2022年07月06日( 水 )
by データ・マックス

トクホの疾病リスク低減表示 通知改正へ

反対姿勢から一転、「一応の理解」得る

内閣府 イメージ    内閣府の消費者委員会・新開発食品調査部会は28日、消費者庁がまとめた特定保健用食品(トクホ)「疾病リスク低減表示」の改正案について議論し、一定の理解を示した。消費者庁は4月中にパブリックコメントの募集を開始し、6月にも通知を改正する。

 今月1日の同部会では、多数の委員が改正案に対し、議論が不十分として反対意見を表明。このため、今回の会合で消費者庁は改正案に至った経緯を説明した。

 改正案は疾病リスク低減表示で、「むし歯」についてサロゲート(代替)マーカーを評価指標として用いるというもの。代替マーカーは「プラークpH」「脱灰、再石灰化」とする。

 消費者庁が行った調査・検討事業では、「プラークpH」「脱灰、再石灰化」を評価指標と位置づけることは妥当と結論づけた。その理由について、むし歯は食品に含まれる糖質と歯表面のプラーク中の細菌が直接反応し、歯表面のpH低下による脱灰と再石灰化が繰り返されて発症するためと説明している。

 各委員は、むし歯で代替マーカーの使用を認めると、ほかの疾病にも拡大していく恐れがあると指摘。これに対し、消費者庁は「むし歯は特異的な例」と説明し、一定の理解を得た。

 また、「(疾病名)のリスクを低減するかもしれません」という表示を「―可能性があります」に変更する案についても、「強い反対意見は出なかった」(消費者委員会事務局)。

 改正案に対して「さまざまな意見が出たが、一応の理解を得た」(同)ことから、議論を終了した。

議論の順番が逆?

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 この日の会合で「一応の理解」を得たものの、各委員の懸念が解消されたわけではない。問題点は主に次の2点に集約できる。

 1点目は、疾病リスク低減表示についてはハードエンドポイント(真のエンドポイント)を評価指標としてきたため、代替マーカーを認めると、科学的根拠のレベルが2段階に分かれてしまう。

 2点目は、一般的なトクホでは代替マーカーを用いるケースが多く、疾病リスク低減表示との境界線がぼやける。

 表示方法の変更についても、科学的な視点による整理が行われていないことを問題視している。課題を残したまま通知を改正すると、科学的根拠に基づいて運営されるトクホ制度の土台を揺るがしかねないという懸念もある。

 トクホは機能性表示食品に押され、衰退しつつある。制度の活性化に向けて、トクホだけに認められている疾病リスク低減表示の拡充が鍵を握る。

 そのためには、申請基準の明確化も含め、制度全般の横断的なルールの見直しが優先される。そのうえで、個々の疾病に代替マーカーを用いることが適切かどうかなどを検討するというのが、本来なされるべき手順ではなかったか。

【木村 祐作】

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