中国はロボットブーム、製造各社が受注大幅増

イメージ    中国では今年に入り、人型ロボットの受注が急激に増えている。深センにある普渡科技(プードゥ・ロボティクス)は受注量が昨年の同じ時期のほぼ300%増となっている。

 上海智元機器人(AGIBOT)は3月23日、大豊実業が合弁会社を設立して3カ月以内に、利用場面における開発用として1,500万元(約3億円)以上の注文をすることで、両者間で合意した。

 楽聚(蘇州)機器人技術の王松総経理はCCTVの取材に対し、「5、6月分まで注文を受けており、生産ラインはフル稼働状態で、生産したら即納しなくてはならない」と話している。

 また、人型ロボットの産業チェーン各社も活況を呈している。深センのある部品会社の責任者は、「1日の仕事量はこれまでの3~4倍に増えている」という。

 深センのある人型ロボットメーカーの責任者は、好調の理由について、「春節の特別番組でユニツリー・ロボティクス(宇樹科技)の人型ロボットが登場し、これが『ブレイク』して国民的な関心を集めた。また優必選(Ubtech)が人とのコミュニケーションや運動能力が大幅アップした次世代型ロボットを打ち出したほか、ユニツリーも利用場面を大きく拡大するなど、最近大手各社が続々と新機軸を打ち出している」と述べている。

 ただし、数字華夏の関係者は「受注はたしかに増え、引き合いもかなり多いが、人型ロボットは安定して運用できる段階に至っていないので生産体制も限定され、大量出荷が望めない状態だ」と述べている。

 中国では人型ロボットについて、国内市場を開拓する一方で輸出に力を入れるようになっている。楽聚機器人の王総経理はアメリカや中東、ヨーロッパなどにまとまって出荷していると言い、AGIBOTの関係者も「我々も輸出しており、数量は今後増えていくだろう。海外ではかなりの需要がある」と述べている。

 モルガンスタンレーの最新レポートによると、人型ロボットについて、事業展開している会社の56%、物流会社の45%が中国系という。中国の人型ロボットの市場規模は2050年に6兆元に達し、台数は5,900万台となると予測されている。中国品が海外で人気を集めているのは価格面で優位に立っていることが大きな理由という。

 現在、「六小龍」の1つに数えられるユニツリーを代表格としたロボット会社はかなり好調である。天眼のデータによると、ユニツリーの最近8年間の落札案件で、30校以上の大学が1,000万元単位の購入をしている。分野も大学以外にメディア、エネルギー、医療、消防、教育など広範囲におよんでいる。なかでも大学の技術部門からの発注が多く、重慶大学、上海大学、同済大学、浙江大学など30校以上が購入しており、その中身も汎用の人型ロボットだけでなく、多脚ロボットやアームなども含まれる。このうち同済大学は2025年の購入額が825万元で、業界の代表的存在になっている。

 ある大学の購買責任者は、「ロボット1台を1年間使っても、専門の技術スタッフを招くよりはるかに安上がりだ。それと、購入した人型ロボットは学生の実技演習用となり、知覚-計画-実行という一貫トレーニングをすることで、スマート時代にふさわしいエンジニア人材を養成できる」と話している。

 人型ロボットは最近、商業サービス分野での利用も始まっている。ユニツリーのロボットは、あるテーマパークではアトラクション用に使っており、またある高級ホテルではサービスの向上へ接待係に起用している。商業施設については、ユニツリーの「G1」が最低価格9.9万元で導入されており、テクノロジーのファンやマニア層に受けている。なお中古品市場では、「H1」シリーズのロボットはレンタル料が1日5000-1.5万元で、10日間貸し出せば元が取れるという。

 ユニツリーのロボットの購入先を地域別に見ると、浙江省、広東省、北京市、上海市などが多く、なかでも本社が立地する浙江省が3割近くを占めている。同省の杭州ではチャイナモバイル情報技術がスマートホームの研究所の建設に利用しており、また寧波では電力設備の点検など工業の場で利用されている。

世界初の「救急搬送ロボット」が北京で公開

 中船海神公司と雲深処科技公司が共同で独自開発した世界初の「救急ロボット」と「救急搬送ロボット」が3月26日、北京市で正式に公開された。

 この救急ロボットと救急搬送ロボットは四足型・四輪型・クローラ型という3種の移動方式を選択でき、歩行、走行、階段登りや坂登り、伏せ、障害物回避、障害物乗り越えといった機能を備えており、氷点下20度から55度の環境で安定的に動作し、自然災害救助、複雑環境下での作業、安全事故の救助、戦場救急、病院外・病院内の搬送などのシーンで広く応用できる。

 四輪型の救急ロボットは呼吸、モニタリング、点滴、超音波、除細動、心肺蘇生、酸素供給という7つの機能を搭載した「携帯型救急装置」を背負い、指令に従って迅速に階段を上がり、障害物を軽快に乗り越え、無事に指定された場所に到着し救急活動を行った。

 一方、四足型の救急搬送ロボットは負傷者を背負い急速に搬送する際に、両側の「携帯型救急装置」を使い、自動かつ正確に移動中の救急処置を行った。


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