2024年04月24日( 水 )

【福岡・ベイエリア】きっかけ次第では“化ける”か(中)

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博多港の各ふ頭(福岡市港湾空港局パンフレットより)
博多港の各ふ頭(福岡市港湾空港局パンフレットより)

機能・エリアで分けられた8つの公共ふ頭

 現在の博多港は、アジア・世界につながる拠点港湾として国内外の物流ネットワークの一端を形成するほか、人流における九州・西日本の“海の玄関口”としての役割を担っている。博多港の公共ふ頭は8つあり、それぞれの主な概要は以下の通り。

箱崎ふ頭
主な取り扱い:物流・穀物・自動車

 約263.5haの総面積をもつ博多港最大のふ頭で、1969年から整備が進められ、竣工は73年だが、整備は03年まで行われた。青果上屋や自動車の立体野積場などの多様な港湾施設が集約され、穀物や青果などの食品、自動車などのさまざまな貨物が集まる。製粉工場をはじめとする食品工業団地や、大規模な流通センターも整備され、陸上輸送との連携も図られている。福岡高速道路(都市高)のランプ2カ所(箱崎ランプ、貝塚ランプ)がふ頭に直結し、九州自動車道や福岡空港にもダイレクトにつながるほか、JR貨物福岡ターミナルが隣接していることで、ロスのない複合一貫輸送を可能としている。

中央ふ頭
主な機能:国際航路

 1937~95年にかけて段階的に整備されたふ頭で、総面積は約48.7ha。都心に近い高度な物流拠点としてのほか、博多港国際ターミナルやクルーズセンターなどの国際交流機能、さらには国際会議場や展示場、ホールなどのMICE関連施設も集積しており、多くの機能を有している。近年は、超大型クルーズ船に対応した岸壁や交通広場などの整備も検討され、国際交流拠点機能の充実などが図られようとしていたが、コロナ禍により計画停止を余儀なくされている。

博多ふ頭
主な機能:国内航路

 1960~74年にかけて整備されたふ頭で、総面積は約4.9ha。壱岐・対馬や五島航路などへの国内の定期航路や、市営渡船のターミナル機能を有するほか、「博多ポートタワー」「博多港ベイサイドミュージアム」「ベイサイドプレイス博多」などを擁し、賑わいのある交流拠点づくりが進められている。

須崎ふ頭
主な取り扱い:穀物

 1938~63年にかけて整備されたふ頭で、総面積は約79.1ha。大規模な保管施設を備え、主に外から輸入した穀物を取り扱う。ニューマチックアンローダや大規模なサイロなど、最新の荷役機械や保管施設を備え、九州・福岡における重要な穀物流通基地として機能している。

東浜ふ頭
主な取り扱い:建設資材

 1943~94年にかけて整備されたふ頭で、総面積は約75.1ha。砂や砂利、セメント、鉄鋼などの建築資材の荷捌き、保管施設が立地し、LPG(液化天然ガス)なども取り扱う。

荒津地区
主な取り扱い:石油

 1938~70年にかけて整備された105基の貯油施設のある石油中継基地で、総面積は約33.3ha。年間314万トン(2019年)の石油や重油などを取り扱い、福岡都市圏をはじめ、九州で消費される石油製品が、同地区を中継して届けられている。

香椎パークポート
主な取り扱い:コンテナ

 最新鋭のコンテナターミナルを備え、24時間稼動可能な国際物流拠点で、完成自動車の輸出拠点となっている。94年に供用開始されたもので、総面積は約135.3ha。コンテナターミナルにおいては、オーバーパナマックスガントリークレーン4基を備え、機動力に長けたストラドルキャリア荷役方式で、博多港のコンテナ取り扱いの約40%を占める。その一方で、「みなと100年公園」のほか、野球場、サッカーグラウンド、ラグビーグラウンドなどの大規模な公園・緑地を有し、良好な港湾環境の形成にも寄与している。

アイランドシティ
主な取り扱い:コンテナ

 アイランドシティ全体で約401haのうち、港湾関連施設は臨港道路アイランドシティ線から西側の「みなとづくりエリア」の約209.5ha。03年に供用開始された。現在も整備は進行中。青果市場や物流倉庫群を擁し、最新鋭の国際コンテナターミナルなどの港湾関連施設を備え、先進的な物流機能やサービスの提供で、国際物流拠点の形成および世界との貿易・ビジネスの拡大に寄与する。オーバーパナマックスガントリークレーン6基のほか、環境に配慮した電動型ラバータイヤ・ガントリークレーンなどを備え、博多港のコンテナ取り扱いの約60%を占める。

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 これら8つの公共ふ頭がそれぞれ異なる機能・役割をもつことで、博多港は九州地域の経済を支える中枢港湾として、そして国際交流機能をもつ旅客港として、これまで都市・福岡の発展を支えてきた。

【坂田 憲治/代 源太朗】

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