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2015年06月15日 10:24

迷走する新国立競技場建設――専門家の見解は?

 「2020年東京オリンピック・パラリンピック」のメインスタジアムとなることが予定されている「新国立競技場」(東京都新宿区)の建設が、迷走している。

遅々として進まぬ事態に海外から苦言も

sora 新国立競技場は、2012年11月に国際公募で選ばれたザハ・ハディド氏のデザインに基づき、総工費約1,300億円での改築を目指していたが、13年10月に整備費が最大約3,000億円になるとの試算が明らかにされ、下村文科相より計画縮小を検討する方針が示された。その後、同年11月には延べ床面積を縮小する修正案がまとめられ、14年5月には建物の高さを5メートル低くした基本設計案が承認。事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の見通しでは、総工費は約1,692億円、工期は42カ月となっていた。
 だが今年5月中旬以降、事態はさらにややこしくなっている。5月18日、都庁を訪れ舛添都知事と会談した下村文科相は、都に約500億円の負担を求めた。また、そのうえで新国立競技場の開閉式屋根の設置を五輪開催後に延期することや座席の一部を仮設にする旨を明言。それに対し舛添都知事は難色を示した。
 今月5日には、建築家の槇文彦氏のグループにより、建設費高騰などを理由にしたアーチ型屋根を取りやめる代替案が発表。だがJSCは8日、デザイン監修者「ザハ・ハディド・アーキテクツ」に計画続行の方針を伝えた。すると翌9日には槇氏グループが文部科学省と東京都に対し、設計変更を求める要望書を正式に提出する方針を発表。事態は二転三転しながら、揉めに揉めている状態だ。

 こうした新国立競技場をめぐる国内での迷走に対し、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長からは、「新国立競技場の問題を早く解決してほしい」と苦言を呈される始末。また、新国立競技場は、五輪のメインスタジアムとしてだけではなく、五輪開催の前年の2019年に日本で開催される「ラグビーワールドカップ(RWC)」でも開幕戦と決勝戦で使用されることが予定されているが、IRB(国際ラグビー評議会)のベルナール・ラパセ会長も建設計画の遅れについて、懸念を示しているという。

責任の所在はどこにあるのか

 こうした新国立競技場をめぐる一連の騒動に対し、専門家はどう見ているのか――。

 ある建築の専門家は、今回の騒動について「今は、工期の問題やコストの問題で、関係各所がつばぜり合いを行っているような状態ですね」と指摘する。
 また、「私見ですが…」と前置きしたうえで、「そもそもオリンピックだからといって、ザハ氏のデザインのようなシンボリックな競技場を据えようとする姿勢が、あまり先進国的ではない考えのように思います。“有名建築家の手がけたスタジアムだからいいだろう”というようなやり方は、もう古いと言わざるを得ません。そもそものコンペ参加の条件も、プリツカー賞をはじめとした“国際的な建築賞の受賞経験を有する者”と非常に高いハードルが設定されていて、閉鎖的だと感じます」と続ける。
 さらに、ザハ氏のデザインについては、「建物内部に目を向けてみると、案外、競技場以外の用途もちゃんと考えられているように思うのですが、やはり周りの景観から考えると、落ち着いた場所には似つかわしくないデザインのように思います」と意見を述べてくれた。

 総工費や工期の問題に加え、そもそもの責任の所在の不明確さが問題だとする声もある今回の騒動。はたして新国立競技場の建設は、総工費の圧縮や工期の短縮を図ったうえで、五輪開催前のRWC開催に間に合わせることができるのか――。騒動の早期の解決が望まれる。

 
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