2024年04月17日( 水 )

中国経済新聞に学ぶ~恒大ショックで不動産業界への不安高まる(後)

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上海 イメージ 2014年ごろにバブルが最高潮に達し、上海・北京・深センなど大都市の住宅価格がたった5年間で2倍になった。大量の物件が売れ残り、多くの不動産企業が資金繰りに苦しみ、深刻な経営危機に陥った。

 そこで各企業は、政府は決してこのバブルを崩壊させないだろうと信じ、「政策」にすべてを託したのである。仮に崩壊すれば、土地を売った地方政府や融資した銀行が損をし、一方、購入したことで損害を被った消費者が政府機関に訴えたりするなど、社会が不安定になってしまうからである。そして大方の予想通り、結局は政府が窮状を救ったのである。

 しかし、習近平主席はここ数年間、「家は住むものであり、投機の対象ではない」と何度も述べ、住宅価格を抑制するよう各地に求めてきた。これは単なる口約束ではなく、地方政府に対して次々と不動産業界引き締め策が打ち出されている。

 ところが、不動産業界はまたも政策に賭けたのである。恒大集団は14年のような状況が再現すると考え、競争を勝ち抜くために資産を積み、負債を抱え、回転率を上げるという運営モデルを継続した。しかし、今度はその賭けに失敗した。

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 住宅価格は所得水準を大幅に上回るくらいに値上がりし、家のある・なしで都会暮らしがランク分けされるようになったなか、農村部の人の都市部への定住率が下がり、国民の間でより良い暮らしを求めて頑張ろうという意欲が薄れていった。政府は、不動産市場を社会や経済の安定性を損なう重大な欠陥であると見るようになった。

 そこで、適度にそのバブルを崩すことが政策として必然的なものとなり、負債率の高い会社がまずやり玉に挙げられた。恒大集団が期待していた政府の救済策はもうあり得ない。

 恒大集団の経営破綻をめぐる懸念が高まり、中国の不動産業界全体に影響を与えている。

 別の中国不動産開発会社、当代置業(モダン・ランド)は、債務返済の延長を要請。新力控股(シニック・ホールディングス)は2億5,000万ドル相当の社債について、デフォルト(債務不履行)となる可能性が高いと発表した。新力控股の株式は先月に90%近く下落した後、取引停止となっている。

 上海証券取引所のデータによると、12日午前の取引で上場債券の騰落率トップ5はすべて不動産会社が発行したものだった。

 中国政府は、不動産バブルが崩壊すると経済全体に打撃が生じ、GDP成長の足を引っ張りかねないことも認識している。よって、恒大ほか大手各社をすぐに解体するようなことはせず、緩やかにけりをつける策を講じるはずだ。

 最新の情報によると、恒大集団は国有企業や政府系ファンドの出資により、民間企業から政府系企業に移行するという。そして11月には、不動産市場を安定または緩和させる政策が打ち出されるだろう。

(了)


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