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2021年09月10日 10:00

格闘技界は「Z世代」が盛り上げる キックボクシング界の超新星が見据える未来(前)

石井 一成

 福岡に、格闘技界注目の超新星(スーパーノヴァ)がいる。2013年8月4日のプロデビュー後はタイを主戦場とし、わずか数年で高校生ながらにムエタイの2大殿堂の1つであるルンピニースタジアムの上位ランカーから王座を獲得。少年期より強さとルックスの両輪を備え、そのスター性から“ポスト魔裟斗(まさと)”の異名をとる、22歳の若武者だ。日本を飛び出し、世界に挑戦する「Z世代」のまなざしの先にある未来を聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

ムエタイとの出会い~日本との違いを実感

石井 一成 氏 ――格闘技を始めたきっかけを教えてください。

 石井一成選手(以下、石井) 小学校1年生(7歳)のときに、父に連れられてボクシングジムに行ったのがきっかけです。家族ぐるみでよく格闘技を観戦していたこともあり、その当時ブレイクしていた亀田兄弟や魔裟斗(まさと)選手は私の憧れの選手でした。

 ジムに通い始めた日はやはり怖かったのですが、教えてくださった先生がとても優しくて、すぐに楽しいと思えるようになりました。もともとはボクシングをしようと思っていましたが、小学1年生は対象年齢に満たず入れなかったので、小学生でも入れるキックボクシングジムにお世話になることになりました。現在はムエタイとキックボクシングの両方を行っています。

 ――ムエタイとキックボクシングの違いを教えていただけますか。

 石井 主に、使用できる技と評価方法、インターバルの時間に違いがあります。ムエタイでは「肘打ち」「首相撲」といった技が常用されますが、キックボクシングでは大会によって使えるかどうかの可否がわかれます。肘打ちや「首相撲からの膝打ち」というのは流血もしやすく危険な技なのですが、とても見ごたえがありますよ。

 また、キックボクシングは打撃が重要ですが、ムエタイでは打撃のほかにディフェンス、技のテクニック、美しさも重要な判断基準になります。攻撃が良くても、相手からも攻撃をされていると、ディフェンスができていないと判断されて、ポイントはどんどん下がってしまいます。キックボクシングは、ムエタイから派生した日本発の格闘技なので似た部分もありますが、そのような違いが選手にはとても大きく影響します。別ルールのまったく違う競技と思っていただければありがたいです。さらにムエタイには「賭け」制度があり、そのオッズが判定に影響してくる点も大きな相違点だといえます。私もタイでムエタイを行いますが、知名度の差もありますので、本場ではなかなか勝てないですね。

石井 一成 氏

 ――初めてタイに行ったのはいくつの時ですか。

 石井 小学5年生の時です。ブアカーオという有名なムエタイ選手の試合を観戦するために父と2人で訪問しました。タイでは8歳ごろからイベントで試合をする子どももいますが、私はそのときはまだ試合には参加していないです。

石井 一成 氏 ――ムエタイの本場を訪問した感想は。

 石井 日本とのギャップに驚いたのを覚えています。日本では、ある程度決まった枠組みのなかで定められた試合をこなしますが、私がタイを訪問した際に飛び入りでムエタイの試合を申し込んだところ、快く承諾していただき試合することができました。またタイ選手の練習量にも驚きました。朝起きて練習、食事をとってまた練習という生活。日本でいう相撲部屋のように、毎日の行動をともにするジムもあります。タイではムエタイが生活の一部となっており、そこに対する熱量の差を大きく感じましたし、その環境の違いがムエタイの技術を向上させているのだろうとも感じました。そしてラジャダムナン・スタジアムと並ぶムエタイの競技施設「ルンピニー・ボクシング・スタジアム」を初訪問したときは、「いつか絶対ここで試合をする」という目標を立て日本に帰ってきました。

 ――本格的にタイへ遠征し始めたのはいつごろでしょう。

 石井 タイへ遠征し始めたのは小学生のころで、期間はだいたい2週間ほどでした。そこから中学生になって、2カ月間程度の遠征も増えていきました。試合が決まれば2週間前乗り、ということも多かったです。ただ、中学・高校の学校生活も大事ですので、あまり頻繁に長期的な遠征はできませんでした。

 遠征して感じたのは、「日本は豊かなんだな」ということです。毎日学校に行けて、家に帰れば温かい料理が待っていて、お風呂にも浸かれる。タイの田舎では、冷たい水をシャワー代わりに浴びている人もいました。私はそうした経験をして、やはり日本はいい国だなと痛感しましたが、一方でタイ人がムエタイで強い理由も少しわかった気がしました。

(つづく)

【文・構成:立野 夏海】


<プロフィール>
石井 一成
(いしい・いっせい)
1998年9月15日生まれ、福岡市出身。ウォー・ワンチャイプロモーション所属。165cm、53kg級(2021年7月時点)。

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