2024年04月29日( 月 )

ラグビーワールドカップ2023の総括とラグビー界のこれから(4)

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世界標準の選手が日本でプレイ

ラガーマン イメージ    南アフリカ・スプリングボクス(SA)のW杯連覇で閉幕したラグビーワールドカップ2023フランス大会。準優勝のニュージーランド・オールブラックス(NZL)は、試合の大半を14名で戦い、大会前には“醜聞”と言っても過言ではない論評が飛び交った。なかにはNZLを小馬鹿にして、蔑む無礼極まりない内容も散見された。そのようななかNZLはSAとともに、世界ラグビーのリーダーの実力を披露した。

 28年前の1995年のW杯─クリント・イーストウッド監督が映画「インビクタス」の題材としたSAとNZLの決勝は、9-9のスコアで延長戦に突入。延長戦は、互いにペナルティゴール(PG)を1本ずつ決めて12-12。延長後半にSAのSOジョエル・ストランスキーがあげたドロップゴール(DG)が決勝点となり、15-12でSAが初出場初優勝の快挙を遂げた。

 当時も死闘と世界中で讃えられた試合であった。この試合では、NZLには日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチが出場していた。参考までに、日本代表はプール戦3戦全敗。NZLには、145-17と歴史的、壊滅的なスコアで大敗した。

 当時日本の社会人リーグの日新製鋼でプレイしていたNZLのFLケヴィン・シューラーは「僕たちは控えメンバーが中心だった。今大会でオールブラックスのジャージーを着る最初で最後のチャンスであると…当然、オールブラックスの名に恥じないプレイをすること。そして日本に対しても警戒し、万全の対策を立てて臨んだ。一方で、日本の選手は、僕たちをまるで神様みたいに尊敬していた。そんな気持ちで試合に臨んだから、145-17になった。あれほど差がつくほど、力の差はないよ」のコメントは、印象的であった。

 1995年大会はその後に世界ラグビーのプロ化が始まった年でもあった。そして今日の日本ラグビー国内最高峰リーグの「ジャパンラグビーリーグワン」(リーグワンが、12月9日に開幕を迎える。

 各チームには、W杯出場およびエントリー(途中離脱含む)の他国代表選手が所属する。以下紹介する(令和5年11月2日現在)

◇南アフリカ
 マルコム・マークス(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
 ファフ・デクラーク(横浜キヤノンイーグルス)
 ジェシー・クリエル(同)
 チェスリン コルビ(東京サントリーサンゴリアス)
 クワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)
 ダミアン デアレンデ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
 フランコ・モスタート(三重ホンダヒート)
 ピーターステフ・ デュトイ(トヨタヴェルブリッツ)

◇ニュージーランド
 シャノン・フリゼル(東芝ブレイブルーパス東京)
 リッチー・モウンガ(同)
 ブロディ・レタリック(コベルコ神戸スティーラーズ)
 アーディ・サべア(同)
 アーロン・スミス(トヨタヴェルブリッツ)
 ボーデン・バレット(同)

◇アルゼンチン
 パブロ・マテーラ(三重ホンダヒート)

◇ウェールズ
 リアム・ウィリアムズ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)
 ガレス・アンスコム(東京サントリーサンゴリアス)

◇オーストラリア
 マシュー・フィリップ(横浜キヤノンイーグルス)
 マリカ コロインベテ(埼玉パナソニックワイルドナイツ)
 サム・ケレビ(浦安D-rocks)

◇サモア
 タレニ・セウ(豊田自動織機シャトルズ愛知)
 リマ・ソポアンガ(清水建設江東ブルーシャークス)

◇トンガ
 チャールズ・ピウタウ(静岡ブルーレヴズ)
 オーガスティン・プル(日野レッドドルフィンズ)

 以上の世界標準選手が、国内リーグで見られる。なお、今大会に出場しなかった外国籍選手も多数来日し、リーグワンの試合のクォリティ向上に寄与するであろう。そして、一部報道で「NZL代表の大物が来日する」とあったが、流動的である。

【青木 義彦】

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