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2021年07月28日 15:09

中国経済新聞に学ぶ~ディディに制裁、ネット企業による独占状態も終焉か(前)

国全体のセキュリティー問題に発展

ビッグデータ イメージ 中国のネット企業が、政府の厳しい規制にさらされている。7月16日、国家安全部や公安部など省庁7部門が一斉に、配車アプリ最大手「ディディ」への立ち入り調査に踏み切った。創業9年目でこの分野のトップに座っていた会社が、存亡の危機に立たされることになる。

 中国共産党の創立100年を翌日に控えた6月30日、ディディはひそかにアメリカのニューヨーク証券取引所で上場をはたした。ところが、翌々日の7月2日、インターネット規制当局の取り調べに応じると発表し、さらに新規ユーザー登録を中止した。そして4日にはアプリ25種類がすべて使用禁止となった。ディディの株価は1週間で20%も落ち込んでいる。

 ニューヨーク上場の際の発行価格は14ドルで、アメリカでの新規公開株としては今年最大であり、また中国関連の上場としてはアリババにつぐものであった。

 ところが、中国の規制当局はディディに対する取り調べで、「個人情報の利用についてアプリに重大な違法が存在する」と指摘した。

 中国の配車市場で90%以上のシェアを誇り、5億8,000万人のユーザーを抱えるディディは、その分の膨大な個人情報を手に入れているほか、政府関係当局の移動状態や決まり、位置情報などもつかんでいる。従って、これらがすでに国全体のセキュリティー問題に発展している。

 ディディは、江西省で事務員の家庭で育った程維氏が2012年9月に設立した。程氏は北京化工大学を卒業後、05年にアリババの配下の電子商系会社でセールスを担当し、好業績を背景にスピード出世し、当時としては社内最年少で地域マネージャーになった。それまでの6年間、IT商品の営業として顧客訪問を繰り返し、販売スキルや経験を十分に積み重ねた。地域マネージャーとなった11年には、アリペイで個人向け事業部門の副代表にも就任している。

 12年6月、29歳となった程氏はアリペイを退社し、後にディディとなる小桔科技公司を設立し、タクシーアプリ「滴滴打車」を手がけ始めた。

 開始当初は、資本に限りがあって順調ではなかった。14年に「柳青」という若い女性が加わり、最高責任者に就任したことで、ディディの運命が大きく動いていく。北京出身の柳青氏は、北京大学でコンピューターを学んだ後にアメリカ・ハーバード大学で修士課程を卒業し、ゴールドマンサックスに入社した。08年にアジア地域の執行役員に就任し、12年に社長に昇格した。

上場を急ぎ、当局の怒りを買う

 こうした華々しい経歴をもつ柳青氏であるが、実は父親が中国のパソコン会社・レノボの創業者である柳伝志氏なのである。レノボは柳伝志氏の手腕により、アメリカIBMの個人用パソコン事業やNECのパソコン事業を買収し、この業界で世界第2位のメーカーになっている。このため、ディディを背後で操っているのは柳伝志氏ではないか、との見方が強い。

 ディディは発足3年目で別の配車サービス「快的」を吸収し、またジャック・マー氏率いるアリババの出資を受け入れた。16年にはウーバーの中国事業を買収し、1日の利用者数が5,400万人、この市場全体の90%を占める中国最大の配車サービスアプリとなった。

 ただ、アリババと同じく筆頭株主は孫正義氏のソフトバンクで、出資率は21.5%である。なお、ソフトバンクからアリババヘの出資率は24%である。ディディは2番目の株主がアメリカのウーバーで12.8%、Wechatなどを手がけるテンセントが6.8%となっている。また、トヨタ自動車も19年にディディヘ6億ドルを出資している。

 中国当局はアメリカで上場をはたす前にディディに接触しており、データセキュリティーなどについて懸念を示していた模様である。ところがディディは、全人代常務委員会ですでに採択されていた「データセキュリティー法」が9月1日に実施される前に上場を急いだことから、当局の怒りを買ったのである。

 18年、アメリカで当時のトランプ大統領が、国内のIT企業における国外のサーバーに保存された個人情報の入手を認める「CLOUD法」に署名した。さらに、外国企業がアメリカで上場する際にはすべてのデータの提供を義務付けた。

 ディディの社外取締役であるエイドリアン・ベリカ氏は陸軍士官学校出身で、過去に軍に所属し、長年にわたりアップルの社外取締役も務め、またデロイト トーマツにも務めていた。この情報が伝わったことで、ネット企業の情報データと国の大事なセキュリティー部門が完全にぶつかる、といったセキュリティーリスクヘの懸念が一段と高まった。

(つづく)


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