歴史を重んじながらも未来を見据え「福津らしく」魅力ある都市へ

福津市長　原崎 智仁 氏

持続可能な行財政経営を

　――今年2月に再選をはたされましたが、ご自身の1期目を振り返ってはいかがですか。

　原崎　私の1期目・4年間の市政運営の内容については、市民の皆さまに厳しくご判断いただいたうえで改めてご信任を賜り、2期目の舵取りへのご期待をいただけたものと重く受け止めています。

　私が1期目でとくに重点を置いていたのは、市政における「経営」の視点であり、福津市の魅力を広く発信して市外からの関心を集めることと、ふるさと納税寄付金の促進や基金の有効活用などを含めた「自主財源」の確保でした。それは、福祉や教育施策の水準を低下させることなく、市政運営における良い循環、持続可能な行財政経営に結びつけるためには、必要不可欠な視点であると考えたからです。また、開かれた市政を心がけながら、市民をはじめとした皆さまとの対話を大切にしてきた、そのような1期目であったと思います。

　――2期目の意気込みなどは。

　原崎　こうした1期目の成果や課題をしっかりと検証したうえで、これまでの方向性をより深化・発展させていくべきものか、あるいはやり方を変えていくべきものかなどをしっかりと見定め、地域の歴史を重んじながらも変わりゆく社会情勢を予測して、変化をチャンスに変えていける自治体経営に、「正心誠意」邁進していきたいと思います。具体的には、市長選で掲げた9つの重点施策―「経済・産業が元気なまち」「災害に強いまち」「孤立させない共生のまち」「安心して子育てができるまち」「都市計画マスタープランに掲げた市内3拠点の整備」「教育環境整備」「課題に立ち向かう力強い行政組織の構築」「地域コミュニティの検証」「豊かな自然の保全」の実現に向けて、市民の皆さまとともに“福津らしさ”を守りながら、時代の要請に全力で応えていきたいと思います。

　――「市内3拠点の整備」について、詳しくお聞かせください。

　原崎　市内3拠点とは、「津屋崎地区」「東福間駅周辺地区」「福間駅周辺地区」です。まず津屋崎地区では、市内経済の好循環を生み出すためにも、江戸期の面影を残す「津屋崎千軒」の街並みを中心としたエリア一帯を、観光資源として活性化していくことが重要です。津屋崎千軒の上質な街並みを保全するとともに、エリア内の建物、施設の全体的・面的な活用計画を策定し、民間企業の取り組みと足並みをそろえながら、「着地型観光」の充実を図ってまいります。

　次に、東福間団地や若木台団地を含めた東福間駅周辺地区では、住民の高齢化も進んでおり、地域の活力を失わせないためにも、住み替えや地域の活力を生み出す取り組みが必要です。整った都市基盤や住環境をさらに有効に活用するために、両団地を高架歩道橋で結び、高齢者だけでなく子育て世代も含めた幅広い世代の方々が暮らしやすいように生活利便性を高めていくなど、民間事業者の参画も得ながら環境整備を進めてまいります。

　最後に福間駅周辺地区では、県道飯塚福間線の福間駅～福間郵便局の区間が市に移管されることを契機に、歩行者空間の確保に向けた取り組みを検討し、駅のみやじ口（西口）周辺の賑わい創出を目指していきます。現在は沿道への新たな飲食店やカフェの出店もあり、若者が集う空間へと変わりつつありますが、今後も創業支援金の活用に加え、マルシェの開催や官民連携による空き店舗のリノベーションなど、賑わい創出のための新たな取り組みを検討していきます。

【坂田　憲治】

＜プロフィール＞
原崎　智仁（はらさき・ともひと）
1970年7月生まれ、福津市出身。福岡高校、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業。私立高校講師や社会福祉法人での勤務を経て、2010年12月から17年1月まで福津市議会議員を務めた。17年3月に福津市長に就任し、現在2期目。