2024年04月25日( 木 )

中国経済新聞から学ぶ~日本、中国人観光客を受け入れ能力の不足

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 中国経済新聞は、2001年に創刊された、日本初の本格的な中国経済情報専門紙。今回は増加する中国人観光客に対する日本の受け入れ能力についてふれた記事を紹介する。海外からの観光客が急増したことで日本の観光サービスの質、コストパフォーマンスが低下していると指摘する。


 上海の出入国管理部門が7日に明らかにしたところによると、今年の国慶節(建国記念日、10月1日)連休には、中国人の海外旅行で日本が人気ナンバーワンだったという。10月1~6日に上海から日本を訪れた中国人観光客はのべ4万8200人で、海外旅行客全体の21%を占め、人数は前年同期比68.5%増加した。

 国慶節連休に数多くの中国人観光客が日本を訪れていることが両国で話題となっている。中国人観光客を始めとする外国人観光客がここ数年大幅に増加していることを受け、日本の政府や商店が様々な措置を講じて外国人観光客を呼び込む一方で、日本の主な観光地区は受け入れ能力が次第に限界に達し、ホテル、観光車両、ガイドなど観光資源が不足している。日本の観光市場に詳しい業界関係者によると、受け入れ能力の不足は日本の観光製品、観光サービスの価格を押し上げ、サービスの質が下がり、コストパフォーマンス上の優位が弱まっている。こうした中、観光客は観光のルートや時間を理性的に選んで、ピークを避けるべきだ。業界も様々なルートを開発して、観光の質を高めるべきだ。

国慶節には中国人観光客が最多に

ginza 免税店Laoxの銀座店では多くの中国人団体観光客が家電、化粧品、食品を購入し、店内では中国語の分かる店員が対応している。中嶋拓人副店長によると、中国人観光客に最も人気があるのは炊飯器、空気清浄機、マグボトル、便座などだ。

 Laoxは9月に8つ目の店を開店した。今年の国慶節期間の売上は前年同期比3割前後増加する見通しだ。ここ数日、日本メディアは中国人観光客の「爆買い」について多く報道しており、空港や銀座などで中国人観光客を撮影する姿が度々見られる。日本世論は、多数の中国人観光客の訪日は日本経済を一定程度押し上げるとともに、日本人の生活環境にも影響を与えると考えている。日本政府観光局の統計によると、2014年までの中国人観光客の訪日数は各国・地域で最多ではなく、韓国より少ないし、大陸部からの観光客は台湾地区よりも少ない。だが中国人観光客は伝統的連休を利用して多数が集中して団体旅行を行い、購買力も高いことから、日本メディアに注目されている。

 これまで長期にわたり、国別の訪日外国人旅行者数のトップは常に台湾だった。しかし今年1~7月、中国大陸部からの観光客がのべ275万5500人と、昨年の2倍以上に達し、トップに躍り出た。2位は韓国、3位は台湾だった。海外からの観光客は日本経済にプラスの影響を与えているが、急増する観光客に、日本側の受け入れ能力が追いついていないのが現状だ。

日本側の受け入れ能力が追いついていない

 中国国家観光局日本代表処の張西龍処長によると、訪日外国人観光客の大幅な増加に伴い、ここ3年で日本の人気観光地の受け入れ能力の不足が明らかになっている。「昨年、日本全国のホテルの平均利用率は80%で、東京は90%を超えた。これはすでにきわめて高い利用率だ」。張氏はホテルを例に、日本の観光受け入れ能力の飽和状況について説明した。張氏によると、近年日本ではホテル、観光車両、ガイドなど観光関連の全ての商品やサービスの価格が上昇しており、今年は特に顕著だ。受け入れ能力の不足は関連する商品やサービスの価格上昇を招くだけでなく、日本の観光サービスの質の低下も招いている。

 張氏によると、現在日本の観光業界には、例えば団体旅行客が観光バスの滞在時間を延長する場合、数万円から10数万円の費用を請求するなどの問題がある。中国人観光客は日本の人気観光ルート・サービスの質の低下によって、日本観光に疑問や不満を抱き、高品質で高コストパフォーマンスという日本観光ブランド神話についても次第に理性を取り戻しつつある。張氏によると中国人観光客の訪日市場には大きな変化が起きている。出身地は東部沿海地か中西部へと発展し、観光形式はビジネス旅行から一般観光、教育旅行、サマーキャンプ、交流訪問など多元化している。

 中国の海外旅行の全面開放により現在では年間の海外旅行者数はすでに1億人を超えている。海外旅行者の増加に伴い、中国人の観光消費観・行為は成熟へと向かっている。日本観光の質を確保するためには、日本が受け入れ能力を強化する以外に、旅行会社と観光客が共に合理的な計画と選択をする必要がある。日本の一部の空港や港では、海外からの観光客は入国手続きのため一時間も列に並ばなければならない。東京や京都などの人気都市では、ホテルはどこも満室。中国の旅行会社の安いツアーでは、ホテルや交通手段すら保証されず、ショッピングのために「悪徳商店」に連れて行かれるといった事件も発生している。観光バスを運営する福岡地所によると、2014年度、博多港に寄港したクルーズ客船の乗客を乗せた観光バスは4630台と、2013年度の580台を大きく上回った。一部のバス運転手は、観光地で乗客が下車してからクルーズに戻るまでの時間、港の駐車場が一杯のため、福岡市内をぐるぐると走り続けるしかないという。

 日本経済新聞は、「より多くの中国人に日本を気に入ってもらうためには、観光客の受け入れ能力をソフト・ハード面から向上する必要がある。例えば中国人観光客にも日本で車の運転ができるようにするなど、関連制度にも変革が必要」と指摘している。

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