2024年05月04日( 土 )

【福岡・ベイエリア】きっかけ次第では“化ける”か(中)

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コロナ禍で修正・停滞のウォーターフロントネクスト

 博多港においては今後も、港湾機能の強化や高効率な港湾運営を図るとともに、地理的優位性を生かしたサービスの展開により、アジアの成長と活力を取り込んで九州・日本の経済成長を牽引していく役割が期待されている。そのためにも、人流機能と物流機能の調和を図りながらの再整備などが必要とされており、現在、16年3月に改訂された「博多港港湾計画」に基づきながら、みなとづくりが進められている。

 港湾計画とは、港湾の開発などに関する法定計画であり、10年から15年程度先を見据えた港湾整備等の指針として各港湾管理者が策定するもの。福岡市においては1960年に初の港湾計画が策定され、以降、10~15年程度のスパンで計画の全体的な見直し(改訂)が繰り返されている。

 16年3月改訂の博多港港湾計画では、博多港を「活力と存在感に満ちた『日本の対アジア拠点港』」と定義し、「物流」「人流」「環境」のそれぞれの3つの方針に基づき、次のステージに向けたみなとづくりを進め、福岡ひいては我が国の持続的な発展に貢献するとしている。具体的な内容としては、コンテナターミナルの機能強化や、国際・国内ROROターミナルの機能強化、防災拠点の形成、クルーズ船受入環境の強化、ウォーターフロントの活性化、エコパークゾーンにおける環境の質的向上などを挙げている。これにより達成される2020年代後半までの目標値は、総取扱貨物量4,290万トン(15年速報値:3,130万トン)、国際海上コンテナ取扱個数130万TEU(同:87万TEU)、外国航路船舶乗降人員275万人(同:161万人)。

MICE施設などが集積するウォーターフロント地区(提供:福岡市港湾空港局)
MICE施設などが集積するウォーターフロント地区
(提供:福岡市港湾空港局)

 こうした港湾計画が進められる一方で、福岡市では現在、博多港周辺再整備プロジェクト「ウォーターフロントネクスト」を進めている。同プロジェクトは、MICE施設が集積し、都心部の貴重な海辺空間を有するウォーターフロント地区の特性を生かし、「オール・イン・ワン」のMICE拠点の形成と併せ、海辺を生かした賑わいや憩い空間の創出を検討するなど、ふ頭基部において市民や来街者が楽しめる魅力あるまちづくりに取り組んでいくもの。16年3月に「ウォーターフロント地区再整備構想」が策定され、19年2月には基本スキーム素案の概要が取りまとめられ、MICE施設の整備などが進められていった。これにより、立体駐車場およびマリンメッセB館がそれぞれ供用開始となったものの、新型コロナの感染拡大を受けて、21年9月には事業内容を見直す旨を発表。今後は、感染症対応シティや環境負荷の低減などの新たな視点を加えるとともに、民間事業者の意見やアイデアなども参考にしながら、ふ頭基部の魅力あるまちづくりに取り組んでいき、今後のスケジュールについては、改めて検討していくという。

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 ――と、ここまでは主に博多港の歴史や概要について見てきた。福岡市における経済活動の実に約3割が博多港を通して生み出されているといい、福岡というまちが、古来より博多港を核として発展を続け、今なお多くの物流を博多港に依存している港湾都市であることがわかるだろう。

 さてここからは、博多湾外の玄界灘に面した臨海部について見てみよう。博多湾外の東・西エリアでは、海を臨む景観を生かし、それぞれ観光エリアとしての魅力を発揮しているようだ。

【坂田 憲治/代 源太朗】

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