2021年12月08日( 水 )
by データ・マックス

『競争と情報』~未来予測力と危機管理力の強化~(8)

日本ビジネスインテリジェンス協会会長
日本大学大学院グローバル・ビジネス研究科講師
東京経済大学経営学部・大学院経営学研究科元教授

中川 十郎 氏

情報戦略 イメージ 情報分類としては、ほかにも戦略策定に活用される「戦略インテリジェンス」。戦術確立に有効な「戦術インテリジェンス」。さらに「マーケティング・インテリジェンス」。「ファイナンシャル・インテリジェンス」。「技術・パテントインテリジェンス」。カナダの情報研究者が考え出した「イベント・インテリジェンス」。CIAの手法をビジネスに応用した競争情報「コンぺティティブ・インテリジェンス」。防諜を主とする「防御的インテリジェンス」。戦略的、戦術的に情報を活用する「攻撃的インテリジェンス」などがある。

 元米国情報評議会副議長のハーバート・E・マイヤーは情報を加工し、活用する「情報製油所理論」。それらの高付加価値情報を基に企業経営を行う「情報レーダー・コクピット論」を唱えている。

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 これに対して、筆者は情報の付加価値を高め、効率を増大させる「情報水力発電所理論」を提言。『グローバル企業の情報組織戦略』(筆者共訳)の著者べン・ギラード博士は情報を濃縮する「情報濾過理論」。情報の価値、効用を監査する「情報監査」の重要性を強調している。かれは「パソコン、インターネットに象徴される21世紀のIT、情報時代は、一面で情報洪水の時代でもある。だが真のインテリジェンスは砂漠の状態にある。だからビジネスに役立つ情報の収集、インテリジェンスの活用が21世紀の情報革命時代を制する」と喝破している。

 知識主導の世紀を迎え、熾烈な巨大グローバル競争を生き延びるためにはビジネスインテリジェンス、情報の活用と実践が強く望まれる。かかる情報戦略の時代に対応すべく企業組織に設置した国際諮問委員会や国際戦略研究部門、経営企画部、業務部、さらに情報企画部、リスクマネジメント部などを全社的に強化している日本企業もある。これらの組織を通じ、経済、産業調査、さらに激変する国内外の環境変化の迅速な調査・分析を行い、その結果を経営陣、営業グループトップに伝達。中長期的な経営戦略策定に役立てている。

 激烈な国際商戦はつまるところ国際情報戦でもある。グローバル競争を勝ち抜くために、なお一層の情報重視経営を進めること。これこそが次の世界金融・経済危機を乗り切り、企業が生き残るためのインテリジェンス戦略である。今まさに情報を制するものがビジネスを制し、世界を制する時代が到来している。

(了)


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 東京外国語大学イタリア学科国際関係専修課程卒後、ニチメン(現・双日)入社。海外8カ国に20年駐在。業務本部米州部長補佐、開発企画担当部長、米国ニチメン・ニューヨーク本社開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部・大学院教授などを経て、現在、名古屋市立大学特任教授、大連外国語大学客員教授。日本ビジネスインテリジェンス協会理事長、国際アジア共同体学会顧問、中国競争情報協会国際顧問など。著書・訳書『CIA流戦略情報読本』(ダイヤモンド社)、『成功企業のIT戦略』(日経BP)、『知識情報戦略』(税務経理協会)、『国際経営戦略』(同文館)など多数。

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