糸島半島に秘められたポテンシャル、持続可能な地方創生へ
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糸島の深化は始まったばかり
糸島を舞台とした開発プロジェクトは、大小さまざまなものが進行中だ。九州大学伊都キャンパスの南ゲート周辺エリアでは「グローカルホテル糸島」がオープンし、すぐ近くでは「糸島特別支援学校(仮称)」新設工事が進むほか、近接地にある「大塚溜池」を地域住民や九大関係者たちの憩いの場となる公園(約2.3ha)として再整備する構想もある。
また、JR筑肥線の九大学研都市駅周辺エリアでは、土地区画整理事業や研究開発次世代拠点の整備が進む。呼応するように九大関係者向けにマンションやアパート、商業施設の建設も続いており、九大移転開始から10年以上を経てなお、まちづくりの話題には事欠かない状況だ。
ただ、糸島最大の強みは、ゆったりと流れる糸島時間にある。過剰な開発は、その強みを失うことにつながりかねない。糸島市で考えた場合、人口規模は現状の10万2,995人(21年8月末現在)がちょうど良いように思われる。この水準の人口を維持できれば、非日常感が残る糸島のエリアブランドを次世代にも遺せる。地域コミュニティ内の交流も希薄化し過ぎず、自助と共助とのバランスがうまく取れるのではないだろうか。なお、市は「第2次糸島市長期総合計画」のなかで、2030年の政策的誘導人口の増加を2,000人程度、推計人口を10万4,000人と設定している。
拡張と進化から、これまで築き上げてきたものの質を高める深化へ。英情報誌「MONOCLE(モノクル)」が発表している「輝く小さな街(Bright lights, small city)」の2021年ランキングで、世界3位に選ばれた糸島市。同市を核とする糸島半島は、連綿と受け継がれてきた自然と歴史、そして、九大移転以降の学術研究都市としての発展がハイブリッドに融合した、持続可能な地方創生の成功例となるポテンシャルを秘めている。
(了)
【代 源太朗】
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