2024年05月08日( 水 )

多様化するニーズに応え続ける、福岡屈指の環境ソリューション企業

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(株)三和興業

3Rの上をゆく「High 3R」を目指す

(株)三和興業 代表取締役 大山哲寿氏
(株)三和興業
代表取締役 大山 哲寿 氏

    (株)三和興業は福岡県および九州全域で解体工事と産業廃棄物処理を行う、環境ソリューション企業。1963年の創業で今年創業60周年を迎えた。大規模商業施設や病院、公共団体や官公庁の施設などの解体や廃棄物処理を手がけ、県内屈指の実績をもつ。現在、古賀市、飯塚市、篠栗町にプラントを設けて、解体工事から分別と廃棄、リサイクル製品の製造・販売まで展開している。

 「最終処分率を下げることを目標に掲げています。とくに近年は、可燃性廃棄物で原料をつくることと、カーボンニュートラルを意識しています」と、同社代表取締役・大山哲寿氏は語る。カーボンニュートラルとは温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること。日本政府は2020年にカーボンニュートラルの実現を50年に目指すと表明し、気候危機を回避するべく、世界各国とともに脱炭素への取り組みを進めている。

 同社ではこの宣言より前の13年から施設の屋根に太陽光パネルを設置するなど、クリーンエネルギー事業を展開し、脱炭素社会に貢献してきた。今では、プラントなど全社屋の電力をすべてクリーンエネルギーで賄い、使用電力のCO2排出量はゼロとしている。

 「私がこの業界に入った25年前とは大きく変わりました。以前は解体した後は『埋め立て処分』が主流でした。当社の篠栗SRC(サステナブルリサイクルセンター)内の平均リサイクル率は93%です。自社の最終処分場の利用率も大幅に下がっています」(大山社長)。以前はリサイクル品=安価、低品質というイメージもあった。今では、環境問題を意識して積極的にリサイクル品を選択する人、商品やサービスを購入する際に、企業の理念や使用するエネルギーの種類などを見て決める若い世代が増えている。

 社会的な動きでいうと、2000年に資源の有効な利用の確保および廃棄物の適正処理を図るため、建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化などに関する法律)が制定された。施行後は、一時期は社会問題となった不法投棄の数は減少を続けている。罰則化や自治体の管理強化はもちろん、多くの企業の努力と一般市民の意識向上の結果だといえるだろう。

 同社も常に変わる時代とニーズに向き合い、応え続けてきた。現在、これまでにない発想と革新技術によって、3R(リデュース・リユース・リサイクル)をさらに上の次元で実現する、「High 3R」を目指している。

福岡ドーム2.7個分の敷地面積を有する「森のなかのリサイクル施設」
福岡ドーム2.7個分の敷地面積を有する
「森のなかのリサイクル施設」

地域とともに歩む企業であるために

 同社は、地域の発展と安全のために多種多様な活動を続けている。キッザニアの企画、開発を行うKCJ GROUP(株)と22年8月に「キッザニア福岡オフィシャルアクセラレーター契約」を締結した。キッザニア福岡が同年12月に主催した「福岡ドリームフェスティバルin福岡大学」では、大きな発見があったという。「さまざまな業種の企業が子ども向けのワークショップを企画しましたが、当社のブースには想定以上の参加者が集まったのです。我々の業種は一般の方にわかりにくいものであるため大きな反響があるとは誰も想像しておらず、とても驚きました」(大山社長)。廃材を活用してオリジナル商品を開発するというワークショップに、真剣に取り組む子どもの姿を見て、循環型社会への意識が以前よりはるかに高くなっていることを実感したという。今後も、子どもたちが企業の仕事を身近に感じ、社会の仕組みを学び、働くことの意味を考えるきっかけを提供していきたいという。

 19年10月に篠栗町と包括連携協定を締結した。防災、地域エネルギー、教育、地域福祉、暮らしの安全に関わることなどを、同社がもつ知識やサービスなどの資源を活用し協力して、豊かなまちづくりに寄与することを目的としている。篠栗町内の篠栗SRC(サステナブルリサイクルセンター)を拠点に、産業廃棄物処理やリサイクルによる環境事業、太陽光発電によるクリーンエネルギー事業を進めている。分別困難な混合産業廃棄物はここで最新設備と技術によって精選別され、エネルギー材料となる原料や燃料へと加工される。地域とともに歩む企業を意識する同社は、この工場を社会見学の場として、地元の人に実際に見てもらうなどしてきた。普段目にすることがない分野ということもあり、大変好評だったという。そのほか、協定のなかで篠栗町と連携を取りながら地域貢献に力を尽くしているところだ。

循環型社会をリードする企業として

日本初、高層免震構造マンション解体工事
日本初、高層免震構造マンション解体工事

    「日本では、江戸時代からすでにリサイクルの文化がありました。長屋を解体するときは、瓦から木くずまで、あらゆるものが再利用されていたのです。我々は、その文化を受け継いでおり、現代風にリサイクルする品や方法を変えているのだと思っています」と大山社長は語る。

 江戸時代はリサイクルは当たり前だったことからも、日本にはモノを大切に使う文化と精神が根付いているのだ。大量生産・消費・廃棄を繰り返せば自然環境は破壊されていく。私たちが健康で衛生的な生活を送るためにも、廃棄物の分別再生や処理の見直しは、SDGs(持続可能な開発目標)の1つとして、地球規模で取り組む課題となっている。太陽光、風力、地熱や水素などを用いたクリーンエネルギーについても、国を挙げて研究を進めるべきだという声が上がっている。

 大山社長は社員の負担軽減のために、人と機械の分業を進めてきた。最新機械の導入、EV車の工場内配置などにより、少しずつだが確実に変化を起こしてきた。解体業は経験や技術が求められ、危険もともなう。廃棄物の分別作業は、人の手による選別に頼る部分が多いが、AIロボットが浸透する遠くない未来に改善を期待しているところだという。「私は解体業、産廃業、という意識はあまりもっていません。もちろん売上高においては解体業が多くを占めていますが、それよりも、随分前から総合環境産業を展開しているものと考えています」と語る大山社長に、やっと時代が追いつきつつあるようだ。

 今後も『持続可能な社会で人々を幸せに』という理念のもと、さらに選別・リサイクル事業に特化していきたいという。同社は先進的な循環型ビジネスの1モデルとして、循環型社会の構築により一層貢献するだろう。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:大山 哲寿
所在地:福岡市東区千早2-2-43
設 立:1986年2月
資本金:3,000万円
TEL:092-671-1855
URL:http://www.sanwa-iec.co.jp


<プロフィール> 
大山 哲寿
(おおやま・てつひさ)
1972年生まれ。97年、(株)三和興業に入社。代表取締役。まちづくりや地域振興など、社外活動も精力的に行う。「福岡とともに歩んでくることができました。これからも地域発展のために尽力してまいりますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします」と地域と顧客への感謝の意を語る。

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