「親族会社への貸付金が回収不能」は許されるのか?(前)
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協立エアテック
空調機器などを手掛けジャスダック上場企業である協立エアテック(株)(本社:糟屋郡篠栗町、久野幸男代表)が、4月10日に「全額引当金計上済の債権取立不能のおそれに関するお知らせ」を公表した。内容は、(株)ニューコーポレーションという会社に4億円余りを貸付けていたが、4月9日で同社が解散することになったので取立不能のおそれが生じた。ただし全額貸倒引当金を計上しているので業績予想に変更はない、というものだ。
上場会社の発表する内容としては珍しくもないが、問題はニューコーポレーションの代表が、協立エアテック代表の親族であることだ。ニューコーポレーションの久野千恵子社長は、協立エアテック・久野幸男社長の義姉に当たる。幸男社長の兄で協立エアテック創業者の久野隆夫氏の妻が千恵子氏だ。2001年の隆夫氏の死去に伴い、幸男氏が協立エアテックを継承した。この際、千恵子氏は協立エアテックの株式を相続しており、同社の大株主でもある。つまり、協立エアテックは社長の義姉で大株主である千恵子氏の会社に数億円を貸付け、そのうち約4億円が回収不能になったのだ。
公表された資料によれば、ニューコーポレーションは保険代理や不動産売買・管理・仲介業で、総資産は293万円、純資産は▲8億4,925万円となっている。資産はゼロに等しく借金だけが残った形のようだ。関係者は「貸付けたのは10数年前で、名目は運転資金。かつては現在の倍くらいの貸付金で、少しずつ回収していたが、近年は利息だけの支払いになっていた」という。ニューコーポレーションの事業の運転資金として、それほどの巨額の資金が必要だったのか、また上場会社として許される取引なのか、という疑問が湧いてくる。
(つづく)
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