【BIS論壇No.463】未来の大国アフリカ
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は11月7日の記事を紹介する。日本政府が注力しているアフリカ開発プロジェクトTICAD会議が2025年8月、横浜で開催される。2050年にアフリカの人口は現在の14億人から25億人に達し、世界人口の4分の1となり、世界の4人に1人はアフリカ人になるとみられる。
地下資源やレアメタルも豊富なアフリカの資源を目指し、中国、ロシアもアフリカとの関係強化に余念がなく、アフリカとの首脳会議をしばしば開催している。電気自動車(EV)に不可欠なレアメタルも豊富で、欧米や中国、ロシアのみならず、サウジアラビアや韓国なども首脳協議を立ち上げ、将来の巨大消費市場のアフリカへの接近を強化している。
過度にリスクを警戒する日本はアフリカ進出に出遅れており、その意味でも2025年の横浜TICAD会議は日本のアフリカ出遅れの巻き返しのための追い風になることを期待したい。
EVや再生可能エネルギーに不可欠なコバルトやマンガンの約50%はアフリカにあるといわれ、アフリカは希少鉱物資源の宝庫でもある。さらに食料供給のための未耕作農地の65%はアフリカにある。地球の4大耕作地といわれる肥沃な農地は米国のコーンベルト、南米のテラロッサといわれるブラジル、アルゼンチンの農耕地帯、ウクライナの農耕地、それにアフリカのスーダンが世界の肥沃な農耕地だといわれている。
投資のデフォルト(債務不履行)率は北米や南米よりもアフリカは低く3分の1だ。世界で最も急速に成長している経済圏20カ国のうち10カ国がアフリカにある。スタートアップの若者も急速に増大している。過度にリスクを恐れる日本は明らかに出遅れている。
未来の大国アフリカ進出を強化すべきとアフリカ開発銀行のアデシナ総裁は強調している。
長期の未来予測を研究する名古屋市立大学22世紀研究所特任教授として10年以上未来予測を手がけている筆者としては、日本はアフリカに根を張るインド系企業、最近とみにアフリカに注力しているトルコ系企業などとの三国間協力でのアフリカ進出方策を真剣に考究すべきだと強調したい。
かつて筆者は商社の海外業務部に勤務時の1960年代後半、戦後初のガーナ向け鉄道改修工事、通信設備工事、さらに米作指導に日本工営と関与。またエジプト・アスワンハイダム建設時の国連UNESCOプロジェクトでのアブ・シンベル神殿の移設事業に大阪ジャッキと協力。TOGO向け初の日産車輸出。国連FAO アフリカ向けヤンマー・ディーゼルエンジン、ポンプ、トヨタ・ランドクルーザーのアフリカ向け初輸出など手掛け、60年前からアフリカに注力していた。しかしながらその後、日本はアフリカ進出に出遅れ、このままでは未来の大市場アフリカ市場を失う懸念大である。中国、インドに次ぐ巨大市場アフリカへの進出を日本はTICAD25横浜を機に真剣に検討すべきだ。
<プロフィール>
中川十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。関連キーワード
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