2024年05月08日( 水 )

電力需要増加に備えた新たな再生エネルギーを 水を減らさない最新の水蒸気発電機を開発

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フィリアウェルスエンターテイメント(株)
中村 龍道 氏

 ゲーミングソフトウェア開発、コンサルティング事業などを手がけているフィリアウェルスエンターテイメント(株)は、一貫して世界を市場として挑戦を続けてきた。同社が近年注力してきた事業の1つが新エネルギー事業であり、近く、水蒸気を活用した発電機の発表を予定している。世界的なデジタル社会の到来により電気の使用量が増えることが予想されるが、その不足分を補うというのがその狙いだ。グループ代表の中村龍道氏に話を聞いた。

外部からの水補充が不要な驚異の最新型発電機

 現代社会のエネルギー事情は近年大きく様変わりしている。ロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー価格が高騰し、日本でも電気料金が値上がりしている。今後も、電力を使用する場面が増え、需要の増加が予想される。

 フィリアウェルスエンターテイメントは地熱・水蒸気(水)を用いた発電システムを引っ提げて、新たな電力サービスの事業者になろうとしている。近年導入が進められている再生可能エネルギーの一種であるが、その特徴とはどのようなものか。

 同社がまず発明したのが地熱を利用した発電機、そして水蒸気を利用した発電機だ。後者の発電機は「ウォータースチームリニア発電機」。水とリニアを融合させた最新技術を用いたものであり、企画から6年を経て完成させた。水さえあれば水蒸気をつくって発電できる。海水を淡水化して発電することも可能であり、非常に広範囲の地域で発電することができる。

 中村氏がこの新型「パワーボックス5」(以下、PB5)の発電機の構想を記者に披露したのが昨年であったが、このたび、新たに外部からの水の補充を必要としない最新型「パワーボックス9」(以下、PB9)の発電機の開発に成功したという。それは、発電に使用する一定の水を発電機内部で循環させるという構造にすることで可能となった。

最新型の水蒸気発電機パワーボックス9
最新型の水蒸気発電機パワーボックス9

    内部でタービンを回すために、加熱して蒸気をつくる。PB5では蒸気はタービンを回した後に外に出ていくが、PB9では、内部が密閉され真空状態になっているので、蒸気は内部にとどまったまま冷えて水に戻るという。それを繰り返すことで、水をずっと内部に保つことができ、外から補充する必要がないという設計だ。なお、PB5で一般家庭が1カ月に必要な電力をすべて発電するのに必要な水は46.6Lという。

 中村氏は水が豊富にあるところではPB5を、砂漠の真ん中や山中などではPB9の導入を提案する。同社はこの2種類の水蒸気発電機について、10月か11月に日本で発表する予定にしている。発電機を台湾で製造しており、台湾唯一の公営電力会社である台湾電力と提携し、テスト的にPB5を設置し、発電していることから、台湾にきて直接見て欲しいと語る。台湾での発電量は現在100kW/hだが、年内に10MW/hまで増やす予定であり、台湾電力との間で売電契約を結んでいる。

統括パートナー募集中

中村龍道 氏
中村 龍道 氏

    ユーザーに対しては、販売とリースを想定している。正式な料金は未定だが、たとえば月のリース料を5,000円、1万円などとして、電気を使用し放題というようなプランを打ち出したいとしている。電力のサブスクだ。一般家庭用の発電気の発電量は2kW/h。家族で使用しても十分に余るし、使用しない分は蓄電するほか、販売することも想定している。日本では現状でもFIT(固定価格買取制度)の枠外で販売可能だが、今後はFIT販売できるように、経済産業省と協議をしているという。政府の補助金を得るため関係機関と協議を進めており、企業、一般家庭で広く導入してもらえるよう価格を下げていきたいとしている。

 メンテナンスは容易で、異常が発生しても、内部のボックスを入れ替えるだけでよい設計になっているという。代理店がきて取り換えるまでの間は蓄電池の電気を使用できるので、支障はない。

 すでに製造・販売のために資金提供を検討しているファンドが多くあるという。こちらでは詳細は省略するが、発電機には炭素排出量の監視機能も設置されており、電力のみならずカーボンクレジットへの対応も視野に入れているという。

 現在同社が強く求めているのは、日本を含め各国・地域での代理販売やメンテナンスなどを行うパートナーだ。とくに統括的な役割をはたしてくれるパートナーを探している。たとえば、セキュリティ会社のような全国に支店のある企業と提携することで、いろいろな可能性が生まれると期待を寄せる。

 中村氏は「エネルギー産業は今後間違いなく伸びていきます。いろいろな企業や人が参入してくるでしょう。誰でも研修を受ければ、当社の発電機の販売が可能であり、業界、業種は問いません。未来を担うクリーンエネルギーの世界に多くの方が参入してくれるのはとてもよいこと」と語る。

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 中村氏は、デジタル社会の動力源は電気であり、地球上のいろいろなものが、通貨を含めてデジタル化していくなかで、電気がなくなったらそれらはすべて使えないが、日本の既存の発電能力ではいずれ足りなくなるとの認識を示す。かといって新たに原子力発電所などを建設することは非現実的だろう。中村氏はこの水蒸気発電が電力需要の増加分をカバーできればという想いで事業を進めている。

 発電機の企画・開発は同社で行うが、製造、販売、メンテナンスに関してはほかの事業者と提携し、そして関わる人すべてに利益がもたらされる体制をつくり上げたいとしている。年内に体制をつくり上げて、来年から世界に向けて展開していく。

【茅野 雅弘】


<COMPANY INFORMATION>
[代表]
渡邉 輝明
[所在地]
東京都中央区日本橋茅場町1-4-2(本社)
福岡市博多区中洲中島町2-3福岡フジランドビル 7F(福岡)
Ikh Huraldai 703, Chinggis Avenue 1, Khan-Uul district, Ulaanbaatar(モンゴル)
5F.-4, No.16, Ln.609, Sec.5, Chongxin Rd.、 Sanchong Dist.、 New Taipei City(台湾)
Treasury Tower, 28th Floor Unit F, SCBD Sudirman, Kav 52-53, Jakarta(インドネシア)
[設立]
2018年7月
[URL]
https://www.philia-wealth-entertainment.com


<プロフィール>
中村 龍道
(なかむら・りゅうどう)
1995年に鹿児島県で起業。2004年に中国大連で日本人向けナイトクラブを運営。06年からはマカオを中心に香港、北京、大連、上海などで事業を展開。その後ZANNCORPORATIONを買収し、デジタルゲーミング、デジタルウォレット、デジタル通貨など総合デジタル金融事業を世界展開するなど多岐にわたる活躍をみせている。

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