2024年05月20日( 月 )

原子力規制委員会、敦賀原発の申請書類不備を行政指導

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敦賀原発2号機、断層問題で書類不備

電気 イメージ    原子力規制委員会は18日、再稼働に向けた申請書類に不備が相次ぎ審査が中断している日本原子力発電の敦賀原子力発電所2号機に関して、申請書を一部修正のうえ再提出するよう同社に文書で行政指導した。

 原子力規制委員会が日本原電に修正を求めているのは、原子炉設置変更許可申請書中に記載された、敦賀原発2号機の原子炉直下にある断層の活動性などに関する記述。8月31日を期限として再提出を求めることとした。日本原電は敦賀原発2号機の再稼働に向けて設置変更許可申請を行っているが、再稼働に向けた審査は、書類が再提出されるまで再び中断する見込みだ。

 原子力規制委員会は、2011年に発生した福島第一原発事故をふまえて設置された機関であり、原発の再稼働にあたっての安全性などを審査している。今回の敦賀原発2号機の再稼働の審査では、同原子炉直下にある断層が活断層であるか否かが論点となっていた。

審査の中断が相次ぐ

 日本原電に対する申請書の修正および8月末までの再提出の要請は、4月5日に開催された原子力規制委員会の定例会合で方針がすでに決められていた。

 これまでの経緯としては、19年に提出された敦賀2号機の審査資料に関し、1,000カ所以上の記載の不備があることが発覚していた。そのため日本原電は審査資料を再提出したが、20年2月7日の原子力規制委員会の審査会合で、断層の問題に関連するボーリング柱状図のデータが書き換えられている問題が発覚。このようにたびたび申請書類に問題が見つかったため、審査がしばらく中断していた。

 審査がようやく再開されたのは昨年12月という。しかし、同委員会は21年12月9日の審査会合において、審査書類に新たに157項目の誤りがあることを指摘した。今年3月17日の審査会合では、申請書類にさらに8カ所の誤りがあることを指摘している。こうして敦賀原発2号機の再稼働の審査は実質的には進んでこなかった。原子力規制委員会は、審査資料の誤りなどが相次いでいることを重く見て、このたび日本原電への対応を求めるとともに行政指導を出すことにしたのである。

原子炉直下にある断層の問題

 繰り返すように、敦賀原発2号機再稼働問題は、直下にある断層が活断層であるかどうかが大きな焦点になっている。原子力規制委員会の専門家会議はすでに現地調査を行っており、その結果、原子炉建屋の直下に活断層があると2013年に評価している。

 政府は活断層の真上に原子炉建屋などを建てることを認めていない。そのため、今回の設置変更許可申請の審査の結果によっては敦賀原発2号機の再稼働は難しく、実質的に廃炉になる可能性があることも指摘されている。

 日本は地震大国だ。地震が起こったときに、大きな被害を受ける可能性がある立地にある原発を再稼働させるのは、安全性の懸念が非常に大きい。そのため、地震のリスクがあるなかで、安全性に懸念のある原発を稼働させるのは難しいと考えられる。エネルギー政策では、できるだけ国民の安全を確保できる方法を優先していくべきではないだろうか。

【石井 ゆかり】

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