社会的役割が明確になった検査センター

シー・アール・シー総合研究所
シー・アール・シー総合研究所

 江川社長は、父であり創業者である江川洋相談役が仕事に打ち込む姿を見てきたものの、「この仕事の重要性や誇りには気が付いていなかった」という。

 「子どものころから父の仕事を見てきましたが、実際に入社するまではこの仕事の重要性をよく理解していませんでした。検査センターの仕事は裏方なので世間の人にはあまり認知されていません。新型コロナウイルスの流行によって『PCR検査』という言葉が人々に知られ、私たちのような検査機関の社会的役割を実感していただける状況になったのです」(江川社長)。

 江川社長は、今後の展望についてこう語る。「新型コロナウイルスが収束したとしても、私たちは今後、また別のウイルスの危機に晒される可能性があります。しかし、国は医療費削減の傾向にある。医師不足や病床不足も課題です。コロナ禍を機に風向きが変わり、次なる危機的状況のときには私たちも検査センターとして対応できる受け皿になっていたいですね」(江川社長)。


<COMPANY INFORMATION>
社 長:江川 智広
所在地:福岡市東区松島3-29-18
設 立:1969年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-623-2111
URL:http://www.crc-group.co.jp


<プロフィール>
江川 智広
(えがわ ともひろ)
1968年7月、福岡市南区出身。福岡大学第二商学部商学科卒業。96年(株)シー・アール・シーに入社し、2009年9月に同社グループ・(株)CRC食品環境衛生研究所常務、11年7月にシー・アール・シー経営計画本部取締役本部長を歴任。14年4月、CRC食品環境衛生研究所社長、16年10月のシー・アール・シー専務を経て17年10月に社長就任。

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