長崎の鍼灸整骨院で療養費不正請求

 厚生労働省九州厚生局と長崎県は12月10日、柔道整復施術療養費に係る不正請求があったとして、長崎市内で施術所を運営する柔道整復師について、療養費の「受領委任の取扱い中止相当」とする行政措置を行った。

 対象となったのは、長崎市で介護サービスなどを手がける(有)Graciasが運営する花みずき鍼灸整骨院において施術を行っていた柔道整復師の清川慎介氏。

 2025年7月22日、当該施術所において不適切な保険請求が行われているとの情報提供があり、同日、元施術管理者である清川慎介氏本人からも、不正請求を認める旨の申述があった。その後、同年8月21日から10月10日までの間に、九州厚生局と長崎県が共同して計3回の監査を行った。

 監査の結果、柔道整復師の資格を有していない鍼灸師が行った施術を、あたかも柔道整復師による施術であるかのように施術録へ記載し、療養費を不正に請求していたことが判明した。不正請求に係る申請書の件数は監査において確認されたもののみで35名分の222件(24年10月~25年6月)。不正請求額は約104万円にのぼる。

 今回の措置は、本来、受領委任制度の取扱いを中止すべき事案であったが、当該柔道整復師が7月23日付で、すでに受領委任の取扱いを辞退していたことから、中止となった場合と同等の取扱いである「中止相当」と判断された。今回の措置により、当該柔道整復師および当該開設者が開設する施術所は、以後、原則として5年間、療養費に係る新規の受領委任の取扱いは認められない。

 九州厚生局は、療養費制度の適正な運用を確保するため、不正請求に対しては今後も厳正に対処していく方針を示している。

【若松大生】

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