岸田首相のG7広島サミット~アザーニュース
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DEVNET INTERNATIONAL
世界総裁 明川 文保 氏Net I・B-Newsでは、ニュースサイト「OTHER NEWS」に掲載されたDEVNET INTERNATIONALのニュースを紹介している。DEVNET(本部:日本)はECOSOC(国連経済社会理事会)認証カテゴリー1に位置付けられている(一社)。「OTHER NEWS」(本部:イタリア)は世界の有識者約1万4,000名に英語など10言語でニュースを配信している。今回は5月30日掲載の記事を紹介する。
広島で開催されたG7サミットは、岸田首相にとって大成功であった。サミットへの参加が一時危ぶまれたバイデン米大統領は予定通り来日し、インド、韓国、ブラジルなどG7以外の8カ国も招待国として参加した。また、オンライン参加予定だったウクライナのゼレンスキー大統領が急遽来日し、各国首脳との会談や最終日のウクライナ問題に関する議論に参加した。日本では、岸田首相の支持率が急上昇し、8月には衆議院が解散されて選挙が行われる可能性さえもある。もちろん、政権の基盤を強化するための選挙である。
岸田首相とG7各国首脳は、平和記念資料館を訪れ、平和公園内の原爆死没者慰霊碑に献花した。そして、G7首脳に加え、核保有国のインドを含む招待国首脳も訪れ、慰霊碑に献花した。岸田首相は、ゼレンスキー大統領との記者会見で、「大統領を広島にお迎えし、核兵器が脅しの道具として、ましてや実際に使われることがあってはならないというメッセージを発信できることをうれしく思う」と強調した。インドのモディ首相は、ゼレンスキー大統領との会談で、「私はウクライナの紛争を単なる政治や経済の問題とは考えていない。私にとって、それは人間性の問題なのだ。」と述べた。
また、5月21日午前、岸田首相と韓国の尹大統領は広島平和公園を訪れ、韓国人原爆犠牲者慰霊碑に献花・参拝した。日韓の首脳が一緒に慰霊碑を訪れるのは、今回が初めてである。両首脳は午後、バイデン米大統領と短時間意見交換し、北朝鮮のミサイル警戒データのリアルタイム共有を含む米韓日安全保障協力の推進や、インド太平洋に関する協議の強化で合意した。
そして、21日午後、岸田首相はサミット閉幕を受けて平和記念公園で記者会見に臨んだ。冒頭、ロシアによるウクライナ侵攻に言及し、国際秩序を揺るがす課題だと指摘。「厳しい安全保障環境だからこそ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持し、平和と繁栄を守り抜く決意を世界に示す。それが議長国である日本に課された使命といえる。そのような決意を発信するうえで、平和の誓いを象徴する広島の地ほどふさわしい場所はない」と、広島でG7サミットを開いた意義を強調した。「力による現状変更のため、核兵器による威嚇や使用はあってはならない」とも述べた。ウクライナ情勢についてはまた、「ゼレンスキー大統領を日本にお招きし、G7とウクライナの揺るぎない連帯を示す」ことができたと説明。「世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みは決して認められない。G7として1日も早くウクライナに公正かつ永続的な平和をもたらすべく努力していく」と表明した。
広島と密接に関わる核軍縮をめぐっては、今回のサミットでG7首脳らが「77年間の核兵器不使用の重要性について一致するとともに、核戦争に勝者はなく、核戦争は決して戦ってはならないことを確認した」と説明した。また、サミットで核軍縮に関する「広島ビジョン」が発表されたことについて、「被爆地を訪れ、被爆者の声を聞き、被爆の実相や平和を願う人々の思いに直接触れたG7首脳がこのような声明を発出することに、歴史的な意義を感じる」とした。そして、「核兵器のない地球」は夢想ではなく理想であり、「理想には手が届く」と主張。「ここ広島から、今日から1人ひとりが広島の市民として一歩一歩現実的な歩みを進めて行きましょう」と訴えかけた。記者から、日本は核抑止力への依存を続けており、広島が願う核廃絶とは相いれないとの声があるとして考えを問われると、「厳しい現実を理想にどう結び付けていくのかの道筋をしっかり示して行動することこそ、外交や政治に求められる責任だ」と答えた。
カナダから広島市に帰郷している被爆者サーロー節子さんは21日、記者会見し、3日間の日程を終えたG7サミットについて「大変な失敗だった。声明からは体温や脈拍を感じられなかった」と残念がった。サミットでG7首脳は初めてそろって原爆資料館を訪れ、被爆者とも対話した。ただ見学内容や首脳の様子は非公表で「本当に我々の体験を理解してくれたのか。反応が聞きたかった」と指摘した。核軍縮に関する「広島ビジョン」については、核兵器禁止条約への言及がなかったことについて「怒りというか本当にびっくり仰天」したと語り、「事前に外務省の誰かが準備したかのよう。わざわざ広島まできてこれだけしか書けないのかと思うと胸がつぶれるような思いがしました。」と失望感をあらわにした。
ロシア外務省は21日、G7広島サミットの閉幕に合わせて声明を発表し、「その主な結果は反ロシア、反中国の悪意に満ちた一連の声明だ」「ロシア恐怖症、中国恐怖症のヒステリーをあおることに全力を注いでいる」と批判した。そのうえで、ウクライナのゼレンスキー大統領をサミットに参加させたことで「プロパガンダのショーになり果てた」と反発した。また、インドなどグローバル・サウスと呼ばれる新興国・途上国をめぐっては「G7は彼らを取り込み、ロシアや中国との関係発展を阻むために恥ずかしげもなく媚を売っている」と述べた。
G7サミットによって日本国内における岸田首相の立場は盤石なものになったかもしれないが、「世界」に向けて日本をアピールするという点ではどうなのだろうか? 本当の意味で国際秩序を維持し、核軍縮を進めるのであれば、ウクライナのゼレンスキー大統領だけでなくロシアのプーチン大統領と中国の習近平首席も招待すべきであった。日本はそれができる国ではないだろうか? 岸田首相が国内基盤を固めたその先に、世界のなかでより重要な役割を荷っていく道へ進んでいって欲しいと私は期待する。
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