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2021年09月14日 15:57

「パークサンリヤン大橋」耐震問題訴訟、福岡地裁が判決

 福岡地裁は13日、西日本鉄道が分譲したマンション「パークサンリヤン大橋」の耐震強度不足・建築基準法令違反をめぐる損害賠償訴訟の判決を言い渡した。以下は判決の要旨。

第1 主文

1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

第2 判決の理由の要旨

1 争点1

 本件建物で、有効な鉄骨が配置されていない梁間方向のDs値については、SRC造ではなくRC造と考えて、Ds値を0.05以内の限度で減少させてよいかについて

 裁判所としては、SRC造の建物とは鉄骨の周りに鉄筋を配し、コンクリートを打ち込んだ構造を指し、そこで使用される鉄骨および鉄筋はさまざまであり、Ds値の規定に関しては、「柱および梁の大部分が鉄骨鉄筋コンクリート造である階」について、Ds値を0.05以内の範囲で減少させてよいと規定しているのみで、鉄骨の向きなどは要求されていないと判断した。

 そのため、本件で問題となる柱も桁行方向には鉄骨が配置されているため、この規定を適用できると判断した。

 また、原告が主張するように、有効な鉄骨が配置されていない方向のDs値についてRC造と考えなければならないという規定は、各種解説資料においても記載がない。

 さらにSRC造の建物であっても、非埋め込み式柱脚に曲げ降伏が発生する場合にはDs値についてRC造とするということは技術解説書に記載があるが、本件のような場合にもRC造とするとの記載がないことも、この結論と整合する。

 そして、原告は大阪市の建物の図面写真にある書き込みを示し、これにより実務において、原告が主張する通りの扱いがされていると主張するが、この書き込みが行われた経緯、大阪市の指導があったかどうかについて不明であるうえ、大阪のマンションの具体的な構造も明らかではなく、(一財)福岡県建築住宅センターが本件建物の構造でSRC造として保有水平体力の計算を行うことができると回答していることを考慮すると、仮に大阪市がそのような指導をしていたとしても、それだけではH型鋼柱について実務上の取り扱いが定まっていたとはいえない。

 このほか、本件の全証拠によっても、本件H型鋼柱について、梁間方向の保有水平体力計算の際にSRC造として0.05減少したDs値を適用できないと認めるに足りない。

2 争点2

 本件H型鋼柱については、梁間方向についてRC造と考える以上、鉄筋の主筋断面積に鉄骨の断面積を考慮することは許されないとする原告の主張について

 建築基準法施行令77条6号は「SRC造の建築物については鉄骨及び主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の0.8パーセント以上とする」旨にとどまり、特定の鉄骨部材の配置などは求めておらず、これについてほかの法令上の定めもない。

 同施行令77条6号および本件断面積規定は、SRC柱では無筋コンクリート柱と比べてコンクリートの蜜実の程度に差があり、鉄骨および鉄筋がこれを補てんすべきものであること、局部のコンクリートの欠点(乾燥収縮やクリープによる変形が生じるおそれなど)をカバーすることなどを考慮した規定であるところ、鉄骨および鉄筋が配置されること自体により一定の耐力向上を見込むことができ、H型鋼柱とその他のSRC造柱で本件断面積規定の適用の可否を異にすることに合理的根拠は見出しがたい。

 そのため、本件H型鋼柱においても同規定を適用して算出された数値は、建基法上必要な断面積比率を下回っていない。

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