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2018年04月11日 07:04

大塚家具はなぜ事業承継に失敗したのか(後)

子ども5人に均等に株を与えた

 大塚家具は創業者による事業承継の典型的な失敗例となった。父娘の骨肉の争いに敗れた創業者の大塚勝久氏は大塚家具を去り、新たに匠大塚を設立。会長が勝久氏、社長は長男の大塚勝之氏(47)だ。
父親の勝久氏は事業承継の失敗をどう見ているのか。ダイヤモンド・オンライン(2018年1月9日)で、「事業承継をここで誤った」と語っている。勝久氏には5人の子どもがいる。長女が久美子さんで、長男が勝之氏だ。

〈私は心のなかでは、長女と長男が協力してやっていくのが一番だと思っていた。(中略)長男の勝之が営業を担うなら、長女の久美子は財務を担うという具合だ。
 そのうえで、将来的には大塚家が大塚家具の経営から身を引き、いわゆる「資本と経営の分離」の体制をつくることが望ましいと考えていた。実際、そのための準備も始めていた。
たとえば、普通ならば「長男が跡を取るのだろう」ということで、長男には資産管理会社の株の半分をもたせていた。しかし、資本と経営の分離を考えれば、こうした状態がよいわけではなく、実際、ほかの子どもたちから異論が出てきたので株を均等に分けることにした。長男は不満だったかもしれないが、将来の事業経営を考えれば均等にもつことが大塚家や大塚家具にとって最良の方策なのだと納得してもらった。
 その際、妻には株を配分しなかった。つまり5人の子どもたちが19%ぐらい株をもつかたちにした。私は「これでいいのだ」とほっとした気持ちでいた。
 しかし、均等に分けたことが、後に私や長男の解任につながるものになるとはなんとも皮肉だ。妻にも同じように株をもたせていれば対抗できたかもしれないが、今さらそれを言っても始まらない。〉

 同族企業は創業家の資産管理会社をもつ。資産管理会社が大株主となり、親族が資産管理会社に出資するかたちを取る。創業家が経営から離れても、会社の配当金で食っていくようにするためだ。ところが、大塚家の資産管理会社(ききょう企画)の株式を兄弟に平等に与えたことが骨肉の争いの火種になった。久美子=3人の弟妹が多数派を占め、勝久=勝之を追い出して資産管理会社を支配した。これで久美子さんは大塚家具の経営権を握ることができた。

 大塚勝久氏の事業承継の失敗から何を学ぶべきか。最大の失敗は事業承継者(長男の勝之氏)に株式を100%譲渡するという鉄則を守らなかったことだ。事業は長男に譲るが、個人の財産である現金や不動産は、ほかの子どもたちに平等に与え、事業には一切タッチさせない。この線引きをきっちりやらなかった。これが、ど派手な父娘ゲンカの要因だ。

 その挙げ句、大塚家具と匠大塚は共倒れの危機に瀕している。

(了)

 

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