2024年04月26日( 金 )

イ・ボミ選手の一言

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 今シーズン7勝を挙げ、男女通じて日本ツアー最高額となる2億3千万円の賞金を獲得したイ・ボミ選手。その実力もさることながらキュートな笑顔と、ファンを大切にする姿勢で多くのゴルフファンを魅了しています。2年前のオフに福岡で行われたイ・ボミ選手のトークショーで司会をさせて頂く機会がありました。日本ツアー2年目、当時は今ほど上手ではなかった日本語で一生懸命に話してくれた姿が印象に残っています。


 軸のブレがなく、力みも全く感じさせないイ・ボミ選手のスイングリズムはアマチュアゴルファーにぜひ真似してもらいたいポイントです。7番アイアンのデモンストレーションを見せてもらいましたが、近距離で見たイ・ボミ選手のショットはテレビで見るよりもインパクトがしっかりしていて、ずいぶん迫力がありました。
 トークショーの終了後にレッスン会が行われ、会場に来ていたお客さんにボールを打ってもらいイ・ボミ選手からワンポイントアドバイスをしてもらいました。参加者の中には僕の教え子で当時小学4年生の女の子がいました。とてもよく練習する子で将来はプロゴルファーになりたいという夢を持っている少女です。
 僕はある考えが頭にあって、彼女に見に来るように伝えていました。レッスン会も滞りなく進み、あと一人で終了となったところで僕はその女の子を指名しました。彼女は急に指名され驚いていましたが、意を決して打席に入りボールを打ちました。彼女のショットを見たイ・ボミ選手は開口一番「バックスイングが早いですね。もっとゆっくり上げたほうがいいですよ」とアドバイスを送りました。バックスイングを勢いで上げてしまうのはその子の悪い癖。僕もレッスンのたびに注意していましたがなかなか治りませんでした。
 ところが翌日、練習に来たその子のスイングを見てびっくり!バックスイングは超ゆったりとした動きに変わっているではありませんか。僕が何百回と注意しても全然治らなかったのに、ボミちゃんに一度言われただけで治るなんて・・・。コーチとしては多少複雑な思いでしたが、その子の意識が変わってくれるといいなと思い会場に呼んでいたので、作戦は見事に成功でした。


 その年の5月に福岡で行われたトーナメントを見に行った彼女は「ボミちゃん、私のことを覚えてくれていました!」と弾けるような笑顔で報告してくれました。手にはイ・ボミ選手が試合で被っていたキャップ(もちろんサイン入り)。その後もトーナメント会場で会うと名前で呼んでもらい、さらにプレゼントまでをもらうという羨ましい関係が続いています。


 あれから2年、イ・ボミ選手は女子ツアーを席巻する活躍を見せ賞金女王に上り詰めました。ただ強いだけじゃなく、多くの人に愛され、そして子どもたちが憧れる素晴らしいプロゴルファーです。小学4年生だった少女も来春からは中学生。プロゴルファーになるという夢は変わっていませんが、どんなプロゴルファーになるのかというビジョンは、あの頃よりさらに鮮明になっているはずです。

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<PROFILE>
信川 竜太(のぶかわ りゅうた)
1971年3月27日生まれ。(株)スリーバーズ代表取締役。スポーツキャスター、DJ、MC、リポーターとしてスポーツを中心にテレビ、ラジオなどで活躍中。その一方で、ゴルフコーチとしても活動している。信川氏がゴルフの道を志したのは福大大濠高校1学年時。卒業後、フロリダ州ブロワードジュニアカレッジに入学(のち、フロリダ・リン ユニバーシティーに編入)。在学中、トーナメントでタイガー・ウッズの上位に入る結果を残した。2006年1月に(社)日本プロゴルフ協会 PGAゴルフティーチングプロの資格を取得。10年10月、福岡市東区多の津にスポーツ塾を開講した。

 

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