2024年05月22日( 水 )

【アビスパ福岡】開幕戦ドローも新戦力が躍動

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 2月19日、サッカーJ1リーグ・アビスパ福岡はホームのベスト電器スタジアムにジュビロ磐田を迎え、今シーズンの開幕戦となる第1節の試合を行った。

 「5年周期」の悪しきジンクスを打ち破り、J1定着を狙うアビスパ福岡。相手のジュビロ磐田は昨シーズンのJ2優勝というタイトルをひっさげ、今シーズンからJ1復帰をはたした古豪だ。その原動力となった昨シーズンのJ2得点王・FWルキアンは今シーズンからアビスパに移籍。いわば「ルキアンダービー」ともいえる因縁の対決である。

 アビスパの先発メンバーには新戦力のFWルキアン、DF前嶋洋太が名を連ねた。ベンチにはMF田中達也、DF熊本雄太が座り、今季新加入5選手のうち4人がメンバー入りをはたす一方、昨年活躍したMF中村駿、DF奈良竜樹はメンバー外となっている。昨季後半、故障で戦列を離れたFW山岸祐也も先発。元気な姿を見せてくれた。

 ジュビロ磐田の先発メンバーには、大ベテランの元日本代表MF遠藤保仁、昨季は大宮アルディージャで9ゴールを挙げたMF黒川敦史、横浜F・マリノスから加入した元日本代表FW杉本健勇が並んだ。予想フォーメーションは昨シーズンと同様3バックだ。今季から指揮を執る、伊藤彰監督の采配にも注目したいところだ。

 冷たい雨が降り注ぐなかで迎えたキックオフ。アビスパは連動したプレスで立ち上がりから圧力をかける。磐田は最後列から前線までポジションを自在に動かしながらボールを受けるMF遠藤保仁を中心にボール回しを狙う。

 最初にチャンスを迎えたのは磐田。3分、ゴール右側でFKを獲得した磐田は、MF遠藤が柔らかいキックをゴール前に送る。走り込んだDF伊藤槙人が頭で合わせるが、これはゴール上に外れる。

 対するアビスパは15分、FWルキアンがボールを受けたところに磐田DF伊藤槙人がスライディングを試み、ファウル。イエローカードが出された。フリーキックをMFジョルディ・クルークスが直接狙うが、これはゴール上に外れた。

 ここからアビスパは一気にプレスの圧力を強める。試合後のコメントでジュビロ磐田の伊藤監督が「J1の強度やスピードでミスが起きた可能性があった」と認める通り、アビスパがボールを奪い、保持する時間が増える。FW山岸、MFクルークスが連続してシュートを放つが、得点には至らない。6本のシュートを放ったアビスパが押し気味の展開のまま、前半を終えた。

 後半もアビスパのペースで試合が進む。55分には、MF金森健志、DF志知孝明、MF前寛之のパス交換から最後は右サイドから走り込んだMFクルークスが矢のようなシュートを放つが、これもゴールマウスは捉えられない。

先制点を奪ったDF前嶋とアシストのMF金森
先制点を奪ったDF前嶋とアシストのMF金森

 そして61分、アビスパに歓喜の瞬間が訪れる。アビスパの攻撃後、クリアボールをおさめようとしたジュビロ磐田MF山本康裕に対し、MF前が果敢なスライディングでボールを奪う。攻め続けるアビスパは、ペナルティエリア内左サイドでMF金森健志がボールをキープ。中央にボールを戻すと、走りこんでいたDF前嶋がダイレクトでシュートを放つ。磐田GK三浦龍輝がセーブを試みるが、ボールは三浦の手を弾いてゴールに吸い込まれた。厚みのある波状攻撃の連続で、ついに磐田ゴールをこじ開けたのだ。

今季初今季初ゴールを記録したDF前嶋を迎える長谷部茂利監督ゴールを記録したDF前嶋を迎える長谷部茂利監督
今季初ゴールを記録したDF前嶋を迎える長谷部茂利監督

 波に乗るアビスパが攻勢を維持したまま、ゲームは終盤へ。90分、長谷部茂利監督は最後の交代カードとして、FWルキアンに替えてDF熊本雄太を投入。DFを5枚にし、守り切って試合を終わらせるための選手交代だ。

 だが、結果としてこれが裏目に出る。アディショナルタイムも終盤の94分、磐田MF松本昌也がゴール前に入れたロングパスを受けたFWジャーメイン良が素早く反転して右足のシュート。グラウンダーのシュートはアビスパGK村上昌謙のセーブもおよばず、ゴール右隅に吸い込まれた。長谷部監督が「それまでのかたちで守れていなかったわけではない」というように、5バックにして以降、アビスパはボールを握れず、攻め込まれるシーンが増えてしまっていた。終了直前にはFWフアンマ・デルガドがボレーシュートを放つシーンもあったが、磐田DF大井健太郎が身を挺してブロックし、勝ち越し点は奪えず。試合はそのまま引き分けで終了した。

 長谷部監督が「試合そのものは攻守両面で自分たちらしい場面が多かった」という通り、昨シーズンの特徴だった「プレスでのボール奪取と素早い攻守の切り替え」という強さは十分に見せることができた。さらにボールを握った状態での攻撃にも上積みが見えた試合だった。

 新加入で即先発、得点と最高のデビュー戦となったDF前嶋洋太は、攻守両面で大きな役割をはたす能力があることを証明した。チームメイトとの連携もしっかり構築できており、「MF前がボール奪取のため前方に詰める→空いたスペースをDF前嶋が埋める→前嶋のポジションはMFクルークスが下がって対応」というシーンは何度も見られた。

 結果こそ引き分けだったが、これもサッカー。J1での2シーズン目となる長谷部アビスパの門出は、まずは万全といっていいだろう。

 次の試合は、2月23日のルヴァンカップ・湘南ベルマーレ戦。早速の過密日程だが、今季初勝利を期待したい。

【深水 央】

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