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2021年08月20日 12:00

【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(6)~近くて便利な現空港の危険性

C&C21研究会 理事 下川 弘 氏

 30年後、50年後の将来的な福岡の発展を考えた場合、24時間利用可能な新福岡空港が必要であることはすでに述べた。今回からは、空港問題で必ず問われる課題について論じてみたい。

(1)今の福岡空港は近くて便利だから、移転する必要はない?

 現在の福岡空港が、福岡市の中心部から近くて便利なのは、紛れもない事実である。

 しかし、24時間使用できず、そして何より危険性をともなう飛行ルートをもつ空港を、市街地での大事故が発生するまで使い続けるのだろうか。

 博多駅と福岡空港の位置関係を、東京駅に置き換えて比較すると、下記図のようになる。

(左)博多駅と福岡空港の位置関係、(右)博多駅を東京駅に当てはめた場合の位置関係
(左)博多駅と福岡空港の位置関係、(右)博多駅を東京駅に当てはめた場合の位置関係

Map data (c) OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA /一部加筆

 東京駅から東に約2.7kmというと、浅草・両国から日本橋の明治座や水天宮、清澄庭園、門前仲町、木場、塩浜あたりのエリアである。このエリア内に住む人口や、ここで行われる経済活動の規模は相当なものだと思われるが、福岡の場合は、そんな位置関係のところに空港があるのだ。

 ちなみに、東京駅~羽田空港間は約18km離れていて、モノレール・京浜急行を利用すると約30分で結ばれている。この時間距離が遠すぎると思う人は、福岡空港の利便性に慣れてしまった福岡人を除けば、おそらくそれほどいないだろう。

(2)羽田空港の飛行ルート変更にともなう住民の反応

 国交省は、国際化やインバウンド需要、オリンピック・パラリンピックなどでの利用増を見込んで、羽田空港の国際線をこれまでの1日あたり最大80便から、さらに50便を増便するために、横田基地の空域を緩和した羽田空港の新飛行ルートを検討。2020年3月29日から運用が始まった。

羽田空港新ルート
羽田空港新ルート

 しかし、この新ルートは新宿区・中野区・渋谷区・品川区などの上空を飛行し、羽田空港A滑走路・C滑走路に着陸するもの。そのため、飛行ルート下の地元住民たちからは、騒音や落下物などの被害がある恐れがあるとして、反対運動が行われた。

羽田空港新ルート反対のポスター
羽田空港新ルート反対のポスター

 とくに品川区では、高度約300m前後の低空飛行をするとして、住民投票請求が出され、落下物の恐れから住民の生活が脅かされるとして、運用の取り消しを求めた訴訟も行われている。原告の1人は、「新ルートの問題について関心がない人も多く、『羽田の便が増えれば便利』という人もいるが、もっと騒音被害や危険性を知ってほしい」ともコメントしている。

 こうした話題は、福岡にはほとんど届いていない。羽田空港以上に市街地上空を低空飛行することが当たり前となっている福岡空港だが、市民の危機感はかなり薄れてしまっている気がしてならない。

(つづく)


<プロフィール>
C&C21研究会 理事 下川 弘 氏下川 弘(しもかわ・ひろし)

1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。

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