韓国メディア、捜査当局が押収した旧統一教会報告書「安倍氏も喜んだ」などを報じる

 韓国において旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と政界との関係について捜査が進められているなか、左派系メディア・ハンギョレ新聞が29日、日本に関連したニュースを報じた。

 旧統一教会の徳野英治元会長が2021年10月の衆院選について、韓鶴子総裁に対し、「我々が応援した国会議員の総数は自民党だけで290人に達する」などと報告していたことを報じた。

 同紙によると、教団の「TM(トゥルーマザー・真の母)特別報告」に記載されており、教団関連のイベント「ワールドサミット2019」に、世界各国にいる担当者からサミットに招待した要人に対する働きかけが行われたことや、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対しても出席を要請していたことやチェイニー元米国副大統領らが出席したことなどを伝えている。

 日本に関連した案件としては、日本の教団会長・徳野英治氏が選挙支援状況について報告しており、19年7月の参院選で安倍晋三元首相が推していた北村経夫参議院議員の支援について、安倍氏と徳野氏ら教団幹部が協議を行い、徳野氏が「最低でも20万票は死守する」と述べたことについて安倍氏は「非常に喜んで安心しているようだった」と報告していた。さらに報告書には当選した北村氏が東京渋谷区松濤にある教団本部を訪問したことや、13年参院選よりも「約4万票増えたことで自民党本部も高く評価した」ことが記載されていたという。教団と自民党議員のつながりは多くのメディアでも報じられたが、教団の関連団体「世界平和連合」などが支援を行ったことを「事実である」と認めている。 

韓国・京畿道の教団施設
韓国・京畿道の教団施設

 また、22年7月に安倍元首相が銃撃された事件については、山上徹也被告が教団の会員で「本部会長の指示で会員記録を抹消した」と記載されていたことは注目される。この他、報告書には高市早苗首相の名前が32回登場しており、高市氏か岸田文雄元首相が自民党総裁に選出されることが「天の思し召しと思われる」と記されていたことも紹介されている。

 徳野氏の報告は、日本をモデルケースとして韓国においても政界ロビー活動を行う手法を韓国の教団本部に伝授したものと思われる。

 なお、李在民(イ・ジェミョン)大統領は、30日に行われた国務会議(日本における閣議)において「与野党問わず捜査を行い、真相を究明する必要がある」と述べ「宗教が政治に介入し、癒着することは民主主義の未来、国家の未来を脅かす重大事案」と述べ、警察・検察の合同捜査本部を設置するなど捜査当局に徹底した真相究明を求めている。

【近藤将勝】

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