2024年06月20日( 木 )

政府高官の歓迎を受ける~カンボジア視察記(3)

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 日本とカンボジアが国交を樹立して今年で70周年を迎えた。両国は今年、関係を包括的戦略的パートナーシップに格上げし、協力を深めている。12日から18日、(一社)カンボジア地雷撤去キャンペーン(CMC、大谷賢二理事長)の主催するスタディツアーに参加するかたちでカンボジアの視察および取材を行った。現在のカンボジア情勢について報告する。

 とはいえ、カンボジアへの投資に関しては中国が圧倒的だ。実際、カンボジアといえば、東南アジアのなかでも中国との政治的、経済的結びつきが強いことが知られている。シェムリアップでは10月に中国企業が建設を請け負った新空港が稼働を開始したが、プノンペンで建設中の新空港の建設を請け負っているのも中国企業だ。

 シェムリアップの新空港(シェムリアップ・アンコール国際空港)では保安検査関連の設備や飲水器なども中国製であったほか、ディスプレイなどさまざまな箇所の文字表記がクメール語と英語、中国語となっていた。帰国前に訪れた際、唯一オープンしていたレストランも中華料理店。ただ、皮肉なことに同日夜には中国便の運航はなかったようだが…。

シェムリアップ新空港の表示(フライトはホーチミン行き)
シェムリアップ新空港の表示
(フライトはホーチミン行き)

    さて、大使館訪問時にもツアー参加者から中国とカンボジアとの関係について質問がなされたが、公使からの回答はカンボジア政府の立場はあくまで「独立自主外交」を貫いているとのことだった。

 そのカンボジアでは、長年にわたり独裁体制が続いている。1985年に当時の最高指導者である閣僚評議会議長に就任し、98年から一貫して首相の座にあるなど、38年にわたって政権の中枢にいたフン・セン氏が今年、子息のフン・マネット氏に首相の座を譲り渡すなど、権力の独占が続いている。

 今年7月に行われた下院選挙では、昨年の地方選挙で躍進した野党の候補者が立候補できず、日本を含む西側諸国が選挙への懸念を表明していた。下院選挙ではフン・セン氏率いる人民党が125議席中120席を獲得し、一党独裁体制は揺らいでいない。

 公使からは日本がカンボジアに対して行っている別の取り組みが紹介された。それは外務省が実施している国際交流事業で、アジア太平洋地域を対象とした「対日理解促進交流プログラムJENESYS」だ。

 カンボジアももちろん含まれており、若手の政治関係者や公務員、メディア·言論関係者、スポーツ選手などを招聘したり派遣したりしている。その国の将来のリーダー候補に日本を知ってもらうとともに、彼らとのより親密な関係を構築する狙いがある。

 若手政治関係者の招聘は与野党を問わず行われており、今年4月には10名(与党2名、野党7名、シンクタンク1名)が来日し、宮崎市などを訪問した。公使は、こうした取り組みが、若手政治家同士が与野党の垣根を越えて交流する機会となっているのを見て、カンボジアの政治が将来より良い方向に向かっていくのではとの期待を抱いたようだ。

カンボジア政府高官を表敬訪問

 プノンペン最終日の14日、CMCの活動に深い理解を示してくれているシン・ブンレーン内務長官(閣僚級)への表敬訪問を行った。政府庁舎に行くものだと思っていたが、場所は市内にある同長官の自宅。CMCおよび大谷賢二理事長と信頼関係が築かれていることの証なのだろう。

 多くの芸術品や洗練された調度品に囲まれた部屋で長官夫妻と対面した。ブンレーン氏の夫人はフン・セン前首相の妹で、つまり長官は前首相の義理の弟であり、現在のフン・マネット首相の義理の叔父ということになる。

 コロナ禍の2021年6月に竣工していた「CMC コーントライ夢中学校」新校舎(バンティアイミエンチャイ州)の落成式が22年11月に行われたが、ブンレーン氏も出席した。その車列は10数台という規模で、道中の信号もすべて青に調整されノンストップで移動していたという。

 ブンレーン氏からは、日本が30年にわたり平和維持活動をはじめ多くの支援を行ってきたこと、そしてCMCが25年にわたってカンボジアで地雷撤去や学校建設などの支援活動を行ってきたことへの謝意が示された。地雷撤去の現状について、25年までに地雷をなくせるよう、自分たちも尽力していると述べた。

 CMC理事で今回のツアーの団長である曽和英徳氏(双峰設備(株)代表取締役社長)が、今回出席できなかったCMC理事長・大谷賢二氏の代わりに挨拶を行い、カンボジア政府およびブンレーン氏のCMCの活動に対するこれまでの理解と支援に対してお礼を述べた。

学校建設など活動の資料をブンレーン内務長官に説明する曽和団長(左) 右はブンレーン長官令夫人
学校建設など活動の資料を
ブンレーン内務長官に説明する曽和団長(左)
右はブンレーン長官夫人

 ツアー一同、高官への訪問ということで当初は若干緊張していたものの、長官夫妻が気さくな人柄で、一行の子どもにも優しく対応してくれたことから、すっかり打ち解け、充実した時間を過ごした。

 ここまで、カンボジアの社会経済・政治などについてみてきたが、次回からCMCの現地の活動で、スタディツアーのメインである、地雷撤去支援と地雷原跡地に建設された学校について触れる。

(つづく)

【茅野 雅弘】

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